卒業式、4年ぶりの再会
アリア「やっと私たちの出番ね」
クレイ「待ちに待ったわ」
作者「あと数話でまた出番が無いです」
二人「「え゛…」」
馬車での移動は無事に終わり、今は4年前に泊まった宿でゆったりとしている、魔術学校の卒業式は翌日にあるそうで今回は結構ギリギリに家を出たことになる。
そんな昼下がり、皆、ベッドに座ったり寝転んだりしていた。
「明日は二人共帰ってきて忙しいと思うから早めに休んでおくんだぞ」
ほとんどない荷物を解いた父さんから声がかかる、尻と腰が痛い俺としては、ご飯なんて要らないからただ只管に眠りたい。
「それじゃ、少し眠るね」
「ああ、ご飯とかはどうする?」
「要らない」
父さんと簡単に話をして俺はベッドで寝転がって目を閉じた、やっぱりまともに眠れていなかったのかすぐに眠りに落ちた。
どのくらい寝たのだろう、目を薄く開けると隣のベッドでは母さんが眠っていた、左側に重さを感じたので確かめてみるとレイが抱き着く様に眠っていた。
寝すぎて少し眠れそうになかったのでレイの寝顔を堪能することにした、レイの寝顔はいつまでも見ていられる気がする。
どの位レイの寝顔を眺めていただろう、少し眠くなったので俺もレイを抱き着く様にして眠った、俺がレイを包み込んでいる感じになった。
レイの抱き心地は最高で前世で抱いた抱き枕なんて全部ただの布と綿の塊だと思ってしまう。
朝、目が覚めるとレイはまだ眠っていた、レイを起こさないように慎重に体を起こした、周りを見ると母さんと父さんはもう起きていたようで身支度を整えていた。
「トキ、魔術学校に行くから早めに着替えるようにな」
「レイちゃんも用意させるから起こしてちょうだいね」
父さんと母さんに言われてレイを揺さぶって起こして準備するように言っておいた、準備といっても身だしなみを少し整えて着替えるだけだったりする。
全員の準備が終わり魔術学校に向かった、道は魔術学校の卒業式のせいだろうか家族連れが多く見れた、逸れない様にレイと手を繋いで父さんと母さんの後ろを着いていった。
魔術学校に着いたので入学式の時と同じ体育館っぽい施設に入り保護者席に座った、生徒はまだ入っていないようで式まで時間があるのだろう。
椅子に座りっぱなしでやることなんて無いから魔力を操作して遊んでいた、魔眼に魔力を通して見知らぬ人の全裸なんて見たら死にたくなるからである。
父さんも母さんも少し緊張した面持ちで座っているので声をかけ難い、レイは周りに興味津々でキョロキョロしているので話しかけない。
鐘が何回か鳴った後に卒業生と思われる生徒たちが入ってきて整列を始めた、アーねぇとクーねぇの姿を探そうかと思ったが卒業式後に再会できるから別に探さないことにして他の生徒を見てみることにした、獣人、エルフこの二つの種族を見ていても全然飽きない、4年前は二人を探し終えた後に見ていたが今見ると色々な発見がある、まずは獣人、ケモ耳と言っても虎、狼、猫、狐と言った多種多様な耳を見ることができた。
次にエルフだ、エルフの耳は尖っているのは知っていたが中には先端が垂れているエルフの人も居たり控えめに尖っている人や自己主張の激しい耳をした人も居た。
人間は…色々な体型をした人がいる程度しか興味がない、中には豪華すぎてちょっと浮いている人とかが居るくらいで面白い人はいなかった。
生徒が全員入ってきたのだろう、すると。偉そうな人人間が生徒たちの前に立っている。
少し話を聞いていたがどうやら学園長らしい、卒業生に対する祝辞と生徒たちの今後等を大きな声で話していたが全部右から左と言った具合だ、それより興味があるのは学園長の声が明らかに普通の人が出せる大きさではないと言うことだ、前世のようにマイクなんて無いのにどうしてあんな大きな声が出せるのかについて考えることにした。
大きな声の秘密を考えても全然分からないがどうでもいい話を聞くよりかはずっと楽しいので考えておく、すると卒業生達は回れ右をして保護者席の方を向いた。
