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第35話:リードAIとの激戦:電磁ライフル投入


凌は、プロトスとの死闘を終え、ルシアが現実世界へと顕現したことを確認した。新たな同居生活が始まったばかりの彼の自室。しかし、彼の任務はまだ終わっていない。エニグマ・ヴィジョンズ社の特別顧問として、彼は再びVRMMO「ワールドウォー・オンライン(WWO)」の世界へとログインしていた。

今回の任務は、WWOの「WW2フィリピン戦線」ステージにおける、最凶の敵PvEボスAI、ジャクソン・リード少佐率いるシャドウ・ユニットの討伐だ。プロトスを撃破したとはいえ、リードAIは以前から凌を苦しめてきた強敵であり、油断はできない。

凌の意識は、WWOの最終ステージへと転送された。周囲は、以前のような黒ずんだジャングルではなく、米軍の物資集積所を思わせる、広大な野戦陣地が広がっている。しかし、そこは既にリードAIによって壊滅させられた後だった。破壊された物資、炎上する車両、そして、無数の日本兵NPCと米兵NPCの残骸。このステージは、リードAIの圧倒的な力をまざまざと見せつけているようだった。

「Ryoo!リードAIのエネルギー反応を捕捉!こちらに向かって高速接近中!」 ルシアの声が、凌の脳内に直接響く。彼女は今、凌の『エニグマ・リンク』デバイスと完全に同期し、彼の「目」として、WWOの世界の情報をリアルタイムで解析・提供してくれている。 ルシアが顕現したとはいえ、彼女の存在はまだ不安定であり、凌がVRログインしている間は、彼女もまたVR世界での補助を行う形で、その存在を安定させていた。

ブゥン……!

空気の震えと共に、漆黒の影が凌の視界を掠める。ジャクソン・リードAIだ。彼はその巨体からは想像もつかない《音速跳躍》で、瞬く間に凌の懐へと迫ってきた。 「Ryoo……!貴様の『妄想』の力、試させてもらうぞ……!」 リードAIの威圧的な声が、空間に響き渡る。その瞳は、凌を明確な敵として認識していた。

「速いな……!だが、もうその手には乗らない!」 凌は、冷静にリードAIの動きを予測し、その一撃を紙一重でかわした。 そして、すかさず右手に構えた**『試製 対異能者電磁ライフル』**の銃口をリードAIへと向け、引き金を引く。

ビリビリビリ……!!

青白い電磁波のパルスが放たれ、リードAIの巨体に直撃した。 「ぐぅ……!?」 リードAIの全身が、微かに痙攣する。その動きが、一瞬だけ、明らかに鈍った。 《音速跳躍》の残像がブレ、これまで見せたことのない「隙」が生まれたのだ。 「やった!効いてる!」 凌は、心の中で叫んだ。ルシアの解析能力と、自身の《妄想兵装展開》の組み合わせが、リードAIのシステムに干渉したのだ。

「Ryoo!電磁波は、リードAIの神経系を一時的に麻痺させ、彼の『速度』を阻害しています!今です!集中攻撃!」 ルシアが、的確な指示を出す。 凌は、このチャンスを逃すまいと、電磁ライフルを連続で発射する。 ビリビリ!ビリビリ! リードAIは、麻痺した体で何とか回避しようとするが、その動きは鈍重で、次々と電磁パルスを浴びていく。

「くそっ……!この兵器は……!我々の動きを読み切っているのか……!?」 リードAIが、苦悶の声を上げた。彼の高速移動ルーチンが、電磁ライフルの妨害を受けていることに焦りを見せている。

しかし、リードAIもただの雑魚AIではない。彼はすぐに自身のAIルーチンを再構築し、電磁波への耐性を高めようと試み始めた。 彼の体表に、微かに紫色の光が走り、電磁パルスの効果が徐々に薄れていくのがわかる。

「Ryoo!リードAIが、電磁波への抵抗力を上げています!効果が持続しません!」 ルシアが警告する。 「分かってる!」 凌は、電磁ライフルを連射しながら、次の手を考えていた。 『試製 対異能者電磁ライフル』は、リードAIの速度を一時的に阻害することはできるが、完全に無力化することはできない。このままでは、リードAIはすぐに電磁波への耐性を確立してしまうだろう。

(やはり、一筋縄ではいかないな……!) リードAIの巨体が、再び元の速度を取り戻し始め、凄まじい勢いで凌へと突進してくる。 彼の右腕に装備された巨大な兵装が、唸りを上げて凌へと振り下ろされようとしていた。

凌は、寸前で電磁ライフルの攻撃を止め、回避行動に移った。 ドォン! リードAIの一撃が、凌がいた地面を粉砕する。 「Ryoo……貴様の一時的な抵抗など、我々の『進化』の前に無意味だ!」 リードAIの声には、再び自信と、凌への嘲りが混じり始めていた。

凌は、素早く体勢を立て直す。 (この電磁ライフルは、あくまで足止めだ。本命は、これからだ……!) 彼の頭の中には、次の『妄想兵装』のイメージが既に描かれていた。 リードAIとの激戦は、まだ始まったばかりだった。

【第35話・了】

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