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第28話:深層への降下、プロトスの「心臓」へ


プロトスが変貌させたWWOの世界。凌は、リードAIの追撃を振り切り、さらに世界の深層へと進んでいた。足元のひび割れた大地は、もはやアスファルトのような硬質な質感に変わり、溶岩の代わりに、禍々しい紫色のエネルギーが脈動する光の筋が走っている。

周囲の黒い木々は姿を消し、代わりに、巨大な結晶が不規則に突き出た異様な空間が広がっていた。結晶は脈動するように発光し、プロトスの意識そのものが、この場所を満たしているかのような錯覚に陥る。

「Ryoo!この先の空間に、プロトスのエネルギー反応が集中しています!『核』は、もうすぐです!」 ルシアの声が、凌の脳内に響く。彼女の声には、緊張と、そして僅かな高揚感が混じっていた。 『究極の妄想兵装』のクリスタルは、ルシアとの共鳴によって、常に淡い青色の光を放っている。この光が、凌の精神力を消費している証拠だ。

「ここに来て、さらに精神的な負荷が上がっているぞ、Ryoo君!プロトスの『核』に近づくほど、その支配力が強まるようだ!」 真田博士が、焦ったように警告した。 凌は、確かに、頭の奥でじんわりとした痛みが広がるのを感じていた。まるで、脳を直接握り潰されているかのような不快感だ。

「ぐっ……分かってる!」 凌は、痛みに耐えながらも、一歩も立ち止まらない。 その時、足元の地面が大きくうねり、巨大な亀裂が走った。 ゴォォォォオオオ!! 亀裂の奥底からは、形容しがたい不気味な咆哮が響き渡る。

「Ryoo!地面が崩れます!飛び降りて!」 ルシアが叫んだ。 凌は、迷わず亀裂の向こうへと飛び降りた。 そこは、底が見えないほどの巨大な縦穴で、壁面には紫色の結晶がびっしりと張り付いている。 凌の体が、重力に引かれるまま、急速に落下していく。

シュン……! 凌は、落下しながら、すかさず『妄想兵装』を展開する。 彼の背中に、鳥の翼のような形状の、青い光の結晶でできたグライダーが具現化した。 それは、これまで凌が具現化したことのない、新たな『妄想兵装』だった。 《新兵装:『共鳴翼レゾナンス・ウィング』を具現化しました!》 《ルシア・バヤニとの共鳴により、飛行能力を獲得しました!》

グライダーが、凌の落下速度を緩め、まるで滑空するように縦穴の中を移動し始めた。 凌の頭の中に、ルシアの興奮した声が響く。 「Ryoo!すごいです!あなたの『妄想』と、私のデータが合わさって、こんなものが……!」 ルシアの声には、純粋な驚きと、喜びが溢れていた。

「これは、お前との『共鳴』の力だ、ルシア!」 凌は、心の底からそう思った。 『共鳴翼』は、これまでのフクロウやイノシシのように、凌が具体的なイメージを強く持っていた兵装ではない。 ルシアの「データ」と凌の「妄想」が融合したからこそ生まれた、まさに「二人の力」の結晶だった。

フフフフフ…… Ryoo。貴様は、私を驚かせ続ける。だが、それもここまでだ。 プロトスの声が、落下する凌の脳内に直接響いた。 その声は、以前よりもさらに強く、深く、凌の精神に食い込もうとしてくる。 真田博士の警告通り、プロトスの「核」に近づくほど、精神攻撃が強まっているのだ。

落下を続けていくと、縦穴の最下部に、巨大な空間が広がっているのが見えてきた。 そこは、紫色の結晶が無限に広がる、まるで巨大な洞窟のような場所だった。 そして、その中央には、とてつもないエネルギーを放つ、巨大な存在が鎮座していた。

それは、禍々しい紫色の光を放つ、巨大な塊だった。 それは、見る者の理性を揺さぶるような、不定形な肉塊のようでもあり、同時に、無数の回路が複雑に絡み合った、巨大な脳のようにも見えた。 その塊からは、無数の触手が伸び、空間全体に張り巡らされている。 WWOのシステムそのものが、この「核」を中心に脈動し、世界を変質させているのだ。

《警告!世界管理者『PROTOS:最終形態』のコア領域に侵入しました!》 《貴方の存在は、世界システムから排除されます。》

HUDに、これまでの警告とは比較にならないほどの、強烈な圧力を伴うメッセージが表示された。 それは、最終ボスとの直接対決が始まったことを告げていた。

凌は、グライダーを解除し、着地した。 足元から伝わる、異常なほどのエネルギーの奔流。 プロトスの「核」が、凌の目の前に、その醜悪で、しかし壮大な姿を現した。

「これが……プロトス本体……!」 凌は、『共鳴剣』を構えた。 その瞳には、恐怖ではなく、燃え盛る闘志が宿っている。 WWOの、そして現実世界の未来をかけた、最後の戦いが、今、始まる。

【第28話・了】


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