そして卒業生達は杖を天に掲げた、すると火、水、土、雷、風、氷、炎の7色の大小様々な玉が打ち上げられた、自分はこんなに魔法が使えるようになったという報告なのだろう。
俺はその7色の魔法に魅入っていた、前世で花火は幾度となく見てきたが花火とは比べ物にならないほど美しい物だった、数発魔法が上がると生徒たちは曲がれ右をして保護者たちに背を向けた。
そして代わる代わる先生からの激励と言う名の長話が始まった、俺としては苦痛でしかないので頭の中を真っ白にして何も聞かないようにボーッとしておく事にした。
どれくらい経ったか分からないが話が終わり、卒業式が終わったらしい、前世と違い卒業証書なんて物は配布されない、学園長の長話と魔法の披露と激励と言う名の長話、簡単にまとめるとこの3つが卒業式の流れだ。
卒業式が終わり、すぐに合流が出来ると思っていたが卒業生が1000人近く居る事もあり、混雑しないために建物の外に保護者が先に出てその後に少しずつ生徒が出てくると言う方式を取るらしい。
外に出ると父さんは生徒が出てくる方を見てソワソワしていた、会えると思うと楽しみで仕方ないんだろう。
母さんも少しキョロキョロ見ている、二人共行動が似通っていて面白いが俺も二人に会えるのが楽しみなので生徒が出てくる方を見ている、すぐに発見できるように魔眼に魔力を通した状態で、透視の魔眼の方には間違えても魔力は通さないようにしている。
何回か生徒が出てきた後で二人が出てきた、駆け寄ろうかと思ったが二人は俺たちを見つけると一目散に走ってきた、胸は揺れてないけど…サイだって走れば揺れるぞ。
「パパ、ママ久しぶり」
「トキもレイも久しぶり」
アーねぇとクーねぇは4年という時間で背も伸びたし髪の毛も母さんみたいに腰に届くまでに伸びていた…胸の成長は無かったようだけど。
「ああ、4年間見ないうちに大きくなったな」
父さんはアーねぇの頭を撫でて感慨深そうに言っている、身長は150は超えてるんじゃないかな。
「クレイちゃんも大きくなったわね」
母さんはクーねぇを抱き締めながら言っている、クーねぇも身長は150は超えていて母さんとそこまで身長の違いが無い。
双子と言っても見た目の違いが出ると思っていたが瓜二つのままで相当驚いた。
「トキもレイも変わってないね」
父さんと母さんから離れたアーねぇとクーねぇが俺たちの頭を撫でながら物凄い笑顔を浮かべている、見ているこっちも笑顔になるよ。
「アリアお姉ちゃんにクレイお姉ちゃん、会いたかったよ」
「アーねぇ、クーねぇ会いたかったよ」
俺はアーねぇにレイはクーねぇに抱きついた、身長差があって胸に頭が当たるが嬉しい柔らかさは無かったが優しく包み込んでくれた。
「トキって背が低いね、私が同じ時だったらもう少しあったと思うよ」
アーねぇに痛いところを突かれる、俺だって好きで低身長な訳ではない、もう少し、もう少しで大きくなる予定だ。
「もう少しで大きくなるよ」
「ふ~ん、このまま小さくてもいいと思うけどな」
アーねぇは小さくてもいいと言うが俺としては父さん並に大きくなりたいという夢だって俺にはある、魔力で成長ホルモンを促進とかできないかな。
だけどそんな事はお構いなしとアーねぇが言葉を続けた。
「なんか男にモテそうな感じで」
血の繋がりはこんな所にまで及ぶのかと内心恐怖を抱いてしまった。
「父さんと同じ事言わないでよ」
男にモテるなんて絶対に嫌だ、前世から女の子が大好きで優しさは女性に注いで男にはそれなりの対応を取るのが俺の主義だったりする。
「アリアさん、クレイさん!」
再会を楽しんでいるとアーねぇとクーねぇに声がかかる、声のする方を見ると純白のローブを身に纏った男性が2名立っていた、中肉中背で顔は普通という評価しかできない。
「アーねぇ、あちらの方は?」
「さぁ?」
面識はないようだ、卒業式に乗じて告白だろうか、タイミングが超絶悪いとしか言い様がない。
父さんと母さんも値踏みをするように男たちを見ていたがすぐに興味を失ったようで二人で話し始めた、不合格ということなんだろう。
