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心という器はひとたびヒビが入れば二度とは

聖皇国にあるお店を見る事になったがほとんどは女性の服やアクセサリーが売ってある店だ、服を見て話し合っている女性陣に混ざるわけにもいかず父さんと少し離れた場所で見ている、その間は俺が思った疑問を父さんにぶつけていた。


「服って白色しか無いよね」

一応だが祖父に当たるあの肉は結構豪華な服を着ていたが服屋の服を見ても白しかない。

「階級の問題だな」

父さんは短く答えた、詳しく聞いてみると平民階級は白のみ、貴族階級から色の付いた服を着ることができるらしい、見た目で貴族と平民を分けるためらしい。


「だとしても長いよね」

母さんたちが服屋で服を見始めて結構時間が経っているように思える、だけど一向に満足する様子はない、今の店で4件目だ。


「女性の買い物は長い、覚えておいたほうがいいぞ」

父さんの「夜帝」としての経験なんだろう、アーねぇとクーねぇの二人でも長かったが母さんとレイも加わるとそれ以上に長い。


「服ってどれも一緒じゃないの?」

白一色のみという時点で着る物なんてどれも同じになるんじゃないかと思う。

「服といっても種類が多いからな」

白一色しか無いからこそ服の形を多種に作って選択の幅をできる限り広げているらしい。


「それにしても長いよね」

店内はハンガーに似た物に服がかかっており、前世の服屋に似た構図になっている、この構図の服屋が多い、過去に俺と同じ世界の人が転生して俺たちの世界の文化を広めたの可能性があると思う。


「トキもこっちに来るように」

父さんと遠目から見ているとアーねぇがこちらにやってきて俺の手を引っ張って母さんたちの方へ連れて行った、女性ものばっかなので恥ずかしい。


「これからトキにも見てもらいながら服を見ようかと思います」

アーねぇの宣言にクーねぇとレイが小さく拍手する、俺としては羞恥プレイか何かかと思ってしまう。

俺の思いなんて関係なくアーねぇ達は服を見始めた、俺としては目のやり場に困る。


「トキって女の子でも通りそうだしこんな服でも似合うかもよ」

適当に遠くを見ているとクーねぇが白のワンピースを持ってきた、似合うかもよって性別の壁で着るの無理だから、心も折れそうになるし。


「変な事言わないで自分に似合いそうな服を探せばいいのに」

クーねぇが着れば似合うと思うけど俺が着るとなると似合う気がしないから着るという流れになることは全力で阻止したい、俺だってプライドはある。


「ふふふ、さっきまで私たちの会話を知らないからそんな事が言えるのよ」

クーねぇが笑いながら何かを言っている、さっきまでの会話…どの服が可愛いとかの会話じゃないの?


「私たちがさっきまで話していたのは「トキにどの服を着せれば似合うか」を話していたのよ」

父さんとの会話がすごく懐かしく感じる、あの時に戻れたらどんだけ幸福なんだろう。

そんな事を考えているとアーねぇが最初に言った言葉が気になった、「これからトキにも見てもらいながら服を見ようかと思います」これって…俺に服を見せながら似合う服を探そうと思うって意味なんだろうか。


