表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドライヴン - 感情は、長く抑えてはいけない。  作者: 黒金カズナ
第四部 ガールズトーク

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/25

第十四章 チェリードレス

リサはシャワーを終えてメインルームに向かった。ビ・ニャイが誰かのためにお茶を準備しているのが見えた。


「ビ・ニャイ、温湿布をもらえますか? 生理中で、まだお腹が痛くて」


「はい、お嬢」ビ・ニャイはすぐに台所へ向かった。


リサは濡れた顔を拭き、頭にタオルをぐるぐると巻いた。向かいに座っている人を見ると、チー・ロクがいた。チー・ロクはぎこちなく笑って手を振った。


「おはようございます、リサ先輩……」チー・ロクがぎこちなく挨拶した。


「チ、チー・ロク……いつの間に?」


リサは椅子の背もたれを手で払ってから座った。抱き枕を取ってお腹に押し当てた。


「あ……さっき着いたばかりです……」


しんと静まり返った。リサの視線がテーブルに向いた。アセプの席が空だ。口を開こうとした。


「あ」「あ」


「どうぞ」「どうぞ」


「ぷっ」「ぷっ」


二人の笑いが弾けて部屋に広がった。アセプが廊下から入ってきた。


「あ、リサもういたか。お前に会いに来た人がいるって探してんだ」


「はい、ボス。もう会えました」


リサは目の端に滲んだ涙を拭いた。アセプは微笑んで、二人を残してまた部屋を出ていった。


「それで、チー・ロク」


「ロクでいいですよ、先輩。その方が言いやすいし」


「あ、わかった。ロク、それでどういう経緯でここに来たの?」


「えと……えへん。私、今日はルンと一緒にHQに報告書を出しに行ってて。そこでアセプさんに会ったんです」


ビ・ニャイが部屋に入ってきた。


「失礼します」とゆっくり歩いてリサに湿布を渡した。リサは受け取り、枕を傾けてお腹に湿布を挟み込んだ。


「アセプさんに『今日休み?』って聞かれて」


「なんか馴れ馴れしいな」


「まあそういう方なんですよ、アセプさんは。休みって答えたら、リサ先輩と遊んできなよ~って言われて。最初はルンも一緒だからって断ったんですけど、ルンも行ってきなよって言って」


チー・ロクはグラスを手に取り、少し吹いてから一口飲んだ。


「遊ぶって言っても、ここには遊べるものが何もないし」


「だったら私と一緒に来ませんか? 昨日、パサール・スネン・カミスの近くに新しいカフェがオープンしてたんです」


リサはその名前を聞いてしばらく止まった。チー・ロクが首を傾げた。


「リサ先輩」


「あ……うん、何?」


「嫌だったら別のとこでも全然いいですよ」


「ああ、大丈夫。カフェに行こう。本物のカフェってどんなとこか私も見てみたかったし」


「本物のカフェ?」


「あははっ……なんでもない、忘れて。ここにちょっと待ってて、着替えてくるから」


***


自分の部屋で、リサは服選びに迷っていた。


「どれにしよう……外出用の服がない」


リサはハンガーをずらしていった。黒か灰色しかない。唯一違うのはパジャマだけだった。リサは一歩下がった。すると何かプラスチックの袋が当たる音がした。振り返ると、テーブルの上に服が入ったビニール袋があった。


「誰のだろ?」


部屋を見渡した。確かに自分の部屋だ。リサはその袋の中の服に着替えてみた。白いアクセントが入った赤いドレスだった。体にぴったり合っていた。上の部分がきれいに包み込んで、スカートも歩くのに十分なゆとりがある。


しばらく鏡で自分を見てから、急いでメインルームに向かった。廊下を歩きながら心臓がどきどきした。突然、ヘアゴムが引っ張られた。


「髪きれいじゃん、たまには下ろしてみれば」ザヒラが言った。「あとプロフィールのオンライン表示、消しておきな」


「うん、ありがとう、ザヒラ先輩」


リサが向きを変えて歩こうとすると、お腹の部分を後ろに引っ張られた。


「ドレス着てるのになんでまだウエストベルト?」


「え……何かあった時のために早く……」


「今すぐ外す!」


「わ、わかった、外します」


リサはウエストベルトを外して廊下の机の上に置いた。軽く跳ねながらチー・ロクのところへ向かった。チー・ロクが微笑んで立ち上がった。


「わあ~すごくきれいですよ、リサ先輩」


「そんなことないよ、服が違うだけだって」


「本当のことですよ」


リサが満面の笑みを浮かべてスカートを少し引っ張った。


「そ、そうかな?」


チー・ロクが素早く頷いた。


「リサ」後ろからアセプが呼んだ。


「何ですか、ボス?」


アセプがサイ・ホルスターを投げてきて、自分の太ももを指差した。リサはそれを太ももに巻きつけた。ダガーを一本差し込んだ。アセプの視線が下に向いてからゆっくり上に戻った。