俺も不合格としか言えない、あまりに普通すぎる。
「「前からずっと好きでした、結婚を前提に付き合ってください」」
俺たちの意思なんて関係なく男たちは告白を続けていた、見事にハモったけど、どっちがアーねぇが好きでどっちがクーねぇが好きなのか全くわからない、双子で見分けがつかないし性格が似通ってるからどっちでもいいという感じなら俺は全力を持ってこの告白を阻止するぞ。
「その前にだけど誰?」
レイを離したクーねぇが質問をする、本当に面識がないようだ。
「グレント・アウロ・レニールです」
「イレード・ニウス・ディモンドです」
男達は自己紹介をするが、告白をした後に自己紹介って順序がおかしすぎるだろ。
「あの、それで返事の方は」
グレントと名乗った男が返事の催促をしているが断られる未来しか見えない。
「ごめんなさい、お付き合いはできません」
クーねぇが代表して答える、大人らしい対応ができるなんて成長したなって思うよ。
「そうですか、ありがとうございました」
グレントさんは礼を言って下がっていった、だけどイレードと名乗った方の男性は下がらずに勝ち誇った顔をして立っている、あんたも断られてるから。
「俺と付き合ってくれるんですか?」
こいつは本当に何を言っているんだろうか、お前も断られたんだっての。
「「「は?」」」
俺と母さんと父さんの声が重なった、外野の声なんて関係無いと言った具合に男は話を進める。
「だって、アイツは断って俺は断られていないと言う事は付き合ってくれるということですよね?」
「いや、あなたともお付き合いできないんですけど」
クーねぇからきっぱりとした拒絶の言葉が出る、これで男は現実を見てくれると思ったがそうではなかった。
「両親の前で恥ずかしいのは分かっている、だから付き合おう」
お前は公衆の面前で恥ずかしくないのかと聞きたいがそれをグッと堪えて事の成り行きを見る、行き過ぎたら父さんと母さんが割って入るだろうし。
「そうじゃなくて初対面の人にいきなり告白されて、はい、付き合いましょうなんて言えないでしょ」
「それじゃ、今から互いに知り合おう」
何を言っても無理なようだ、まだ実力行使に出ていないだけまだマシか。
「それに、貴方と知り合っても付き合う事なんて無いですから」
「そうやって強気に突っぱねる君も素敵だ、益々惚れてしまいそうだよ」
前世では恋する乙女は無敵なんて言ったけどこっちの世界だと恋する漢は無敵なんだろう、何言っても凹みもしない。
「その前に、アーねぇとクーねぇどっちに告白してるの?」
あまりに根本的なことで聞きそびれていたけど良い加減に聞いておかないと気になって仕方ない。
「義弟君かな、俺はクレイさんに告白をしているんだよ、君も好きな人を見つけるんだぞ」
クーねぇに告白してるようだ、それ以前に弟のイントネーションがおかしいだろ、それに俺はもう好きな人を見つけていますから。
「クーねぇとアーねぇ、ちょっと来てくれないかな、イレードさんはそこで待っておいてくれないかな」
そう言って俺はアーねぇとクーねぇをイレードから見えないところまで連れて行った、今から対イレード用の作戦を決行するためである、これが上手く行けば諦めさせることができる。
「こんなところに呼び出してどうするの?」
「アーねぇにも手伝ってもらわないとあの人が諦めそうに無いからね」
「あの人を諦めさせる方法なんてあるの?」
クーねぇは少し疲れているように見える、あんな妄想一直線な男の対応は疲れるのだろう。
「アーねぇとクーねぇって買ってもらったアクセサリーをまだ付けているよね?」
「私たちは似ているから見分けがつくようにって付けてるけど」
そう言ってアーねぇはブレスレットをクーねぇは髪留めを見せてくれた。
「それを交換して」
「「え?」」
アーねぇとクーねぇは俺が言っている意味は分かっていないけど、これが大きな意味を持つ。
交換してもらうと男が待っている場所に戻った、立ち位置もさっきとは逆で。
