16.サポードと会話
空が橙色に染まった夕方だ。
私は東の森から、竜の渓谷に戻っていた。
ここまで母竜の背中に乗せてもらって、飛行してきたのだ。
母竜の鱗はひんやりして気持ちよかった。
私を竜の巣に降ろすと、
母竜は準備をすると言い残し、川辺に出かけた。
なんと私は、父竜の召喚方法を教わるのだ。
事情は分からないが、父竜は生きていたらしい。安心したわ。
竜の巣に先着がいた。
またあいつが腰かけている。
薄水色の翼を有した裸男、サポードだ。
「やぁ! おかえり!!
マザードと、ご馳走を食べてきたのかい?」
サポードは、私の口元に指を差した。
私は人肉を食べて、良い気はしなかった。
だから、短めに返事をした。
「人間」
裸男は目を見開いた。
「それはクレイジー だね」
硬直している。
「えっ ドラゴンって人間を食すんだよね?」
サポードの顔は引きつった。
「食べなくはないと 思う
理性のある生き物は 普通、食べないね
気持ち悪いし サ」
「えっ」
母竜は、人間を丸呑みしてたよ。ごく自然に。
私も口にしてしまったんだけど!
「マザードは 竜の中でも例外 かな
人間には、婚約者をスピリット化された恨みがあるから ね」
「私の父竜のことよね?」
「そうさね
スピリットのことはご存知 かな?
魂が大地に縛られ、自我を失った者のことなんだ
あれはもう 父であって父でないんだ」
ああ、そうだったのね。
父竜が燃えても、母竜が動じなかったこと。父竜を物扱いしていたこと。
私の頭は真っ白になった。
「僕は、キミのことが心配になったよ
今のうちに 常識を教える ね」
サポードは黒もやから、巻物を取り出した。
そして、その手で紐を解いて、私の前に巻物を垂らした。
巻物は、水色の光を発した。
すると、私の脳が書き換えられていった。頭痛がする。
「なによこれ」
「僕が作った魔法『ドラゴン-マップ』 サ
いつでも地図が見れる、優れもの
ハハ 自画自賛だね
まぁ ドラゴン-マップって 唱えてみてよ」
『ドラゴン-マップ』
ーーー【マザード大陸】ーーー
海海海海海海海海海
海 ? 国 ? 海
海 村 山 森 海
海 ? 国 ? 海
海海海海海海海海海
ーーーーーーーーーーーーーー
頭の中に地図が浮かび上がる。
マザード大陸、だと?
直訳で、母竜大陸ではないか。
どうやら魔王母竜の支配地域は、海に囲まれた島全体のようだ。
しかし雑な地図だなー。
「地図出たかな?」
「うん」
「地図が雑とか思った?」
「うん」
サポードは肩を落とし、わざとらしく落ち込んだ。
「今、 僕たちは地図中央の山にいるんだ
右が東の森だね
左はニシノ村
上はドゥルニア国
下はセドシタ国」
「なるほどー」
目に力を入れると、村名や国名が薄っすら見えた。
「名前が不明なところはダンジョンだね
冒険者や勇者の稼ぎ場所 サ
最奥には、強力な魔人がいるらしいよ
みんな、母竜の友達なんだけど ね
山より下の地域は、竜信仰があるから安全だね
それより上のドゥルニア国は、特に魔王竜と敵対しーーー」
「川修行の準備が整ったわよー 。父竜の使い方をマスターしてね」
母竜が飛んできた。
「おっと、話はおわり
んじゃ マザードと修行を頑張りなよ」




