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魔力の暴走~斡旋所の活躍~

目の前に転がっている肉球…もとい、目の前に立っている肉だるまは母さんの父親、俺たちの爺さんにあたる人らしい。これから母さんが生まれたと思うと生命の奇跡を感じるよ。


「勝手に出て行ったと思ったら、勝手に結婚しておったか、まぁそれは良い。」

爺さんは勝手に話を進めている。

「子供も生まれて…吾輩のために世継ぎも生むとはな」

吾輩なんて言う奴…漫画以外で初めて見たぞ。


爺さんは俺に目を合わせて値踏みするような視線を送ってきた、視線に耐えれずに目線を逸らした。

「ほほう、魔眼を開眼しておる、決めた。この子は吾輩が連れて帰って我が公爵家の世継ぎとしよう」

爺さんが満足したように立ち上がり俺の手を掴んできた。手はヌメリと湿っており不快係数がカンストしている。


「お父様!勝手に決めないでください!!」

母さんが声を荒らげて反対するが爺さんは話を聞かずに立ち去ろうとする。

「勝手に出て行った貴様が唯一吾輩にした親孝行ではないか!貴様なんぞ世継ぎを産む道具でしかないわ!!」

爺さんは勝手な言い分を大声でしゃべっているが内心ブチギレる一歩手前だ、俺たちを産んで育ててくれている母さんを道具扱いするなんて…この豚はよっぽど枝肉にされたいらしい。


「「ママに謝れ!」」

アリアちゃん達も怒っているようである、レイシアも敵を見るような目で見ている。

だが、豚はそれを鼻で笑っていた。

「女なんぞ、子供を産む道具に過ぎないではないか、それが何を言おうが関係ないわ」


それを聞いて母さんは豚の前に行って

「最低です、お父様」

そう言って平手打ちをしようとしたがそれを寸での所で受け止め逆に殴り返した。

「親に手を上げるなんぞ、子供としても不出来だったか」


豚は俺の手を引っ張って連れて行こうとしたが俺は踏ん張ってそれに耐えた。

「貴様は吾輩に着いて行くのが一番の幸せなんだぞ、あっちに居たら貴様は一生平民だが吾輩に付いていけば公爵になれるのだぞ」

この豚はあれか家族なんぞ金で買えるが地位は金では買えないとか思ってるクソなのか。


「行かない、さっきから聞いていれば…母さんに死んで謝れ肉団子」

口から本音と思いが出てしまった。

豚の顔がどんどん赤くなっていった、前世で見た生肉もこんな感じだったなとか思ってしまった。


「やはり、冒険者から生まれた子供は粗暴で敵わんな、じっくり再教育してやろう」

豚はそう言って引っ張る手を強めた。

「お父様、やめてください」

母さんはそう言って豚に掴みかかった。


「娘如きが親を触るとは何事かぁ!!」

そう言って母さんを払いのけた、母さんはバランスを崩して倒れた。

本気でキレるときって本当に何かが切れる音がするんだね。


「この汚い手を離せ、汚肉がさっきから聞いていればクソ臭い口からクソを垂れ流しやがって、枝肉にされたくなければさっさと死ぬか消えろ、それができないのなら俺たちの目の前に二度と姿を現すな、次姿を現したら挽肉にしてやる」

口から悪口が溢れ出る、体内では怒りに呼応するがごとく魔力が溢れ出てくる、例えるのなら蛇口を全開にする感覚だ、溢れそうになる魔力は逃げ場を失って体を破壊しているがそんなのはどうでもいい、ただ目の前立っている豚を黙らせればそれでいい。