「それで、クレイさん、お話は終わったかな」
男はアーねぇに話しかける、思ったとおりアーねぇとクーねぇと見分けがついていないようだ、それなのに一方的に告白とは笑えてくる。
「私はアリアですけど」
クーねぇの髪留めを着けたアーねぇが本当のことを言う、男は信じられないと言った具合の顔をしている、俺としてはあんたの方が信じられないよ。
「だけど、髪留めをしているじゃないか」
やっぱり髪留めとブレスレットで判別しているようだ、これには家族みんな白い目で見ている、これは挽回不可能だって悟ってくれるだろう。
「見分けが付かない男にクレイと付き合う資格なんてないわ」
「くっ…」
男は少し悔しそうに歯ぎしりをしているが、見分けがついてもカップルになれる可能性は0だったりする。
「それじゃ、私たちは行くから」
クーねぇとアーねぇは交換していた髪留めとブレスレットを交換して離れようとしたが男の発言で立ち止まった。
「義弟君、さっき離れたがこのためだったんだな!!」
俺にキレているようだがこの程度で引っかかるとは思わなかったけど、見分けがつかないのを俺のせいにされてもね。
「見分けがつかない方が悪いんじゃないんですか、それを俺のせいにされても困ります、それに付き合わないって言っているのに話進めるなんて酷いと思いませんか?」
俺の発言にアーねぇとクーねぇが少し笑っている、父さんと母さんもそうだと言った顔で俺を見ている。
「このガキ、言わせておけば」
男は顔を真っ赤にして俺に掴みかかろうとしてきた、5歳下に幾ら何でも短気すぎるだろ、コイツ絶対浮気がバレたら暴力で黙らせるタイプだろ。
「弟に手を出そうとするなんて、最低ね、断って良かったわ」
男と俺の間にクーねぇが立ち塞がった。
「それもこれも君が俺の愛を受け入れてくれないからだろ」
もう一度言わせてもらおう、コイツは何を言っているんだ。
男はクーねぇを掴もうと手を伸ばしたがその手を父さんに止められた、これ以上はダメと判断したんだろう。
「これ以上、子供たちに危害を加えるのなら俺たちが相手をしよう」
父さんの横には母さんが立っていたが、結構距離空いていたはずだが一瞬で距離を詰めて手を止めさせたのだろう。
「これはクレイさんと俺の問題です、義父さんは下がっていてください」
やっぱり弟と父さんの発音がおかしい、それにこれはクーねぇとアンタの問題じゃなくてアンタ一人の問題だから。
「娘は嫌がっているんだ、これ以上無理に話を続けるとこっちも黙っては居られないんだ」
父さんの言葉にアーねぇと俺は頷いている、しつこいし言っていることを理解できない。
「それでも、俺は…愛しているんですよ!」
「一方的な愛に意味があるとでも思うのかい?」
父さんは諭そうと優しい声で話しかける、殴りかからないとは少し予想外だった。
「俺は…俺は…」
俯きながら何かをつぶやいている、俺がどうしたのか気になる。
「娘を好きになってくれたのは嬉しいが、娘にそう言う感情が無いんだから諦めてくれないか」
本当は嬉しくないクセにって言いそうになるが言うともっとややこしい事になるのが目に見えているので黙っておく、空気を読むのも必要だ。
「分かりました、クレイさん、ごめんなさい」
男はそう言うと離れていった、自分の中で何かケジメが着いたのだろう。
「よし、宿に戻るか」
父さんの声で俺たちは再び歩き始めた、帰り道はアーねぇとクーねぇの学校で習った事や思い出、寮での思い出を話してくれた、どれも面白く興味深い話もあった。
宿に戻るとベッドに座りアーねぇとクーねぇが居ない間に起きたことを話す、俺が人攫いに攫われそうになってその先で杖を拾ったこと、俺の右目も魔眼になった事、俺とサイの関係が甘酸っぱい事、レイが寝てばっかりで可愛かったことを話した、人攫いの下りでアーねぇとクーねぇから説教された、やっぱり怒られるよね。
サイと俺の関係になると興奮したように詳しく聞いてきた、俺とサイがキスをする仲だと言うと顔を真っ赤にしてキャーキャー言っている、周りに付き合っている人が居てキスなんて普通に聞くだろうに。
