学校に行こう(仮)
この世界の時間感覚は独特だ、前世で言う、月は風、炎、水、土、雷、樹の六つあり、そこからさらに風の1、風の2といった具合に分けて合計12個になる。
日はさっきの6つに加えて氷が入った七つになる、その7つを5等分した35日制である。時間は風、炎、水、土、雷、樹の6つを12個に分けて時間にしているそうだ。
聖皇国では一般家庭に魔力を込めると時間の始まりと中頃と終わりを鳴らしてくれる小さな鐘を配っているそうだ。
そんな炎の1の氷の1(前世でいう3月7日)、アリアちゃんもクレイちゃんも10歳になった、と言う事は学校に行き始める年齢だ、学校にも3種類あり、魔術学校、剣術学校、商売学校この3種がある、魔術学校は四年制、剣術学校は三年制、商売学校は六年制となる。
学校を選ぶのは基本的には子供の自由であるが全寮制と言う事もあって親元を離れて生活しなくてはならないしこの3つの学校があるのはアークライスなのでアリアちゃんたちは馬車に数日も乗って行かなくてはならない。
晩御飯を食べ終えていつもなら後片付けをしているはずだが今日は違った、アリアちゃんとクレイちゃんが行く学校を決めるためレイシアを含めた全員が椅子に座ったままである。
「私は魔術学校に行きたい」
アリアちゃんは魔術学校を選択したようだ、昔から魔法に興味あったもんね。
「私も魔術学校に行きたい」
クレイちゃんも魔術学校を選択したようだ、クレイちゃんも魔法に興味あったからなぁ。
アリアちゃんもクレイちゃんも行く学校を決めた事に父さんも母さんも何も言わずに聞いていた。
すると母さんは口を開いた。
「魔法は時として人を殺す事もある、利用される事もある。それでも魔術学校に行きたい?」
魔法使いでもあり貴重な治癒師である母さんからの覚悟を確かめるような言葉にアリアちゃんとクレイちゃんは力強く頷いた。
「まぁ…俺から言える事は…お前たちは俺とママの娘だ、だから大丈夫だ」
父さんは母さんのように覚悟を確かめることはしなかった…それは信頼からだろうかそれとも口下手だからだろうか。
父さんからの言葉で話は終了となり、みんなで後片付けを始めた。
学校の入学式は炎の2の風の1(4月1日)にあるそうだ、ここから魔術学校のある首都のアークライスは馬車でも四日はかかるらしいので遅くても出発は炎の1の水の5(3月31日)になるのだが、どうしてもこの時期になると移動する子供が多くなるので早めに行っておくことが多いそうだ。
アークライスでも人攫いも多いので家族総出で行くのが常識らしい。
そして出発の日は片付け後の話し合いで炎の1の風の4(3月22日)になり、首都であるアークライスに行くことになった。
「アークライスで大事にならなければいいのだけど」
母さんの不吉な言葉が聞こえたが聞かなかったことにする。
その日からアリアちゃんとクレイちゃんは魔術学校に行く準備を始めたかと思ったがそうでも無かった、聞くと持っていく物は服とアクセサリー類しか無くいくギリギリで鞄に入れるそうだ。
残り15日、これが終わるとアリアちゃんたちと4年間会えなくなるし、次は俺がどれかの学校に行くからあえなくなる、アリアちゃんとクレイちゃんも寂しいのかいつもより長く抱き付いて来たり撫でてきたりした。
寝る段階になってアリアちゃんとクレイちゃんはレイシアと俺と寝たいと言い出した、寂しいから今のうちに一緒に寝ておきたいとのことだ。
母さんから許可を得てアリアちゃん達の部屋に入るがさすがに4人で一つのベッドは厳しい、なので父さんに手伝ってもらってベッドを一つ追加してもらった、追加されたベッドはレイシアが一人で寝る時が来ても大丈夫なようにと前もって買っていたそうだ。
ベッドが二つになって次はどのように寝るかの話し合いになった、結局、今日はアリアちゃんと俺がクレイちゃんとレイシアが寝ることになって、レイシアと俺は日替わりで寝る相手が変わることになった。
そうして日が過ぎていった。
出発の日、冒険者通りを通って馬車が停まっている場所についた、子供連れの家族はまだあまり多く無いが冒険者に交じってちらほらと見受けられる。
馬車のなかは結構広く50人は乗れるであろう大きさになっている。