「貴様、黙って聞いていれば生意気な口を叩きおって」

豚がまた臭い口を開いているが関係ない、コイツは殺す一歩手前まで追い詰めてもまだ足りない。


「我が紅蓮の大魔を持って敵を薙ぎ払わん」

口から漏れてくるのは聞いたことも見たこともない魔術を紡ぐ、ぶっちゃけ適当だ。


「き、貴様、吾輩を殺す気か?」

豚が焦っているが関係無い、このハッタリが成功すればそれでいい。

「この蒼炎を持ってー―ー」

「わ、分かった、魔法の行使をやめてくれ」

豚が手を離す、それを確認してデタラメな詠唱をストップさせる。

そうすると、豚は腰を抜かしたように座り込んだ。


「さっき言ったことを破ったら、法なんて関係ない貴様を灰すら残らない程に燃やす。わかったらさっさと消えろ」

豚に最後通牒を突きつけて母さんのもとに歩いた。


「母さん、大丈夫?」

母さんは皆を守るように立っていた、横には鬼の形相をして今にも殴りかかりそうな父さんも立っていた。

「ええ、ママのためにあそこまで怒ってくれて嬉しかったわ」

母さんはそう言って俺の頭を撫でてくれた。


「俺だけじゃないよ、皆が母さんのことが大好きだし、あの豚には怒っていたんだよ。ただ俺が一番近くに居ただけだよ」

そう言うと母さんは気が緩んだのか涙を流し始めた。母さんを泣かすとはあの豚を本気で挽肉にするか。


そうすると父さんは黙って俺の頭を荒く撫で始めた。

アリアちゃん達は母さんの周りに立って母さんと話をしているようだ。

父さんと一緒に腰を抜かしている豚の方を見て、睨みつけておいた。

そうすると脱兎のごとく逃げ出した、二度と合わないことを願おう。


皆イライラしていたのだろう、その後はアークライスを見て回らず、宿に戻った。

宿に戻ると母さんに呼び出された。

「トキ君、さっきは嬉しかったけど、次からあの人のことを「肉団子」とか「汚肉」なんて言っちゃダメ、相手は貴族なんだから」

母さんからさっきの一件で口が悪いという旨の説教を受けてしまった、いくら怒ってたからって言い過ぎたかな、反省も後悔もしてないけどね。


そんな説教を受けた後は俺たちに母さんの過去を話してくれた。

母さんはさっきの豚人の娘で魔術学校を卒業後いきなり婚約を決められていてそれが嫌で逃げ出して冒険者になって父さんと出会って結婚したそうだ。


母さんの話を聞けば聞くほどに二度とあの豚人に会いたく無くなった。

最後に母さんは、あの人は自分の野望のためならなんでもするから気を付けるようにと言って話を打ち切った。


「あんなのがお爺ちゃんだなんて嫌だね」

「うん、考えたくもないね」

「嫌なの」

アリアちゃん、クレイちゃん、レイシアの3人からの印象も最悪らしい、あれで好印象を持つ人が居るのなら会って殴ってもでも考えを正す。


そんな会話を聞きつつ俺は母さんのもとに居た、さっきから溢れる魔力についての相談だ。

「母さん、さっきから魔力が体を回っている感じがして気分が悪い」

魔力が行き場を求めるように体の中で暴れまわっている、目もぐるぐる回って気持ち悪い。


「トキ君、それは何時から?」

母さんにまっすぐ見つめられたので正直に答える、そうすると母さんは父さんを呼び出して話し合いを始めた。


その間も魔力を外に出せないか操作するが量が多すぎて操作すらままならない。

体にも痛みが走り始めた、体を行き場を完全に失って体を突き破ろうとしているのだろう。