レイの方は母さんから勉強を教わったりサイと遊んだりする以外はほとんど寝てばっかいるので話すことがないので終始俺とサイの話になってしまった。
「でも、父さんも母さんもトキもレイも健康で良かった」
「本当、健康で良かった」
話を聞き終わったアーねぇとクーねぇがそう言った、俺も二人共健康でよかったと思うよ。
「ああ、アリアもクレイも健康で本当に良かった」
「ええ、本当に良かったわ」
父さんも母さんも同意見のようだ、レイは久しぶりに会う二人にどう話したらいいのか分からず黙っている。
「レイ、お姉ちゃん達に言うがあるだろ?」
だから俺はレイに優しく話すように促す、最初は簡単なことでもいいから話しをさせてみる。
「アリアお姉ちゃん、クレイお姉ちゃん…会いたかった」
そう言ってレイはクーねぇに抱きついた、クーねぇも抱きついたレイを抱き締めながら頭を撫でた。
「クレイばっかりじゃなくても私にも抱きついて欲しいなぁ」
アーねぇが何か言っているので俺が抱きつくことにした、別に下心はない、断じて言う、下心は2割弱しかない。
「俺じゃ、ダメ?」
「うん、ダメ♪」
アーねぇに拒絶されたので座る場所を移動してクーねぇの背中に抱きついた、少し凹んだからである。
「冗談だって、トキでもいいけどレイにも抱きついて欲しなぁ」
アーねぇは必死に弁明しているけどそんな言葉じゃ俺の傷ついたガラスの心は治らない。
「ほら、レイ、アリアにも抱きついてあげなさい」
そう言いながらクーねぇはレイを離した、レイは離されると立ち上がりアーねぇの方に行った、俺はクーねぇに抱きついたままだ。
「アリアお姉ちゃん」
「うん、レイ」
アーねぇとレイは抱き合っている、微笑ましい光景にさっきから父さんも母さんも黙って見ている。
「トキも甘えん坊だね、サイに笑われるよ」
「サイも二人に会いたがっているから、大丈夫だよ」
多分俺よりサイの方は寂しがっているんじゃないかな、そんな事は言わずに今はただクーねぇの体温を感じることにした。
「まぁ、なんだ、二日後には帰るからな」
父さんはそう言うと母さんと出ていった、部屋には俺たち4人だけが残った。
「何かあるね」
「あるね」
アーねぇとクーねぇが扉を見ながら話している、俺も何かあると思うが何があるのかわからないので黙っておくことにした。
「何かあると思うけど私はアリアお姉ちゃんとクレイお姉ちゃんの魔術学校で習った魔法が知りたいな」
レイも魔法に興味があるようだ、だけど二人共その話になるとどう話したらいいか悩んでいるように見える。
「魔法は小さい子に教えちゃいけないことになっているの、ごめんね」
アーねぇがそう言って話を変えようとしたがレイは引き下がらなかった。
「どうしてダメなの?」
「小さい子に教えて事故に繋がったらいけないからよ」
クーねぇが引き継いで説明してくれる、納得のいく理由だと俺は思う、小さい子が未熟なまま魔法を扱って人を傷つけてしまったとなると問題になるだろう。
「そうなの、残念」
「ごめんね、レイ、お詫びにお話をしてあげるね」
アーねぇはそう言うと物語を語り始めた、それは大昔にあったとされる魔導戦争のお話、その魔導戦争の中で出会った男女は愛し合うが戦争の激化で離れ離れになってしまう、戦争が終結しても二人は再開することはなかった、月日が流れ魔導戦争から数十年の月日が流れたある日、とある男女が出会った、最初は険悪な関係だったが徐々に惹かれ合い最終的には結ばれた、そして両親が顔合わせをすることになり、そこには魔導戦争で離れ離れになった男女が居て顔を合わせることになった、男女は離れ離れになったあと別々に家庭を築き子供を産んだ、その子供同士が結ばれることになった。
「そうしてみんなが幸せに暮らしましたとさ」
アーねぇはそう言って物語締めくくった。
レイと俺は拍手をしていた、アーねぇの語り方が上手く話に引き込まれたからだろう。