馬はと言うと人が全員乗り込むまで連れてこないそうだ、人に怯えて暴れて蹴ったりするからだそうだ。
順に詰めて座るが席は父さん、アリアちゃん、俺、レイシア、クレイちゃん、母さんの順番になった。
椅子は木製で固く座り心地はあんまりよくはない。
人が乗るスペースが無くなると乗り口の扉が閉められた。
外から馬の鳴く声が聞こえた、それも一匹ではなく数匹である。
馬が繋がれたのかゆっくりと動き出した。
最初は初めての馬車に興奮していたが次第に揺れによって酔い始めた。
周りを見るとほとんどの子供が青い顔をしている。
いつも元気なアリアちゃんとクレイちゃんも今回ばかりは口数も減って静かだ、レイシアに至っては体を動かすのが嫌だといわないばかりに固まっている。
「辛くなったら言うのよ?ママが解毒をかけてあげるから」
馬車酔いに解毒魔法が効くそうだ、解毒魔法なんてあったんだ。
そうして馬車で揺られ続けていくとレイシアの顔がどんどん青くなって行くのが見えたのでレイシアに代わって母さんに解毒のお願いをする。
「レイちゃん、しっかりね。かの者の毒を癒したまえ<デトックス>」
母さんがレイシアに解毒魔法をかけるとレイシアの顔色がみるみると良くなっていった。
夜になって一段落したのか馬車が止まり扉が開けられた。
外に出てみるとそこは森の中で樹特有の匂いが鼻一杯に広がった。
少し深呼吸をして酔った感覚を元に戻した。
馬車に戻って母さんたちに話を聞いてみるとどうやら此処で止って、馬車の中で一泊するらしい。
固い木の椅子に座って目を閉じるが背中と尻の違和感で全然寝ることができずにいた、周りを見ると父さんと母さんは寝息を立てていた、アリアちゃんとクレイちゃんとレイシアは眠れないと言った感じだ。
俺は小さな声で。
「しりとりしようか」
と提案した。
「「やる」」
アリアちゃんとクレイちゃんは乗り気のようでレイシアも小さく頷いてくれた。
そして俺たちは朝になるまでしりとりをやった。
朝になり母さんは手持ちの鞄からパンを出して俺たちに配った、どうやら朝ごはんのようだ。
それを食べ終えた頃には馬車は動き始めていた。
それから3日間の間大きな問題も無く無事にアークライスに着いたのだった。
アークライスに着いてすぐに入学式がある日まで分の宿を確保して宿に荷物を置いた、これも遅すぎると宿が取れないそうだ。
せっかくアークライスに着いたのに外に出ないのは勿体ないとの事でみんなでアークライスを歩いた、歩いてみると冒険者の数が少なく普通の格好をした人が多かった、母さんに話を聞いてみると多くの冒険者は冒険都市に集まるそうだ。
懲りずに魔眼を展開してみたが冒険都市とは違い歓楽街は無かったので魔眼に慣れる作業の一環として普通に歩いていては見えない部分を見ていた。
歩いていると前から偉そうに歩いている男がやってきた、服装は一般人と違い銀などを使われており綺麗だったが綺麗なのは服だけである、体は肉の一言に尽きる。完全な球体に近い感じだ。
「ニア、久しぶりだな」
母さんに親しげに潰れた声で話しかける、贅肉が喉でも圧迫しているのだろう。
母さんはバツの悪そうな感じで。
「お久しぶりです、お父様」
そう言った。
…お爺ちゃん?コイツが?
信じたくない現実が目の前にあった。
時間がようやく出てきましたが。相当わかりにくいです。
月だと風が1~2月 炎が3~4月 水が5~6月 土が7~8月 雷が9~10月 樹が11~12月です。四季なんてものはなく一年中平坦な気候です。
日は風=月曜日、炎=火曜日、水=水曜日、土=木曜日、雷=金曜日、樹=土曜日、氷=日曜日 になって~の5まであります。風の4は第4月曜日ってことになります。月の始まりは必ず風の1である月曜日からです。
時間も月と同じ数え方と考え方になります。
午前午後と言った考えは無くアークライスで配ってある鐘は魔力をどれだけ込めても夜の雷の2で止まります、なので最後の鐘が鳴ったら寝ましょうという感じで朝は日の光が目覚まし代わりになります、鐘の音は全部で12種類あるので朝になって魔力を込めるのを忘れていても大丈夫な設計です。
因みに1月1日の1時は風の1の風の1の風の1になります。




