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だめ貴族だもの。~だめダメ貴族の尻敷かれハーレム~  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第七章 他国を平和にすると侯爵が付いてくるとかなんとか編
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第265話 不敬は良くないが友達の土下座は見たくない

「すまないミスト! ほんっとうにすまない、許してくれ!!」


 あまり使いたくなかった領主謁見の間、

 その硬く座り心地の良くない椅子に仕方なく腰を下ろしている僕、

 両隣の椅子にはソフィーさんベルルちゃんだ、

 リア先生は立っていつでも土下座のメイソンの首を落とせる位置。


(いや、落とさせないよっ!!)


「えっとメイソン、あの妹は結局なんなの」

「カルモは俺の、この世の中で一番大切な妹なんだっ!」

「じゃあ、あんな放し飼いにしないでよ」


 奥で見てるアレグが話に入る。


「あの、領主様」

「話をスムーズにしたいからミストでいいよ」

「いけません、ミストくん」「ですわ」


 奥様二人に却下された、

 ここは真面目に侯爵として対応しろってことか。


「じゃ、じゃあえっと、ハプスプランカ男爵家、メイソン=ハプスプランカ卿について何か、えっとアレグはなんだっけ」

「イシュタヒルテン男爵家、アレグ=イシュタヒルテンですミスト=ポークレット侯爵様」


 ふたりの家名、学院時代に確かそれぞれ六回づつくらい聞いた覚えがあったんだけれどもな、

 まーるで覚えてなかったや、てへてへ、準男爵同士なんてそんなもんさ。


「ふたりして新年開催のオークレースへミスト様の、いえポークレット様のご招待で行っておりましたゆえ、

 最終レースが終わってから駆けつけて、はじめてメイソンは妹が来ていた事に気が付いたのです」

「それではメイソン=ハプスプランカよ、弁明を許す、ていうか土下座はもういいよ見たくない」「ミストくん?!」「いや、いいから」


 ここはさすがにソフィーさんには男の友情にあまり口を挟んでもらいたくないんだけれどな、

 侯爵になったからきちんとしろっていうのは当然だけど、僕にとっちゃ貴族ごっこだ。


「ええっと、そのっ! 妹には『まだ来るな』って言ってあったんですっ、王都の学校に通い始めて、

 友人が準男爵からあっという間に辺境伯になったって話したら、すっごい興味持って!」

「凄くね、でもそれって僕でしょ、じゃあなんであんな事されるの、どういう興味」

「そっ、その、ミストの事は、いえポークレット侯爵の事は、学院時代にそれはもう、よく話してはいたのですが」


 そうだったんだ、メイソンから妹の話はよく聞いていたけど、

 僕の話を妹にしてたっていうのは初耳かもしれない、

 もっと言えば妹の名前をちゃんと聞いた事ってなかったかも。


「んー、つまりどういうこと?」

「そ、それは、それは……」

「ミスト、私はわかった、説明させてもらおうか」


 リア先生がメイソンを厳しい表情で見下ろしている。


「はいお願いします」

「おそらくこいつの妹は、ふたつが結びついていなかったのだろう」

「すなわち、学院時代の準男爵家ひとり息子の僕と、現侯爵の僕が同じ人物だと思わなかったと」

「ああ、名前は同じでも、いやむしろどちらか一方は名前を告げていなかったかも知れないな」

「だとしたら今の僕の方か、メイソンなんでそんなことを」


 ぎくりとした表情になっている。


「その、今のミストのことは自慢したかったけれども、

 学院時代はさんざんなこと言っちゃってたからさ、それで」


 あー、確かに僕の学院時代の事を話せば、

 ろくな事は無かったんだろう、それでも話題にしてもらえただけでもマシか。


「すなわち、あの妹のカルモちゃんだっけ、あれは僕を見て『準男爵家のへっぽこ息子』のままだったと」

「何をどう聞いてミストの部屋へ行ったか知らないけれど、ミストが居るって聞いたなら、そういう態度を取ったんだと」

「うーん、これはちゃんと説明していなかった、メイソンが悪いかなぁ」「頼む、ごめん、許してくれっ!!」


 まーたへこへこ土下座している、

 だからそれ見たくないっていうの。


「ミストくん」

「はいソフィーさん」

「言ってしまいますが、彼は本当に、友達ですか?」


 なんでまたぎくりとした表情になってるのメイソン!

