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小さい大きいで決めるのなんて、愚か者がすること

大学のテストが終わって更新再開です(テストができたとは言っていない)

あの女装地獄は最終的に4回戦まで続いて父さんの一言でようやく終わった、最後なんて店員さんが「お似合いですよ」なんて言って混じってきた、男とバレたくないからワンピースの裾を握って俯いて店員さんがどこかに行くことを願っていた、あれほど恐ろしい時間はこの世界に転生してから一度もなかったと言える。


そんな地獄の時間が過ぎて俺たちは冒険者都市に戻ってきて一日が経った、朝食も食べ終わって父さんと母さんは仕事に出ていた。アーねぇ達も食堂の手伝いをするらしいが制服の関係上すぐには手伝いをするわけではないらしい、だから制服の準備が出来るまでは家で俺たちの面倒を見るということになった。


今はテーブルのある部屋に俺とクーねぇだけがいる、俺はクーねぇから魔法の方法を聞き出す事が目的としている、だけどそれを聞くと対価として着せ替え(女装)を強いられる、そんな気がする。


昔読んだ漫画でも言っていたな、何かを得るには何かを犠牲にしなければならないって、今は本当にそうだなって思うよ。

だからこそ、俺は逃げ道を確保しつつ最低限の損害で魔法を聞き出すことにした。


「クーねぇ、魔法について教えて」

近くにいたクーねぇに質問してみる、アーねぇの方はレイを抱っこしてどこかに消えている、部屋に引き込んでレイを着せ替え人形みたいにしているんだろうなぁ…。


「教えるわけ無いでしょ、変なこと言わないの」

やっぱし教えてくれなかった、俺としてもタダで教えてもらえるなんて思ってもいない、ここで切り札を出すしか無いようだな。


「クーねぇが教えてくれたら俺が女の子の服を着るかもしれないのになぁ」

切り札その1、俺が女装をすることをちらつかせて魔法の情報を引き出す、俺としては女装は嫌だけど魔法に対する好奇心を満たすためならこんなこと幾らでもやってやる。


「トキ、まさか…あの時のせいで癖になったとか?」

クーねぇがドン引きしながら俺を見ていた、俺の選択肢は間違えていたのか、結構食いつくと思ったのに予想外だった。


「癖にはなってないよ、ただ魔法に対する知識が欲しいだけ」

あれが癖になることは今後ありえないと断言できる、それにもう少ししたら男の子らしくなるんだから…なるんだからな。


「あんた、どんだけ魔法が知りたいのよ」

クーねぇが溜息をつきながら俺に質問をしてきた、そりゃ、魔法がある世界に転生した瞬間からですよ、前世のように科学が発展しているだけの世界に比べればこの世界は夢の世界としか言い様がない。


「ものすごく知りたいんだ、ダメ?」

質問の答えになっていない気がするがクーねぇに再度お願いをしてみる、これでダメなら第二の切り札を切るしかなくなる。


「ダメに決まってるでしょ、それにね」

やっぱりダメなようだ、まだ続きがあるが教えてくれないのなら聞く必要はないかな。

「それにね、トキを女の子の格好にするのは嫌がってるからこそなのよ」

聞く必要があった、サラリとクーねぇが恐ろしい事を言ってやがる、誰の血なんて言うまでもないけどしっかり受け継がれて嫌がる、変なところばっかり受け継ぎやがって。


「クーねぇの鬼!悪魔!!ペッタンコ!!!」

クーねぇに少しばかりの仕返しをして俺は自室に戻った、知りたくもない事実を知ってしまった、嫌がる素振りを見せるから皆が俺にあんな格好をさせるのか。


「魔眼の調整の練習でもすっかな」

右の魔眼に魔力を通すと人を除く全ての物が透けて見えだした、そこから少しずつ魔力を少なくしていく、徐々に人以外の物にも色が付き始めた、もう少しでいつも見ている風景になろうとしたその時、クーねぇの姿が見えた。顔ははっきりと見えないがどうやらお怒りのご様子だ。


「クーねぇ、入ってもいいよ」

魔眼に魔力を通すのをやめて扉の向こうに居るであろうクーねぇに声をかける。

そうするとクーねぇは静かに部屋の中に入ってきた。


「トキ…」

声が驚く程に平坦だ、怒りを静かに貯めているようにも思える。

「ど、どうしたの?」

少し距離を開けながらクーねぇに話しかけるが距離を離した分だけ距離を詰められた。


「私だってね」

「う、うん」

逃げ場が無くなり後ろにはベッドがある、これ以上下がると俺はベッドの上に逃げるしかなくなる。


「私だって好きでペッタンコじゃないのよ!」

そう言ってクーねぇは俺をベッドに押し倒した、…あんなに怒っていたのに怒る場所そこ?