「ねぇ、クーねぇ…一つ聞きたいんだけど」

これを聞いておかないといけない気がした。

「ん、何?」

クーねぇは服が俺に似合うかを確認しようとしていたけど手を止めて話を聞いてくれた。

「母さんは…この話を聞いてどうだったの?」

レイと並んでこの家族の良心とも言える母さん、母さんなら止めたに違いない、止めようとしたけどアーねぇとクーねぇに押し切られたに違いない。


「一番ノリノリだったわね」

俺の願望なんて関係無くクーねぇは無慈悲な宣告をした…母さんが一番止めそうなのに。

「それじゃ、レイは?」

母さんと並んで家族の良心であり癒しである可愛い妹は止めてくれたに違いない。


「一回止めに入ったけどトキの顔を見てから積極的になったわね」

レイと言う良心だけでは三人を止めれなかったようだ、俺を見て積極的になったのは多分空気を読んだからに違いない、断じて俺のことが嫌いになったとかじゃないと思いたい。


「聞きたいことはそれだけ?」

クーねぇに言われて考えるが聞きたいことはない、俺が女物の服を着なくて済む方法を考える方が重要だ。

「うん」

俺が頷くとクーねぇは服を俺の体に当てて似合うかどうかを確認してきた、まだ確認だけだ着させられていない。


「似合うと思うけどママ達が何を選ぶかな」

母さん、アーねぇ、レイが選んだ服がまだ残っているのか…想像するだけで胃がキリキリ傷んでくる。

「それってもしかして」

クーねぇも俺に似合うか確認してきたんだ、後の三人がそれをしないと言う保証はどこにもない。


「多分皆どれが似合うか確認すると思うよ」

クーねぇからも同意をもらう、心が根元からへし折れそうだ。

「それとね、トキ」

どうやって逃走しようか考えているとクーねぇが話を続けた、俺としては続きに嫌な予感しかない。


「一番似合った服は着てもらうから」

人攫いに売られそうになった恐怖なんて今の恐怖に比べたら小ちゃな物だ、男が女の服を着る、俺の容姿は中性的らしい…ってことは男の娘か。

もしこの世に神が居るのならこの状況を見てさぞ爆笑しているだろう。


「トキ、ここにいたんだ」

心の中で神と今の状況に絶望しているとアーねぇがさっきクーねぇが持っていた服と似た感じの服を持ってやってきた、さすが双子好みが似ている。

「それが俺に着せてみたい服ってこと?」

事の趣旨を理解したから先手を打って聞いてみる、開き直って受け入れると今だけは精神的なダメージが少ないと思う。


「クレイから聞いたのなら話は早いわ」

そう言いながらアーねぇも服が似合うか確認してくる、話を聞いても納得はしていない、ただ開き直っているだけだ。

「私の勝ちはもらったわね」

アーねぇは確認してそう呟いた、出来ることなら皆負けがいいと思う。


「アリア、まだママとレイが決めていないわよ」

クーねぇが結構冷静にアーねぇにツッコんでいる、そうかまだあと二人も残っているのか。


「そうだけど…クレイには勝ったかなって思う」

仲が良いと思っていたけど見えないところで張り合っていたのかな、少し意外だった。

「変な事言わないの、私のほうがトキに似合う服を見つけたもん」

クーねぇはそう言いながら自分が選んだ服をアーねぇに見せた、やっぱり服の意匠が似ている。


「それも可愛いわね、でも最後に選ぶのはトキなんだしトキに選んでもらいましょう」

アーねぇはクーねぇの選んだ服を褒めているが俺としては服の種類じゃなくて性別の種類の方は考えて欲しい。


「それでトキ、どっちが似合うと思う?」

「そうよ、どっちが似合うと思う?」

アーねぇとクーねぇに詰め寄られるが前世から今に至るまでファッションなんて興味がない俺にはどっちがどうなんて分からないし決めようがなかった。


「母さんとレイが決めた服を見たあとに決めてもいい?」

今の俺にできるのは茶を濁すくらいだ、その間に適当な言い訳を考えて男の娘化するのを防止しないといけない。


「分かったわ、服を選ぶのとアリアと私どっちの服が好みだったか選んでもらうから」

敵から逃げようとして回り込まれた挙句仲間を呼ばれた勇者になったような気分だ。


アーねぇとクーねぇとあーでもないこーでもないと話しているとレイと母さんが服を持って戻ってきた、母さんは物凄くいい笑顔を浮かべている。

「トキ君に似合いそうなワンピースを見つけたわよ」

母さんはそう言いながらフリルの付いた白のワンピースを持ってきた、血の繋がりってこわいね、三人もワンピースだよ。


「お兄ちゃん、私も見つけたよ」

レイも服を見つけたようで俺に白のシャツとスカートを持ってきた、シャツだけならまだ大丈夫だがスカートまで持ってくるなんて。


「トキ君は話は聞いたかしら?」

女物の服を持った4人に囲まれながら母さんに聞かれた、中身は聞いたけど聞いただけで納得は出来ていない、父さんもこっちを見ているけど母さんたちが持っている物で察したのか遠くを見始めた、ここで助けてくれれば株が上がるのに。