「ちゃんと合ってるじゃねか。スカートも引っかかってない」


「引っかかる? これ、ボスのドレスですか?」


「俺が背が低いからって馬鹿にするな。レイヴンが前に買ったやつだけど、スカートが長すぎて似合わなかったんだよ」


リサはスカートを横に引っ張った。


「レイヴンの服……」


「レイヴン先輩ってドレス着るんですか?」


「ああ、見た目は怖いけど。一人でいる時は普通の女の子だ、あいつは」


リサはチー・ロクとアセプを交互に見た。その会話はそこで終わった。アセプがさっさとチー・ロクとリサを外に追い出したからだ。


***


チー・ロクとリサは街の外れを並んで歩いた。


「ロクはレイヴンを知ってるの?」


「はい、レイヴン先輩はすごく目立つ人ですから。私たちと似た白い髪で、でも私たちのは生まれつきで、実験によるものなんです。レイヴン先輩のはアルビ? アルボ? アルビノ、そうアルビノだと思います」


「アルビノ?」リサは確認のためではなく、本当に知らなかった。


「はい。私たちは生まれつきの実験によるものですけど、レイヴン先輩のは自然なんです。両親がアルビノでなくても」


リサは頭をかいて、まっすぐ前を見た。前方にパサール・スネン・カミスの入口が見えた。リサは少し足を止めて中を覗いた。竹が整然と立ち並び、人々が復元作業をしていた。それでも市場はまだ賑わっていた。


「先輩、もう着きましたよ」


チー・ロクがずっと前に進んでいた。リサは歩きながらまだ市場の中をちらちら見ていた。


カンッ!!


頭に響く音と共に目眩がした。額がずきずきと痛んだ。前を見ると、電柱にぶつかっていたことに気がついた。


「だ、大丈夫ですか、先輩?」


「大丈夫だよ、ロク」


リサは周りを確認した。頭の痛みは引いたが、胸がぎゅっとして、道行く人々の視線が自分に集まっているのを感じた。


***


ドアベルが鳴り、甘い香りがすぐにリサの鼻をくすぐった。リサは店内を見渡した。かわいいコンセプトのカフェだった。ピンク系の色調に、あちこちにキャラクターの飾り。ショーケースにはいろんなケーキが並んでいてリサの目を引きつけた。チー・ロクがリサの手を引いてショーケースの前へ連れていった。


「リサ先輩、ケーキ買いますか?」


「いらっしゃいませ。本日はいちごチーズケーキの新メニューがございます。ブラックチョコケーキは本日プロモ中で……」


レジ係が次々とメニューを読み上げた。リサの耳には呪文のように聞こえた。リサはただ黙ってレジ係に頷き続けた。

チー・ロクが一歩下がってリサに囁いた。


「リサ先輩、どのケーキが好みですか?」


「え……わからない、種類が多すぎて」


「お好みに合わせてご提案もできますよ。甘いのがお好みでしたら……」


レジ係がまた口を開いた。リサは視線を逸らした。左耳から入って右耳にそのまま抜けていった。

リサは首を振って、ショーケースに集中した。黒いスポンジに小さな穴が開いていてチェリーが乗っているケーキを指差した。


「こ、これだけください」


「ブラック・ソフトフォレストですね。一つでよろしいですか?」


リサが頷いた。頭が重くなっていた。


「私はストロベリークリームチーズを一つ」チー・ロクが割り込んだ。


「かしこまりました。ブラック・ソフトフォレスト一つとストロベリークリームチーズ一つですね。他にはよろしいですか?」


「以上です」


チー・ロクは手を返して腕時計をスキャナーにかざした。「ピッ」という音が鳴った。レジ係が頷いた。


「チー・ロク様のお名前で承りました。どうぞお座りください。お持ちします。少々お待ちくださいませ」レジ係はレシートをチー・ロクに渡して、両手を合わせた。


「ありがとうございます」チー・ロクはまだレジのコンピューターをぼんやり見ているリサの手を引いた。


窓際の席に座った。チー・ロクがリサの向かいに腰を下ろした。


「ふう……ロクって頭いいね。レジの人が言ってること全部わかったの?」


「全然です。聞かずに自分が食べたいのを選んで、後は言い終わるまで待っただけです」


「あ、なるほど……」


リサとロク、仲良くなれそうですね。


これからしばらくは、少し違う雰囲気でお届けします。お楽しみに!


拙い部分もあると思いますが、「面白かった」「ここが気になった」「このキャラ好き/嫌い」など、なんでもいいのでコメントもらえると泣いて喜びます。感想が励みになるので、ぜひ気軽に残していってください!


ぜひ【ブックマーク】や【絵文字】で応援してもらえると嬉しいです!


また次話でお会いしましょう~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