魔力は依然として増えていくのを感じる、永遠に湧いてくるんじゃないかと思うほどだ。


「ゴホッ、ゴホッ」

胸に何かが突っ掛った気がしたので咳き込むと血の塊が口から溢れた。

何度も咳き込んだが咳き込む度に血が溢れてくる、正直ヤバイと思う。


異変に気がついたようでアリアちゃん達も母さんの話に加わっていた。

口からも血が出ていたが次は鼻からも血が出始めた。


「トキ君、しっかりして!!」

母さんがやって来て両肩を持って揺すってくるが意識が朦朧としてきた、自分の魔力で死ぬって笑えなすぎるでしょ。


「ーーーー」

「ーーーーーー」

「ーーーー」

「ーーーーーーー」

「ーーーー」

みんなが何を言っているか分からないが心配してくれているのだろう…そんな事を考えながら意識が沈んでいった。


  ☆ ☆ ☆


豪華な屋敷の一室その部屋で丸々太った男が憤っていた。

「クソクソクソクソクソクソ」

男は潰れたような声で喋りながらグルグルと回りながら歩いていた。


「あのガキ、今度会ったら絶対連れ帰って世継ぎにしてやる…その前に吾輩に歯向かった事を後悔させてやる。まずはあのガキの姉妹を目の前でいたぶるのもいいだろう」

先ほど受けた屈辱を思い出しつつ心の中で復讐の内容を考え妄想をしているのだろう。


「ニアの方は生娘では無いが爵位が上の男に嫁がせれば我輩の爵位を上げる役には立つだろう、だがニアの純潔を奪ったあの男は許しておけん、奴隷にしてくれる」

男はどっかりと椅子に座り込み書類に何かを書き始めた。


「誰か、この書類を斡旋所ギルドに持ってゆけ」

男が書いていた紙は依頼発注書と言われる物で斡旋所ギルドに公式に依頼する為の紙である。


若く身長は170センチ位で髪は短く切られ青色をした執事がやって来てその紙を丸め紐で縛った。

「それでは行ってまいります、ご主人様」

恭しく頭を下げると部屋を出て行った。


「これで後は結果を待つだけだな」

男は背もたれに体を預けると大きく息を吐いた。


    ☆ ☆ ☆


冒険者が多く集まる斡旋所ギルド、その依頼発注窓口の前に若い執事服を着た男が立っていた。

「依頼の方を確認させていただきますね」

そう言って若い受付嬢が紙の封を解いて依頼内容を見ると大きく目を見開いた。


それもそのはず、紙に刻まれていたのは有力貴族の刻印で、それは重大案件を意味していた。

「依頼の方は子供の奪還、そして誘拐した男性の身柄確保でよろしいですね?」

受付嬢の確認に執事服の男は頷く、依頼内容の虚偽は貴族であっても大罪だが執事服の男はこの内容が虚偽であることは知らなかったのである。


「依頼の方は受理させていただきました、結果が出たら連絡させていただきます、アルンディス公爵家でよろしいですね?」

最後の確認を受付嬢がする、それに執事服の男が頷く、これで依頼は受理され冒険者が受注出来るようになった。


「こちらは新規の依頼になります」

そう言って受付嬢は依頼内容が書かれた紙を依頼書が大量に貼ってある壁に新しく貼った。


「おい、貴族様からの依頼だぜ、なんでも誘拐された子供の奪還と犯人の捕獲だってよ」

その依頼書の周りに冒険者が群がる、普通の依頼よりも貴族からの依頼の方が儲けがいいからである。


「その依頼書を少し見せろ」

そんな中ある男が声を出した、身長は180センチはあるだろう。顔は傷だらけで右目は潰れており眼帯がされおり、鎧は鈍い銀色を放っておりその背中には背丈程のある剣があった。