ベッドに押し倒された俺は体制を整えようとしたけどクーねぇが上から覆いかぶさって身動きが取れない状態になってしまった。


「ねぇ、トキ…私ね魔術学校で聞いたの」

クーねぇが少し怪しい声音で話し始めた、魔術学校で聞いたことを聞くのにこの状況はおかしいと思う、せめてベッドに座って話すんじゃないかな。


「おっぱいって男の人に揉んでもらうと大きくなるらしいの」

クーねぇは結構色っぽい声音でそう続けた、教えた奴は正直に手を挙げなさい、怒らないから、俺は。


「迷信です、真に受けないでください」

本当のことらしいけど俺としては姉のおっぱいなんて揉みたくないから嘘を付くことにした。

「でも、大きくなった人はいるのよ?」

魔術学校は俺が想像していたのと違う魔法が溢れているようだ、全くうらやまけしからん。


「それは魔法です、俺には魔法が使えないので無理です」

あれは魔法に違いない、ホルモンを分泌させる魔法だと俺は思う、そんな魔法使えるわけがない。


「トキは胸が大きい女の子と小さい女の子どっちが好き?」

話が少し変わって俺の嗜好に変わった、胸が大きいか小さい…どっちも好きなんだよなぁ…大きい方は包まれる感じがして良いし小さい方は手のひらに収まって余すところなく体感できるから良いんだよなぁ。


「どっちもかな」

結論だけを端的に答えるとクーねぇは疑惑の目を俺に向けてきた、本当のことを答えたのに疑われるなんて心外だ。


「それじゃ、サイと私どっちがいい?」

地雷を踏み抜いたと今更気がついた、これは結構面倒な事になるだろうな、どっちが良いって、5歳も年の差なんだから比べる事じゃないだろうに、サイの方が大きいけど。


「サイ」

これは偽ることのできない気持ちだ、サイとクーねぇどっちがいいかと聞かれればサイに決まっている。

もう一度言うがサイの方が大きい。


「そう」

短くそう言ってクーねぇは俺の上から離れた、胸を揉めなんて無茶を言われなくて本当に良かったよ。

「ねぇ、クーねぇ」

これは聞いておかないといけない、そう思ったから今度は俺から話しかける。


「なによ」

少し不機嫌なクーねぇに俺は言葉を続ける。

「クーねぇって胸が大きい方が良かったの?」

母さんも小さい、アーねぇも小さいこの家族の血筋からして結構絶望的に思えるが0に近い数字でも希望があれば縋りたいのだろう。


「別に…ただアリアより大きい方がいいだけよ」

店で服を選んだ時もだったがクーねぇとアーねぇは何かにつけて張り合っている、何か理由でもあるのだろう。


「なんでアーねぇとクーねぇって競い合ってるの?」

理由が気になったから聞くことにした、何か裏であったのかもしれない。

「そうね、教えてあげるわ」

クーねぇはそう言って話を始めた、事の発端は魔術学校在学中でアーねぇとクーねぇの共通の友人の一言から始まったらしい。

「どっちが姉でどっちが妹なの?」

この一言でどっちが姉でどっちが妹なのかを本気で話し合ったらしい、その結果、あらゆることで優劣を付けて優れていたほうが姉と言うことで落ち着いたとの事だ。


「それだから、私は胸に詰め物をしていたのよ」

クーねぇは最後にそう言って話を締めくくった、まさかP○Dにもそんな理由があったなんて。

話を聞いた感想はただ一つ…しょうもねぇ…。


「トキはどっちが姉だと思う?」

「二人共」

双子なんだからどっちも姉であり妹であると俺は思っている、だけど当人達はそれじゃ納得できないらしい。


「アリアに勝ちたいの」

クーねぇは結構必死のようだ、俺としては互いに切磋琢磨している範囲だと思うから答えを濁しても良いかななんて考えている、行き過ぎたら父さんと母さんが止めに入ると思うし。