 しかも奥のアレグまで!!


「んー、まわりがどう見てどう感じるか知らないけれども、

 僕にとっては三年間、同じGクラスで助け合った学友、友達だよ」

「ミスト……ごめん」「ミスト、ありがとう」


 メイソンとアレグが感謝してるみたい、

 友達だから、友達なのは当たり前だろうっていう。


「でもミストくん、それとこれとは別よ」

「そうですわ、不敬は不敬ですわ」


 状況はモリィさんからしっかり聞いたらしい。


「それでもさ、友達の妹の首を刎ねる気は無いよ、

 地下牢で頭を冷やさせるのはいいとしても、知らなかったんだよね」

「そ、そうなんだ、だから俺にも罪はあるからさっ!」

「ミスト、鞭打ち位はしておくか」「リア先生やめてください!」


 でも、あそこまでやられてしまったらなあ、

 なぜあの子を僕の執務室まで通したんだって警備的な問題もあるし。


「ミストくん、こういう時は私を頼って下さい」

「と、いうと」

「処罰は私どもの方で考えて行います」

「ですわ、ミスト様は希望だけを申して下さいまし、ですわ」

「うーん、それがいいかな」


 考え込む僕。


「とにかく、髪の毛抜かれたのは痛かったし腹立ったけど、

 あ、あと靴を片方ぶつけられたのもむかついたけれど」


 思い出してちょっとイラッときた。


「ミスト、それだけで首を刎ねる条件は」

「わかってます、でも友人の妹です、ですから傷一つつけないで下さい」

「わかりました、ミストくんがそう言うのであれば」

「生命の危機にさらすような事は絶対しないで下さい、あとは反省を促して、

 ちゃんと反省するまでお仕置を、食事とかお風呂とかは普通にきちんと与えて下さい」

「さすがミスト様、お優しいですわ、ではソフィーお姉様とそれで相談致しますわ」


 まだ不安そうなメイソン。


「お、俺は、俺はどうしたら」

「メイソンに対してはそうだね、大切な妹がお仕置されるのを見るのが刑罰かな」

「む、無茶な事は、酷い事は」

「そのあたりはソフィーさんベルルちゃんが、最高に良いバランスでやってくれると思う」


 知らんけど。


「ミストくんにそこまで期待されるとは、嬉しいです」

「わたくしも、その子がしっかり反省するお仕置を考えますわ」

「という訳だからメイソン、メイソンの方からもしっかり反省するように言って欲しい」


 無言で頭を下げるメイソン、

 いやもう土下座はいいって土下座は。


「御主人様、パーティーの準備が整いました」


 やってきたのはメイド長のミランダさんだ、

 キリィさんモリィさんは警備の方かな?


「じゃあアレグもメイソンもパーティー楽しんで、ってメイソンはそんな気分じゃないか」

「……せめて妹に、パーティーの料理だけでも」

「招待してないのに勝手に来たんだよね? ちゃんと挨拶してたらまあ、迎え入れていたけれども」

「なら俺もいい、地下室で妹にしっかり話すよ」

「ある意味、メイソンも被害者みたいなもんだよな」「ミストくん違います」「ミスト様それは間違っていますわ」「ミスト!」


 お嫁さん三人に、一斉に突っ込まれる

  だめ貴族だもの。  ミスト


「じゃ、じゃあ、お仕置の内容はソフィーさんたち、お願いね」

「はい、決して『身体には』傷一つ付けませんから」

「しっかり反省を促しますわ、『食事と入浴』はきちんと、普通に与えますわ」

「ミスト、ミストの注文通りにするので、注文内容の部分『だけ』は安心してくれ」

「わかりました、じゃあメイソンを地下牢に案内してあげてください」


 この時、僕は思いもよらなかった、

 メイソンの妹カルモが、とんでもない、

 それはもう、えげつない『お仕置』をされる事を……。

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