「ターレンスの旦那も興味ありますかね?貴族様からの依頼ですぜ」

そう言ってターレンスと呼んだ男性に依頼書を渡した。

ターレンスはその紙を受け取ると小さく呟いた。

「これは虚偽しかないの依頼書だな」


「依頼の虚偽!?旦那、冗談は言っちゃダメですぜ。相手は貴族様、貴族様とて依頼の虚偽は大罪ってのは分かってるんですぜ」

冒険者の周りに動揺が走っているが大半はその依頼を受けたい奴が大嘘を言っていると判断してブーイングを飛ばしている。


「この依頼書で誘拐犯とされている男は特徴から言って「夜帝」と呼ばれた剣士だぞ、そしてこの子供というのはアルディンス公爵家だから「殺戮の治癒師」だろうな」

男は根拠を述べる、その瞬間ブーイングを飛ばしていた冒険者たちは一斉に静かになった。


「夜帝」と「殺戮の治癒師」と言えば冒険者では知らない人はいないと言われた程の有名冒険者である、そしてその二人は多くの冒険者に祝福され結婚したのは有名である。


「おい、この依頼はヤメだ、違うの行くぞ」

誰かが言ったこの言葉でみんな正気に戻り貴族が出した依頼以外の依頼を見始めた。

ターレンスはその依頼書を乱暴に破ると依頼発注窓口に持っていった。


「おい、嬢ちゃん、ちゃんと依頼は確認しなきゃな」

そう言って受付嬢の目の前に叩きつけた。

「虚偽の確認が出来次第ギルド長に相談して対応を取らせていただきます」

受付嬢は涙目になりながら言った。


「いや、俺からギルド長に話を通そう、どこでもみ消されるか分からないからな」

そう言うと依頼書を持ってギルド長の居る2階に上がっていった。


ターレンスはドアを荒く叩き返事を待たずにドアを開けた。

「まだ、返事をしとらんじゃろうが…なんだターレンスか」

開けた先には背丈の小さい男が机に座り書類作業をしていた。


そんな男の前に先の依頼書を置いた。

「貴族様の虚偽依頼だ」

短めに要件を伝える、そうすると男の手が止まりその依頼書を見始めた。

「ふむ、これは虚偽に当たるな、「夜帝」と「殺戮の治癒師」の結婚は冒険者のほとんどが見ておるしわしも参加しておったしの」


依頼書に書かれている犯人の風貌と依頼書に刻まれたアルディンス公爵家だけでそこまで分かったらしい、この二人の知名度と信頼が成せるワザである。


「この件は早急にわしが王宮に伝えておく」

そう言って依頼書を懐にしまった。

「よろしく頼む、あいつらには幸せになって欲しいんだ」

ターレンスは頭を下げると部屋を出ようとしたが男に話しかけられ足を止めた。


「あいつらが幸せになって欲しいのはほとんどの奴が思っておるよ、わしも含めてな」

話はそれだけかとターレンスは聞いて部屋を出た。


「久しぶりにあいつらに会いたいものだ」

懐かしむようにターレンスは言うと斡旋所ギルドを出て馬車が止まっている所に行き冒険者都市と呼ばれる場所に行く馬車の時間を聞いたりしていた。

    ☆ ☆ ☆

依頼書を受け取った男は書類作業を一時中断して斡旋所ギルドを出た、斡旋所ギルドから遠くにあるアークライス聖宮に馬で向かった。


「貴様、何者だ!ここに何の用だ!!」

聖宮の前に立つ槍を持った全身甲冑の男が声を出す、男は馬から降り声を出した。


「ワシは斡旋所ギルドのギルド長!アイゼン・ゲリス・フォルートだ!!依頼の虚偽が発覚したので報告に参った」

甲冑の男に負けない様な大きな声を出した。


それを聞くと甲冑の男は敬礼をして開門の命令を出した。

「ご苦労」

「ご苦労様であります!」

アイゼンは門を潜って皇王の待つ王の間に向かった。


本来なら王の間に直に向かうのは死罪に匹敵する罪だが依頼の虚偽や斡旋所ギルドの運営状況の報告に関してのみ直に向かうのを特例で許されている。


「皇王様、依頼の虚偽が発覚しましたので報告に参りました」

皇王と呼ばれた初老の男の前に跪いてアイゼンは報告した、依頼書にある犯人は元冒険者で誘拐されたとされる人も元冒険者で結婚式はほとんどの冒険者が見ていたことを。


「ふむ、アルディンス公爵家という事は、「殺戮の治癒師」ことだな」

皇王も知っている程の知名度らしい。

皇王は立ち上がると誰かを呼びつけた。


「皇王様、お呼びでしょうか」

そう言って跪いたのは30歳を回っているであろう男性で赤を基調とした軍服を来ており腰にはレイピアが差されていた。

「そなたを呼んだのは他でも無い、アルディンス公が斡旋所ギルドに虚偽の依頼書を発行したらしくての、その事について話を聞きたい、呼んできてはくれんか?」

皇王は呼んだ理由を説明した。


「仰せのままに」

そう言って男は立ち上がって王の間を出て行った

「ギルド長よ、ご苦労だった、後は私に任せるが良い」

「はっ!」

そう言ってアイゼンは立ち上がり王の間を出て行った。


   ☆ ☆ ☆


ギルドに依頼を発注して直ぐに虚偽と発覚したアルディンス公爵は王の前で全てを話、罪を認めた、その結果アルディンス公爵家は取り潰しとなった。

トキ君初のマジギレですね、湧いた魔力は次の話で説明します。

あの豚人の出番は…あるかもしれませんね。

あの豚人は女性蔑視…いや女性を道具として見ていましたが作者は女性は大切な存在だと思っています。


斡旋所ギルドの人々の信頼関係半端ないです、信用で仕事しているようなものなので嘘は絶対禁止とされています、母さんの通り名は分かっていましたが今回は「夜帝」と言うお父さんの通り名が出てきました。この通り名については後でわかります。

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