「う~ん」

考えるふりをして違うことを考えてとりあえず時間をかけて話を流すことにした、今日の昼飯何かな、母さん居ないけどどうすんだろ。

「とりえあず、レイとアーねぇに会いに行こう」

アーねぇの着せ替え人形にされていそうなレイがどうなったか気になるし。


「なんか話を切られた気がするけど行ってみましょうか、レイがどうなったか気になるしね」

そうして俺とクーねぇはレイとアーねぇが居そうなアーねぇとクーねぇの部屋に行ったがアーねぇとレイは居なかった。


「居ないね」

「そうね」

簡単に話して違う部屋に行こうとしたがクーねぇが俺の肩を掴んで止めてきた。


「トキ、あんたさっき女の子の格好をしてもいいって言ってたわよね」

「言ったけど魔法を教えてくれたら、だからね」

嫌な予感しかしない、言質を取られていると言えば取られているが俺だって条件を提示したから一方的にやられるわけがない。


「教えてあげるから女の子の格好をしない?」

「何を着ればいいの?」

魔法を教えてもらえると女装をしないといけないを秤にかけると魔法を教えてもらえるというほうが重い、服屋で女装を強要された時は俺に利が無かったし第三者にバレる可能性を考えた結果恐怖を感じていたが今は見るのはクーねぇだけ、そして魔法を教えてもらえると言う利がある、だから大丈夫だと思う、心の中で俺に言い聞かせてクーねぇの選んだ服を着ることにした。


「これとこれとこれの三着でいいわよ」

クーねぇがそう言って取り出したのは違いがあんまりわからないワンピースだった、本当に違いがわかんねぇ。


「分かった、着方がわからないからクーねぇが着させてくれる?」

女の子の服は見た目通りに着れないなんて話をどこかで聞いた記憶がある、だから女の子であるクーねぇに着せてもらおう。


「トキは甘えん坊だなぁ、お姉ちゃんに任せなさい」

そう言ってクーねぇは俺の服を脱がせ始めた、言って気がついたけどこれって相当恥ずかしい事なんじゃ、これでレイかアーねぇがきたら一発でアウトなんじゃ。


俺の不安と裏腹にレイとアーねぇはやって来ることなく一着目に着せ替えられた、下がスースーして気になる、女の子ってこんなスースーした状況に耐えているのか、いやぁ、すごいわぁ。


「ねぇ、トキって本当に男なんだよね、パパが勢い余って男って言ったけど本当は女とかってことじゃないよね?」

俺を見たクーねぇが感想を言っているが、俺はれっきとした男だ、ちゃんとモノがある。


「それであと二着着たらいいんだな」

「え、すぐに着替えておしまいなんてあるわけないじゃない」

まだだ、まだ絶望する状況じゃない、魔法を教えてもらえるんだ、無茶ぶりの一つや二つまだ耐えれる。


「トキ、少しベッドに座ってみて」

言われるままにベッドに腰掛ける、座るだけなんてクーねぇは何を言っているのだろう。


「足をこうして、そうそう」

クーねぇに色々修正されているが、クーねぇの真意がわからない、何がしたいのかがわからない。


「それでいいわ、少し待っていてね」

満足したのか部屋を出ていった、嫌な予感しかしない、レイとアーねぇがこないことを願う。


「待たせたわね」

そう言うとクーねぇが部屋に戻ってきた、レイとアーねぇを連れて。

「なんで、アーねぇとレイが居るんだよ」

「私が呼んできたからよ」

クーねぇは何事も無いように言うが少し予想外だった、呼びに行くなんて。


「トキ、本当に似合うわよね、座り方も女の子っぽいし」

アーねぇが感想を言っているが、今の座り方はクーねぇの指示だから、断じて俺が自主的にやったわけじゃない。

「お兄ちゃん…じゃなくてお姉ちゃん」

レイがイケナイ世界に旅立ちかけている、俺のことをお姉ちゃんと呼び始めた、クーねぇはなんてことをしてくれたんだ。


「トキが後二着も着てくれるのよ、アリアもレイも好きなポーズをさせてもいいわよ」

条件の中にそんなものなかったがここで断るとここまでしたのにあっちも条件を飲まないかもしれない、だからここは堪えてクーねぇの無茶振りに答えよう。


「そう、それじゃ」

アーねぇとレイとクーねぇは目を輝かしていた、失敗したかな、俺がそう考えているのをお構いなしで指示をされた、これがまだ続くと思うと少し俺の考えの足りなさに泣きそうになった。

数話で次章に行くつもりが長引いたけど…もう少しなんだ…もう少しで…次章にいけるんだ。

キング・クリムゾン、馬車内での時間を吹き飛ばす…半分以上書いてこれは泣けた


2週間以上かけて書いた結果、前回の続きなんて…なんて…少し泣こう、泣いて水(涙)に流そう。


本当に待たせて申し訳ございませんでした。

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