18.旅立ち
翌日ーー
私の、竜のうなじがチクチクする。
枯草や藁が敷き詰められた、竜の巣で寝ていたからだ。
藁の先っちょで痛む、竜のうなじと竜の背中。
ついに私は、仰向けで寝ることに成功したのだ!
だが両手を上げて、腹を出したメス竜には、威厳がない。
比べて母竜は、座ったまま寝ており、白銀の翼で私を覆い尽くしている。やや強い、冷たい雨から、私の体温を守ってくれているのだ。母竜は雨が平気だと言う。竜の翼には、油の膜が張っていて、雨水を弾くみたい。
母竜はビニール傘だ。これはカラスにも言える。
カラスは、油を分泌する器官を備えており、その油を羽根に塗り立てることで、翼をコーディングするのだ。
つまりカラスは、雨と汚れを防ぐ高性能動物なのである。
ドラゴンは、猫の生活水準に負けても、カラスの防水性能には負けないのだ。
だけど、疑問に思うことがある。
そもそも屋根の下に巣を構築すれば、母竜は雨に打たれる必要がないのである。これは電柱に巣を作るカラスも同じだ。
カラスも、雨からヒナを守るために、その翼で覆うことがあるのだ。
しかし、雀は違う。
雀は、電柱に巣くっても、雨に濡れない。
電柱の隙間にある鉄パイプの中で、巣作りするのだ。
私たち竜は、カラスに負けないものの、
雀の建築技術には勝てないのだ。
そして、動物格付けランキングの中間結果だ。
1位、建築の雀
2位、防水のカラス
3位、眠らない猫(当社比)
4位、ただのドラゴン
尊敬に値するほど上位なのだ。
もちろん、私による独裁ランキングである。
さて、母竜は起きた。
屋根下に巣作りしない理由を尋ねるとしよう。
「なんでここに巣くったの?」
「雨に濡れたら気持ちいいじゃない?」
ぼんやりのほほんな返事。
私は考えるのを諦めて、寝ることにした。
翌日ーー
私はうつ伏せで寝ていた。しかし気にすることはない。
今日こそ、人化の術を習得するために、ダンジョンへ行くのだから。
私は母竜の背中に乗って、竜の巣を旅立った。




