20.獣
ーー翌日の朝
獣くさい臭いがする。
まさか私の臭いじゃないよね。
この竜体からはメス竜特有のミカンのフルーティーフローラルな香りが漂うのだから。
いやまさかね、万が一臭いが共存できるとしたら。
もしかして私って獣くさい?
くんかくんか
寝ころんだ私が白い首を背中に回すと、幼い女の寝顔が目に映った。
ぷにぷにのほっぺが女の子らしさを強調している。
「誰よこの子。 保護者はどこに?」
草原の中に親は見当たらない。
私は4足で立ち上がり、幼女をじっくりと観察する。
小学5年生くらいの背丈だ。
服装はクリームイエローの着物で、帯の中央には大きな黄色いタンポポが印字されている。
髪は肩まで掛かっていて、稲穂を連想させる黄金色。
胸の膨らみはたわわじゃなかった。ぺっちゃんこ。
謎の和装の幼女、そして妖女でもある。
頭上には人間にあるはずのない黄金色の耳が生えていたのだ。
狐耳。
ふっ ふふふ
獣臭いのは私でなく、この子の臭いだったのね。
私は胸をなでおろした。
表現としては正確さに欠けることだろう。
胸をなでおろしたと同時に、胸が躍ったのだ。
狐っ子かわいぃぃぃぃいいいい
私は竜の腕で優しく幼女の頭を包み込む。
あるべき位置に人間の耳の感触がなかった。本物の獣人だわ。
母竜を見たから今さら驚かないけど。
狐っ子はニヤけた顔で「羊が一匹、羊が二匹」と寝言をつぶやく。
食べちゃいたいくらい、かわいいなぁ じゅるり。
ペロっ
「ひゃいっ。 何するのじゃ!! くすぐったいのじゃあぁぁあ」
狐っ子は目を覚まし、立ち上がろうと足をばたつかせるが、竜の腕が彼女をホールドして離さない。
「私はメスドです。あなたの名前は?」
「わっちの名はタンポポでありんす。 お主はあれか? 不審者の竜でありんすか?」
疑念に満ちた顔つきでタンポポが言う。
しかし、お互いさまである。
「私の寝床に潜り込んだあなたこそ不審者でしょうに」
「むっ、そうじゃな。 お主のミカンの香りで心地よい眠りにつかせてもらいんした」
あーっやっぱり匂うんだー。なんか恥ずかしいなぁ。
「このミカンの匂いどこから出てるんだろう」
「知らないのでありんせうか? わっちが教えてあげようぞ」
タンポポはドヤ顔をした。
なんと! ついにナゾ解明か




