21.柑橘類
狐っ子のタンポポは深呼吸して言葉を吐き出す。
「この地の人間どもは、昔から獣人を追害するでありんす。 あやつら猿は獣人の住処を焼き尽くし奪い取るのじゃ。 自分たちの生息域を広げるためなら、手段を厭わないのでありんしょう。 わっちの故郷は1年前に人間の手によって亡くなったのじゃ。」
「語りだした」
「故郷の獣人は逃げ出せたが、狐村の再建にあたって資金が必要だったのじゃ。 村人全員で、獣人の国から多額の金銭を借り入れたでありんす。 みんなで復興しよう!って意気込みだったのじゃが、村長が裏切って全額持ち逃げしやがったでありんす。 村長マジ許さんのじゃ!! 」
うん、ミカンの話関係ないね。
「お主のようなドラゴンは、人間どもに討伐されて生息数が減っているでありんす。 武具の素材としてドラゴンは一級品だからの。 人間は装備を整えてから獣人を襲うのじゃ」
やはり、竜と人は相いれないようだ。正直ガッカリだわ。
人間は自分たちが一番偉いのだと勘違いしているのは、どこの世界でも同じらしい。
「数が減り、衰退期に入ったドラゴンは繁殖に飢えておる。 竜の女子を産むのに必死でありんしょう。 理由はトカゲやヘビやドラゴンは、オス抜きで子どもが作れるからの」
「爬虫類って自由が利くのねー」
私も一人で子を産めるのだろうか。
処女出産なんてした暁には聖女にでもなれそう。聖竜かな。
しかし伴侶不在は悲しきかな。
タンポポは着物の下の尻尾をわさわさして言う。
「みかんに含まれるヘスペリジンで体がポカポカになるのじゃ!」
どういうことだ。急にミカンの話を突っ込んできたよこの人。
「お主は親竜にメスであることを望まれて産まれてきたのじゃな」
話の流れが見えない。
「爬虫類の卵は孵化する温度が高いと、メスが生まれるタイプがありんす。 ドラゴンはそれに当てはまるのじゃ」
なるほど、卵の温度でオスメス変わるって訳ね。
ドラゴンにとってメスの方が繁栄に都合がいいから、なるべく温める訳と。
「一時期、ミカンの温め効果が注目されて、メスの子孫に飢える竜の間でミカンが流行ったのじゃ。 竜のミカン風呂。竜のミカンジュース、ドラゴンは巨体だからミカンの消費は凄いものでありんした。 ドラゴンによる畑被害も」
ふむ。
「つまりの、親竜は超絶ミカン臭いのじゃろう。 お主にその匂いが移ったのじゃ」
なん・・・だと
私のミカンの匂いは、母竜の体臭だった。




