ハマブランカの道化師
早川さん以外男子皆で温泉に入った。
「こんな大勢で入るの高校時代の修学旅行以来だね。」と公が原田に囁く。
「まだ会って2度目だけど、こうやって一緒に風呂入ると前から知り合いみたいだな?」と湯で顔を拭いながら白田くんが大口開けて原田の肩を叩く。
「良い身体してるね〜原田くん。なんかスポーツしてるの?」と少し引っ込み思案そうな江戸川くんが細マッチョの原田に聞く。
「ううん、撮影で機材担いでるからかなあ〜?
撮影行く場所。だいたい交通不便なんで山道を機材担いで登ったり〜建物の中も足場が危なくて機材で撮影しながら足場も気を付けないとかいけないから…なんか自然に。」と原田が説明する。
週末度に廃屋や事故物件行かされてたせいだ。
「僕も〜受験で腹ぷやぷやしてたのに週末度に山登りさせられて足場悪い建物の中を徘徊してたら腹が割れてきて〜」とお腹を見せる。
「分かる!俺もウルトラQに入ってから撮影任されてたら、肩や腕がモリモリになってきたんだよ〜」と白田くんが腕を曲げると力こぶがモリッと上がる。
ポパイみたいな腕だ。
やっぱり白田さんになんか似てる。
「ところで今夜行くハマブランカって、どんなイワレがあるんですか?」バスから近くにないか探してたが見当たらなかった。
「ここから1kmくらい山のテッペンだよ。途中、村を抜けて行くんだ。近くに湯気が上がってた鉄塔あったろ?あそこの上なんだよ。
昔は熱帯植物園の中に温泉プールがあってね〜真冬も泳げると人気だったんだよ。
フラダンスやケチャとかタヒチのファイアーダンスとか見れたらしいよ。」と東さんがすでに上がって身体を洗いながら説明してくれる。
「今のハワイアンセンターみたいな施設かあ。それに箱根のユネッサンを合体させた感じかな?」と原田が分かりやすいように解釈する。
「そうそう、それの元になった施設だね。
温泉だけでは集客できないからね。常夏のイメージを売りにね。
ウワサではケチャダンスの深夜バージョンなるとステージでストリップとか○○○とかイベントあってね、
男達が団体旅行で押し寄せたらしいよ。
昔の社員旅行はコンパニオンとか呼ぶの普通だったしね。
熱海の秘宝館と熱川のケチャストリップダンスでリーマンの憧れの社員旅行先だったみたいだね。」と東さんがすごく詳しい。
「へ〜ッ、いかにも昭和バブルだなあ〜」と公が感心すると白田くんと江戸川くんがちょっと怪訝な顔をする。
「バブルって何?泡?」と少し不思議そうだ。
「ところが!酒飲んだ客が、間をつなぐお笑い芸人や道化師に酒掛けたりバカにしたりとヒドいことをしたらしい。
その為に今も道化師が玉乗りしながらナイフを持って追いかけてくるとか?」と東さんがニヤッと笑いながら、また風呂に戻ってきた。
「そうそう、ここは白い女の幽霊じゃなくて白い顔の道化師が追いかけて来るんだよ。」と白田くんが言いながら脱衣所へ出て行った。
「待てよ〜身体洗わないのかよ〜?」と江戸川くんも出て行った。
「おい、コラ!身体洗えよ!」と東さんが苦笑して怒る。
「また廃墟探検終わったら入ります〜汗かくから洗っても意味ないし〜」と外から白田くんが返事した。
皆で大急ぎで上がって暖簾をくぐると、疲れたと言ってた早川さんが女の子達と楽しそうに話してる。
「なんだよ〜早川先輩!ぬけがけズルい!」と白田くんが文句を言う。
「フフッ、女の子達の声がすごく楽しそうでね。
いや〜ずっと入院してたから、楽しいな。3人共可愛いよ。選べないや。
3人共一緒に結婚したいな♪」と早川さんが本当に生き生きと話す。
「なんでだろ?他の人が言うと気持ち悪い話なのに。
早川さんが言うといやらしくない〜」と、チラッと久美子が白田くんを見る。
白田くんが何か言いかけて言葉を飲み込む。
「フフッ、早川さん冗談ばっかり!
バスの中でずっと公くんばっかり見てたくせに〜」と
小田さんがイタズラっぽく笑う。
「いや、女の子だとばかり思って!すごい美少女が一緒なんだとトキメイたんだよ…面目ない…」と頭をかく。
女の子達にイジられて早川さんが楽しそうだ。




