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ドライヴン - 感情は、長く抑えてはいけない。  作者: 黒金カズナ
第五部 ルート

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第十八章 – 朝の霧

コイは本部の扉の外で体を伸ばした。その後ろではリサがあくびをして、デニスはまだ壁にもたれて眠っていた。


「なんでまだ眠いの?」

コイが手を空中でバタバタさせながら聞いた。


「ふあぁ……昨日の夜デニスと任務の話してたから」

リサは目と目の間の鼻の付け根をつまんで、少し首を振った。


「もう出発する?」

ザヒラの声が前から近づいてきた。コイとリサにそれぞれまだ湯気の立つ肉まんを渡した。


「ザヒラ先輩、こんな朝早くに任務から帰ってきたんですか?」

温かい肉まんを両手でジャグリングした。


「私の任務は潜入が多いから、昼や夕方に潜入するわけにいかないじゃん。もういいや、眠いから入る」ザヒラは眠っているデニスに気づかないままさっさと中に入っていった。


デニスが目を開けて、リサとコイの手にあるものを混乱した目で見た。


「肉まんどこで手に入れたの......?」


「さっきザヒラ先輩がくれた」


「チクショウ、俺の分は買ってくれなかったのかよ」

デニスは中を覗いた。ザヒラはもう廊下にいなかった。


「まあいいや、自分で買う、ふあぁ」

デニスが大きくあくびをした。


後ろから車のエンジン音が聞こえて、三人の横に止まった。窓が下がるとベータが運転席にいた。


「あれ……ベータじ運転できるんですか?」

リサが車にもたれながら聞いた。


「ベータできるよ、免許もある。早く乗って、また寝れるから」

リサとデニスが交互にあくびをした。リサが後ろのドアを引いて乗り込み、デニスと並んで座った。コイは助手席に座った。


車が動き出して揺れた。リサの目が車の揺れに合わせて開いたり閉じたりした。ベータが急ブレーキをかけた時、デニスが前の座席にぶつかったが目を覚まさなかった。

リサはシートベルトを引っ張って装着を確認した。


デニスのようにならないように。

そのうち瞼の重さにはもう耐えられなくなった。


***


車が大きく揺れた。リサが目を開けた。ベータとコイはもう目の前にいなかった。リサは目をこすった。左肩に鈍い痛みを感じた。デニスが口の端によだれを垂らしながらリサの肩を枕にして眠っていた。

リサはデニスの頭を掴んで押しのけた。デニスの顔が車の窓にペタッとくっついたが目は覚めなかった。


「そんなに眠いの?」


リサはティッシュを取って肩を拭いた。それからドアを開けて外に出た。冷たい空気がすぐに体に入り込んできた。両肩を抱えた。

目の前には細い道に沿った畑しか見えなかった。周りを見渡しても意味がない、霧がエリア一面を覆っていた。


「デニスまだ起きてない?」

ベータが聞いた。マスクが真ん中のあたりで開いていた。何かを口に入れていた、影がマスクの開いた部分の真ん中を覆っていた。


「んん?」

ベータはお菓子とリサを交互に見た。

「リサも食べる?」

ベータはポケットに手を伸ばした。


「あ、大丈夫です。さっきザヒラ先輩の肉まん食べたので」

リサはコイの方へ歩いていき少し止まった。

「デニスにあげてください、あいつまだ何も食べてないので」

ベータは指でオーケーサインを出した。


大きな剣、柄が上を向いていた。尻尾がなければコイだとわからなかっただろう。


「コイ、そんな大きい剣どこ持っていくにも重くない?」


コイの尻尾が振り返りながら素早く揺れた。

「大丈夫だよ」

コイは柄を引いて地面に突き刺した。地面が少し揺れた。


剣は鈍い長方形で、どこにも刃がなかった。向かい合った足跡のような模様が鏡のように対称についていた。リサは両手で柄を掴んで引っ張ってみたが剣はびくともしなかった。少し傾くことすらしなかった。