「聞いたけど」

「なら選んでちょうだい、トキ君ならなんでも似合うと思うわよ」

母さんに言われて服をみるが4分の3がワンピースで一つは白のフリルが付いていて無理、後の二つのワンピースはまだ許容できるけど心が拒否反応を示している、レイのスカートとシャツはシャツだけを着ればまだ大丈夫な気がするがよく見るとリボンが付いた可愛いシャツだった。


考えれば考えるほど選択肢がない、逃げようにも右肩はアーねぇ、左肩はクーねぇに握られていて逃げることができない。

「それで、決まったかしら?」

逃げ道を探していると母さんから話しかけられる、どれも着ないなんていう甘い選択肢はないんだろうなぁ…。


「選べないと言うのなら…」

母さんは言葉を続けている、選べないなら着なくても良いなんて言ってくれたらどんだけ救われるんだろうか。

「全部着てもらうから」

予想通りの答えが返ってきて自分の妄想がどんだけ甘かったのかを思い知らされた、全部着させられるか適当に一着選んで着るかの二択なら実質一択になっている、だけど誰の服を選ぶのかが問題になる、どれも似たり寄ったりだが自分の精神的ダメージが一番低い奴を選択しないと俺は一生物の傷を負うことになるだろう。


別件としてアーねぇとクーねぇの優劣も付けないといけない、これは下手に決めると喧嘩になりそうだからアーねぇとクーねぇの服を選択するのは無しだ、選択するとそれだけで優劣を受けることになる、なのでレイか母さんの選んだ服を選択することになる、フリルの付いたワンピースかシャツとスカート…一番無難なのはレイかな…フリルの付いたワンピースを着るのを想像するだけで嫌になってくる。


「それじゃ…レイが選んでくれた服かな」

比較的にダメージの少なそうなレイの服を選択すると他の三人は少し悔しそうな顔をしている、選んだ服を三人で着させ合えば良いんじゃないかな、なんか似合いそうだし。


レイの選んだ服を持って試着室らしき部屋に入った、試着室まであるんだ、益々前世の服屋に似ている。

そして俺の記憶が正しければ試着室は一人で入って着替えるものだったはずだ、間違えても俺を含めた4人で入る物ではないと思う、今この試着室には俺、母さん、アーねぇ、クーねぇの4人が入っている、レイは外で待っているようだ。


「母さん達…暑いんだけど」

小さな試着室に4人は流石にきつい、服を脱ぐことすらできない。

「大丈夫、大丈夫だから」

母さんは服と俺を見比べながら言っているが何が大丈夫なのかが分からない。


「それじゃ私たちは出ているから、ママは後はお願いね」

そう言ってクーねぇとアーねぇは試着室を出た、出て行く間際にクーねぇは何か布の塊を落としたようだ、気になったが今は母さんの動向が気になる、手が段々と俺に迫って来ている。


