回答用紙 その4
少しため息をついた幻理さんが言う。
「少し休憩しようか。」
ティーセットが時雨さんの家から魔力に運ばれテーブルに着く。
「あ!おい、それ俺の家のやつ……」
「どうせ溜め込んでいるんだろう?偶にはいいじゃないか。」
紅茶……魔物が増えてからは、輸入の嗜好品の数は減っているから海外産のものは
――初めて見た。
「へー、外国産の紅茶ですか。和紅茶の方が安いんであまり飲まないんですよね~
あ、珈琲あります?インスタントでも良いですよ。」
「飲むならマグカップも持って来い。こっちの茶器では飲ませんぞ。
……詩織は紅茶でいいか?砂糖と……ミルクは確か買ってあったはずだ。」
「あ、そのままで大丈夫です。」
普段飲む和紅茶とは少し変わった香りがあたりに漂う。
「ん?時雨、この紅茶どこの奴だい?」
「セイロンだったか……銘柄は忘れたよ。」
時雨さんの家を漁り終わった凝子さんがマグカップとお茶請けの菓子を持って戻る。
「マグカップ借りますね~、あと茶請けのお菓子持ってきましたよ。」
「せめて家主に断りを入れるだろう?まぁ良いけどな。
……ん?おい、家にある一番高い奴持ってきただろ!」
「時雨、一つ貰うよ。……へぇ旨いじゃないか、何処で買った?」
「ネットで取り寄せだよ。……まったく、もっと普通の菓子もあっただろうに。」
そう言いながらも、時雨さんもお菓子をつまみ始める。
高いお菓子と聞いて少し食べるのを躊躇ってしまう。
「詩織ちゃんは食べないんです?おいしいですよ?」
凝子さんがもしゃもしゃと頬張りながら一つこちらに差し出してくる。
「遠慮はしなくていいぞ。このくらいの奴なら懐はたいして痛まん。
……だが、凝子お前は食い過ぎだ。遠慮ぐらいはしろ、いっぺんに頬張るな。」
箱から取り出された分をお皿に分け終え、お菓子を元の箱へとしまう。
箱に仕舞われたお菓子は、魔力に運ばれ勝手に家へと帰っていく。
少し、さっきの考察の時から疑問に思ったことを聞く。
「あの、”てん”とか”げん”って何ですか?」
少しの沈黙……、幻理さんが凄い目で時雨さんを眺めている。
「時雨、あんたまだ教えてなかったのかい?
これくらいの常識を……いや魔法使いでも詳しく知らない奴もいるっちゃいるが。」
「いや、魔法少女として初めは指導していたからな。
説明をする必要が無いと判断していたが……忘れていたな。
こちら側に来ているなら、教えとかなければな。」
「まず魔法使いには、階位……まぁ、序列みたいなものが5段階あるが、これは
――強さや実力が基準ではない。」
「年齢関係ない。ただ、”理”の理解度だな。……まぁ、理解すれば強くもなるから
とりあえず、強さの基準で考えてもいい。」
「下から”端位””礎位””典位””玄位””宗位”がある。」
聞いたことのない単語もあるけど、聞いたことのある階位もある。
「俺と凝子は典位で、幻理は玄位だな。この階位の人数は……まぁ、今は良いか。
宗位を持っている人物……人物?は会っているはずだ。不定形の粘液……肉塊か?
まぁ、見たことはあるだろう?封理という名の魔法使いだ。」
幻理さんが少し手を上げ制止する。
「あぁ、あれを宗位の見た目の基準で教えるんじゃないよ。あれは特殊な部類だから。」