「お重っ」

リサは手を離して少し後ずさった。


コイは片手で傾けてそのまま空中に持ち上げた。空中で傾けたまま静止した。腕は真っ直ぐで、震えなんて全くなかった。

「へへ……軽いよ、僕には」

コイは剣を背中に戻した。


「でもリサ姉が持てなくても全然大丈夫。デニス兄貴も、ザヒラ姉も、レイヴン姉も、父様でさえ、僕の剣持てないから」


リサは肩をさすった。

「ベータじの名前は言わなかった」


コイが頷いた。

「うん、ベータじは持てるから」


「ボスでも持てないなら、獣人専用の剣ってこと?」


コイは首を横に振った。

「そうでもないよ、レイヴン姉は持てないから」


「そっか、じゃあレイヴンのこと知ってるんだね?」

冷えた手を擦り合わせた。


「知ってるよ、僕が引き取られた時。書類上の母はレイヴン姉になってるから」


「ザヒラ先輩じゃないの?」

もたれるものを探して後ずさった。でも車も木も遠すぎた。


「ザヒラ姉じゃないよ……」

コイは指を立てた。

「ザヒラ姉がファミリーに入ったのは去年で、僕が父様に引き取られたのは三年前。だからレイヴン姉が仕方なく母になって、書類的に……なんていうんだっけ。書類が正式になるために」


コイは説明しながら人差し指を振った。

「あ……でもレイヴン姉はお母さんって呼ばれたくないんだって、自分が僕のお母さんだと思えないから、そう言ってた」


リサは空を見上げて、冷たい空気に吹き飛ばされた疑問の欠片をつなぎ合わせようとした。

「あとでいいか」


「ふあぁ……何の話してたの?」

デニスが体を揺らしながら歩いてきた。

「さっ……寒っ!!」

デニスが震えて自分を抱きしめた。


「今起きたの、もし魔物がいたらもテントに入ってきて」

コイが腰に手を当てた。尻尾が高く上がってから素早く揺れた。


デニスは左手だけにある白い手袋をはめて引っ張った。手袋がその道筋に沿って青く光った。

「はいはい行くよ」

まだ声が弱々しかった。腕を上に振り上げて、手を傾けて前に振った。重いドローンの音が車から聞こえてデニスの横に来て大きな箱を運んできた。


デニスはまだ細い目のまま畑の中に歩いて入っていった。ドローンも後に続いた。リサとコイが振り返ってベータに手を振ると、ベータも手を振り返した。


「バイバイベータじ、帰る時にチャットするね!」

コイが叫んだ。


ベータは口の周りに手を丸めた。

「わかった!」と叫び返した。


コイはデニスとリサの間を歩いた。リサが何度か後ろを振り返るのをコイが気づいた。リサとぶつからないように歩幅を合わせた。


「どうしたんですかリサ姉?」


「ベータじ来ないんだね?」


「ベータじお休みだから、誘ったら悪いなと思って」

コイの耳が少し下がった。


「確かにね」


コイがゆっくり足を踏み出した。

「あ、気をつけてくださいリサ姉、道が濡れて——」


ズザッ。

ドスン。


「いったぁ……」


目の前でデニスが滑った。足が木に向かって真っ直ぐ伸びて、頭は下になって泥の地面にもたれた。幸いフードが頭を守っていた。


「デニス、そこで寝ないで」


「滑ったんだよ、バカ!!!」

レイヴンについて、少し見えてきましたか?


コイとの関係、これからもっとわかってくると思います。お楽しみに!


それにしても……デニス、大丈夫かな。ふふ。


拙い部分もあると思いますが、「面白かった」「ここが気になった」「このキャラ好き/嫌い」など、なんでもいいのでコメントもらえると泣いて喜びます。感想が励みになるので、ぜひ気軽に残していってください!


ぜひ【ブックマーク】や【絵文字】で応援してもらえると嬉しいです!


また次話でお会いしましょう~!

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