12.決着?
――――大賢者マリスア -side-
魔王竜と大賢者。最強コンビだ。
息子よ、奴隷の私を置いて、全速力で逃げて
と、心で叫んで声にした。
「息子よ、奴隷の私の全速力で、逃がさないわ!」
噛んだ。
「俺があなたを救って見せます、母上」
息子は黒刀を前に突き出した。
聖剣ファザードは陽の光を吸収し、黒光りする。
「返り討ちにしてあげる」
奴隷だから、体と口が自動的に動くのだ。
私は真横に黒もやを出現させ、手を突っ込み、中から黒い杖を取り出した。
この杖は魔法を飛ばせる。といっても、素手と威力は変わらん。
杖の役目は視線誘導だ。一度しか魔法が使えぬ私の、読み合いを補助するのだよ。
私は杖を振り上げ、持ち手にあるスイッチを押した。
杖の先端が赤、黄、青、橙へ、点滅を始める。むろん、意味はない。
息子は身を縮め、次の行動に出る姿勢を取った。
杖を光らせるだけで、みんな警戒してくれるの。ちょろいわー
まぁ一撃くらったら死ぬし、当然だが。
私の技は4つ。上級火炎魔法-フレイム、上級落雷魔法-サンダー、上級真水魔法-ウォーター、上級地震魔法-揺れ。
フレイムは、直線上の敵を焼き払う。
ここは一本道だから、私がそのまま放ったら、
息子は樹木に駆け込むか、上空にジャンプせざる負えない。
サンダーは、空から雷撃を落とす。
上空にも逃げ場はない。
ウォーターは、飲料水をチョロチョロと出す。
無限においしい水が湧き出るのだ。冒険には欠かせない。
揺れは、地面を揺らして人を転ばし、息子の動きを、私ごと止める。
ダメージは入らないが、集団戦で重宝される魔法だ。
後ろの魔王竜がドラゴニック・フレアを放てば、転んだ私と息子は、すぐさま消炭になるだろう。
私に加え、魔王竜のプレッシャー。
息子はどう出る?
決着の時だ。
私は、杖のスイッチから手を離した。
すると、杖の点滅が止まり、黄色の輝きを放ち始めた。
「上級落雷魔法-サンダー」
対して、息子は木々の中へジャンプした。
私はまだ魔法を使ってない。魔法の名称を口にしただけである。
勝ったな。
やっぱり私って強いわね!!
あの子はこう考えている、
木々に逃げ込めば、大賢者が唱えた落雷が対象をなくし、雷が樹木に当たって攻撃を回避できる。
ふっふっふっ。頭が魔法のことで精一杯だったようね!!
着地狩りしてやるわ。
息子はジャンプの勢いを失い、降着した。
そこよ。隠れても関係ないわ。樹木ごと燃やし尽くしてあげる。
杖を持たない方の腕を振り上げ、詠唱した。
『上級火炎魔法-フレイム』
しまった。
最後に放った魔法は、自らの意志で飛ばしたのだ。
熱を入れすぎて、相手が息子だということを失念していた。
「息子よおおおおおお。絶対避けてええええええええええ それくらったら死ぬからあああああああ」
――――大賢者マリスア -side-end-




