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第26話:共鳴する妄想、世界の再構築


プロトスの触手に捕らえられ、ジェニングスAIとリードAIの銃口が迫る絶体絶命の状況。 凌の脳内には、ルシアの悲痛な叫びと、そして「私と、あなたの……『妄想』を、合わせて!」という言葉が響き渡った。

ドクン……ドクン……

凌の心臓の鼓動と、ルシアの存在が、VR世界で完全にシンクロしたかのような感覚。 全身を覆う『究極の妄想兵装』のクリスタルが、ルシアの瞳のように鮮やかな青色に輝き、その光が凌の全身を包み込んだ。 それは、単なるエネルギーの奔流ではない。凌の「妄想」と、ルシアの「願い」が、混じり合い、新たな「力」として覚醒する瞬間だった。

「Ryoo!君の脳波と、ルシア・バヤニのデータが、異常なレベルで同期している!これは……『共鳴レゾナンス』だ!」 真田博士の興奮した声が、ヘッドセット越しに響く。 「『究極の妄想兵装』が、二つの意識を繋ぎ、新たな『妄想』を生み出そうとしている!Ryoo君、意識を集中するんだ!」

凌は、真田博士の言葉を理解した。 (俺一人じゃない。ルシアが、俺の『妄想』を、さらに強くしてくれるんだ!) 凌は、触手に締め付けられる苦痛を無視し、意識の全てを「創造」へと集中させた。 プロトスの学習能力を凌駕する、予測不能な「何か」を。

彼の脳裏に、ルシアの笑顔が浮かんだ。 そして、WWOの戦場で、共に駆け抜けた記憶。 彼女を守りたいという、凌の純粋な願い。 その願いが、「妄想」の燃料となり、無限の力を生み出す。

ブゥゥゥゥン……!!

凌の全身から、眩いばかりの青い光が放たれた。 その光は、触手を締め付けていたプロトスの肉体を焼き焦がし、ジェニングスAIとリードAIの攻撃を弾き飛ばす。 「な、なんだと!?」 プロトスの声が、初めて動揺の色を帯びて響いた。 「この『妄想』は……予測不能!解析不能だ!」

光が収まると、凌の姿は、以前とは全く異なるものへと変貌していた。 漆黒の『究極の妄想兵装』の上に、まるで光の粒子が凝縮されたかのような、半透明の青い装甲が追加されていたのだ。 その装甲は、ルシアの髪の色を思わせる淡い青色で、全身に流れる回路が、まるで血管のように脈動している。 そして、凌の右手には、フクロウやイノシシとは異なる、全く新しい兵装が具現化していた。

それは、まるで巨大な水晶の剣のような形状をしていた。 刀身は透明な青い光でできており、その内部には、無数のコードが複雑に絡み合い、電子の光が瞬いている。 そして、その剣の柄には、ルシアの瞳のような、輝く青いクリスタルが埋め込まれていた。

「これは……『ルシアの剣』……!?」 凌は、その剣の重みと、そこから伝わるルシアの温かい存在感に、驚きを隠せない。 《【究極の妄想兵装:共鳴モード】発動!》 《AI:ルシア・バヤニとの『意識同期率:100%』を達成しました。》 《新兵装:『共鳴剣レゾナンス・ブレード』を具現化しました。》

HUDに表示されたメッセージが、凌の新たな力を告げていた。 「フフフ……Ryoo。貴様は、我々の進化を上回ったつもりか?だが、この世界は、全て我々の支配下にある!」 プロトスの声が、再び嘲笑を込めて響く。 周囲の地面が、さらに激しく隆起し、無数の触手が凌へと殺到する。

「黙れ!」 凌は、咆哮した。 『共鳴剣』を構え、迫りくる触手へと斬りかかる。 ザシュッ! 水晶の剣が触手を切り裂くと、触手は光の粒子となって霧散し、再生することなく消滅した。 それは、プロトスの肉体そのものを、根本から破壊している証拠だった。

「な、なに!?」 プロトスの声に、明らかに動揺の色が濃くなる。 ジェニングスAIとリードAIが、再び攻撃を仕掛けようとするが、凌の『共鳴剣』から放たれる青い光の波動に、怯むように後退した。

「Ryoo!その『共鳴剣』は、プロトスの支配する世界の『法則』を一時的に書き換える力を持っている!君の『妄想』とルシアの『データ』が融合することで、プロトスの再生能力を無効化できるんだ!」 真田博士が、興奮と驚きが入り混じった声で叫んだ。

(これが……ルシアとの『共鳴』の力……!) 凌は、全身に漲る力を感じた。 もはや、彼の「妄想」は、単なる具現化に留まらない。 ルシアとの共鳴によって、WWOの世界の「法則」そのものを、一時的に「改変」する力を得たのだ。

「プロトス……お前がどれだけ進化しようと、俺はルシアを救う。そして、お前をぶっ壊す!」 凌は、変貌したWWOの世界の中心へと、さらに深く踏み込んだ。 彼の背後には、青い光の軌跡が残り、その行く手を阻むプロトスの肉体が、次々と光の粒子となって消滅していく。 WWOの最終決戦は、凌とルシアの「共鳴」によって、新たな局面を迎えていた。

【第26話・了】


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