社員旅行
部室を出ると、さっきの扉はちゃんと施錠され注意の看板が貼られていた。
「なんでさっき何も無かったんだ?
それになんでここ1階なのに、こっち側は2階になってるんだ?」と原田が不思議がる。
「そっち側は渋谷駅の方向だからだよ。原宿は高台で渋谷駅までゆるやかな下り坂なってるだろ?
この建物がちょうどその段差に建てられてるんだよ。」と東さんが説明する。
「だから戦前はそこに張り出したバルコニーがあったんだが、建築基準がいい加減な時代の産物だったから。レンガ作りのバルコニーを木枠だけで支えてたから下が腐って失くなったんだろな。
なかなかね。西洋建築で日本の気候に耐えるもの造るのは難しいよ。」と苦笑する。
「古い建物なんだあ〜建て替えとかは考えないのかな?」とクラブハウス外へ出てから公が見上げて話す。
「さあ、この大学の始まりはこの建物らしいからなあ〜学長の気持ち一つかな?」と東さんが笑う。
「そう言えば!学長って闘病生活長くない?
入学式も代理の人がスピーチしてたし。」と原田が思い出す。
「そうだ!80代とか?退任はまだしないって頑張ってるとか?聞いたよね。」公も思い出す。
「なんでだろうね?なんか未練でもあるのかな?」と東さんはまたクラブハウスへ戻って行った。
豊洲の事務所に戻ったが、誰もいない。
3人は日ごろ出来ない遠征ロケに行ったのだ。
「青森だっけ?杉沢村を探すの?ほんとに?」と公がパソコン内の予程表を見る。
「都市伝説だからなあ〜見つかる訳無いよ!
三笠さんもバカバカしい!」と原田がプリプリしてる。
「男2人なら良いけど、若い女の子連れて行くのがなあ〜まあ、2人共彼女居るから大丈夫だと思うけど…どうかな?」と原田も心配そうだ。
送られてきた動画を編集前にダラダラ流す。
壁にプロジェクターで流しながらソファに座る。
「やっぱりなあ〜ほとんど使い物にならないな!
ただの観光地巡りじゃん!これじゃ!
なんだ?リンゴ狩りって?アップルパイ作りとか!
こんなのホラー動画て流せるか!」と原田がブツブツ言うが、珠泪ちゃんは楽しそうだ。アップルパイ作ったり食べたり温泉入ったりしてる。
「結局恐山行くだけだろ?まあ、三笠さんと珠泪ちゃんは修行をさせて貰うらしいけどさ!
その動画来るまでは、この観光動画見せられるだけだろ?
こんなの使えるかってんだ!」と原田は編集すら放棄する。
「まあまあ、ココで働きづめだし珠泪ちゃんは。
これは社員旅行みたいなもんじゃない?」と公がなだめる。
「だったら!俺らも連れてけよ〜!」と原田が結局寂しいようだ。
「まだまだ恐山の修行動画は来ないし、僕らは大学のウルトラ何とかの廃墟ツアー行こうぜ!
久々の伊豆だあ〜楽しみ♪」と公はご機嫌だ。