「それじゃトキ君、着替えましょうか」

俺は母さんに服を剥かれ、女性の服を着させられた。

「似合わってるわよ、トキ君」

スカートとリボンの付いたシャツを着させられた俺を見た母さんの反応は思っていたより精神にクルものがある。


母さんが褒めているが俺はクーねぇが落とした布の塊に興味がいった、拾ってみるとお手玉みたいな大きさで形は少し歪だが何処かで見たことがある形をしていた。

考えても思い出せそうにないしこのままだとずっとこの服装だと泣きそうになるから早く三人に見せて着替えたい。


試着室から出ると三人とも目の前に立っていて興味津々で俺を見ている、相当恥ずかしい、顔なんて真っ赤になってるんじゃないかな。

「「トキ…」」

アーねぇとクーねぇは口元に手を抑えながら声を重ねている、その姿は鏡合わせのようだ、クーねぇの体が少しおかしい気がするが。


「お兄ちゃん、似合ってる」

レイからも笑顔で太鼓判を貰った、レイの笑顔で少し心が洗われたような気がする。

それよりもクーねぇの胸がおかしい、右の胸が小さくなったように見える…さっき拾ったクーねぇが落とした布、これから導かれる答えはこの布はP○Dという事になる。


「クーねぇ、ちょっと来て」

クーネェを試着室の中に呼ぶ、バレる前にこのP○Dをどうにかしないといけない。

「トキ、どうしたの?」

クーねぇは気がつかずに試着室に入ってくれた、後はP○Dの事を教えて事態の収拾を図らないと。


「クーねぇ、これ」

クーねぇにP○Dを差し出す、するとクーねぇの顔は真っ赤になった、気づいていなかったのか。

「トキ、これって何時から?」

「さっき、クーねぇが試着室を出たときから」

俺がそう言うとクーねぇはP○Dを受け取ってもう一回付け始めた、手遅れにしか見えない、どうせなら外せばいいのに。


「これは内緒だからね」

P○Dを付け直したクーねぇはそう言いながら試着室を出た、俺もその後ろから出ることにした。

「秘密の会話は終わった?」

アーねぇからの冷やかしに頷いて答える、あれはクーねぇの名誉の為に黙っておいたほうがいい。


「それにしてもトキって腕と足が細いわよね、ちゃんと鍛えてる?」

アーねぇが俺の体をマジマジと見ながら感想を言っている、俺だって鍛えても鍛えても表立って筋肉が付かない事を密かに気にしている。

「それはもう、毎日鍛えているよ」

「トキ君は腹筋は薄らとだけど筋肉が付いているわよね」

俺の裸を見た母さんが俺の腹筋を評価しているが腹筋だって今頃はシックスパックになっている予定だったのに未だに薄らと割れている程度だったりする。


「着替えてもいい?」

服が似合うかどうかよりも俺の筋肉の付き方に話が伸びたから着替えたい一心で聞いてみた。

「ダメに決まっているでしょ、まだあと三着残っているんだから」

母さんから無慈悲な宣告が下された、選んだ服を着ると言う約束で俺はスカートとリボンのついたシャツを着たのに残りのワンピース三着を着させられるのは酷い約束の反故だと思う。


「約束が違うじゃないか」

「気が変わったの」

どう足掻いても母さん達は俺にワンピースを着させたいようだ、俺は着せ替え人形じゃないってのに。

クーねぇとアーねぇに救いを求めるように視線を送るがアーねぇとクーねぇはイジメっ子のような加虐的な笑みを浮かべている。

ダメだ、救いがない…レイの一声でどうにかなるかもしれない、レイに視線を向けると頷いてくれた、流石一家の癒し、兄の目線だけですべてを汲み取ってくれるなんて。


「お兄ちゃん、ワンピースも似合うと思うよ」

ダメだった、すべてを汲み取るどころかすべてを汲み損ねている、このまま俺はワンピースを着る羽目になるのか、それだけは絶対回避しないといけない。


「クーねぇ、さっきのことを皆に話してもいいのなら俺は着替えるよ」

まずは味方が必要だ、今この状況で味方にできるのは弱みを握ったクーねぇだけだ、だからまずはクーねぇを落とす。

「トキ、言ったらお尻に水魔法をお見舞いするからね」

クーねぇは加虐的な笑みを一層深めてそう宣言した、味方にする相手を間違えたのかな、他の3人も味方になってくれそうにないし、これは詰んだかな。


「それじゃ、次は私ね」

そう言って母さんは母さんが選んだ服を右手に左手で俺を引っ張って試着室の中に入った。

そこから先はワンピース三着を着させられる地獄だった。

クレイの放つ本気の水魔法は尻の穴に裂傷を刻むくらいできます。

遅れた+何時もより長いのに大半はトキの女装という謎の話です。

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