「ふふ、私が図書館で見つけて読んだ本の中に有った一冊を思い出しながら話したけど好評のようね」
魔術学校に図書館がある事に驚いたが内容を覚えているアーねぇにも驚いた。
「それじゃ次は私が」
そう言ってクーねぇも物語を語り始めた、これも恋愛の物語のようだ。
どの位物語を聞いただろう、何個も話を聞いていると父さんと母さんが帰ってきた。
「今から卒業祝いに美味しいご飯を食べに行くぞ」
「ええ、だから行きましょうか」
父さんと母さんにそう言われ俺たちは立ち上がって部屋を出た、さっきまで出かけていたのはこの為だろう。
案内された先は高級そうなレストランだった、外装は木造りとは思わせないように白で統一されており高級感がにじみ出ている。
父さんと母さんは迷いなく店の中に入って行ったが俺としては緊張している、アーねぇとクーねぇ、それにレイを見ると緊張しているように見えた。
父さんと母さんに着いていくように恐る恐る入ったが店内は個室ごとに区切られておりどんな客が入っているのかが分からないようにされており店内の色も白で統一されていた。
ウェイターっぽい男性に案内され個室の一つに入った、そこには丸いテーブルと椅子だけがある簡単な作りになっていたがそのテーブルと椅子は一般の家庭で使われているのとは違い高級感が滲み出ていた。
「料理は前もって頼んでいたからすぐに出てくるから座って待っていとうか」
父さんにそう言われ皆が席に着いた、席についたら父さんが口を開いた。
「もう一度言うことになるが、二人共卒業おめでとう」
「本当に4年間頑張ったわね」
母さんからも祝福の言葉が送られる。
「それでだ、二人共やりたいことが見つかったか?」
「ううん、見つからなかった」
「私も」
アーねぇとクーねぇは首を少し振りながらそう答えた。
「そうか、ならやりたいことが見つかるまで俺の経営している食堂の手伝いをしないか?」
「うん、そうしてもいいかな」
「私も」
アーねぇもクーねぇも父さんの提案に賛成のようだ、父さんの方も人件費が安く済むしアーねぇもクーねぇも社会勉強になるし一石二鳥と言ったところだろう。
そうして今後のことを話していると男の人が料理を運んできた。
「魔肉と野菜の炒め物です」
なんか怖い食材の名前が聞こえたが男の人は俺たちの前に干し肉では無い肉と野菜を炒めたものが置かれた。
「時間を置きましたら次の料理を運ばせていただきます」
そう言って男の人は部屋を出ていった。
「父さん、魔肉って」
食べる前に聞いておかないと後悔する、そんな気がしたから父さんに聞いてみることにした。
「魔物の肉だぞ、食べれるのは滅多にないから食べてみろ、美味しいから」
そう言って父さんは野菜炒めを食べ始めた、俺たちもそれに続いて恐る恐る食べ始めた。
魔物のお肉と聞いて身構えていたが口に入れると鶏肉に近い歯ごたえがしたが味は牛肉に近い感じがして結構美味しく感じた。
「美味しいねこれ」
「だろ」
簡単に会話をしながら俺たちは野菜炒めを食べきった。
「魔物のお肉って聞いたから私驚いたけど美味しかったね」
アーねぇも美味しいと判断したようだ。
「私も驚いたけど美味しかったね」
クーねぇにも好評だったらしい。
「私も美味しいと思う」
レイにも好評だったらしい。
野菜炒めに始まって何品の料理が運ばれてきたがどれも美味しく珍しいものばっかりだった、中には海に生息するグロテスクな魔物を丸焼きにした料理まであった、これは流石にマズイだろうと思ったが見た目に反して身は白く魚に近い感じがした。
料理を堪能し店を出て皆満足したのか宿の戻ってゆっくりとしていた。
夜になり寝ることになり俺はクーねぇとレイはアーねぇと眠ることになった、クーねぇが昔のようにキスをしてこないことを祈りつつ俺は眠った。
トキのシスコンがマッハですね、本当に彼はどうなってしまうんでしょうかね(他人事)
土日などで更新ができないのはバイトに行っているからです、帰ってから書き始めるけど眠気に負けて途中で寝てしまうから数日空いてしまうのです(必死の弁明)




