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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第12話【その帰国子女、デンジャラスにつき】

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ep004:その標的、巨乳女子につき

⸻


Scene013【共闘】


⸻


俺たちは洋子先輩の自宅を出た後、しばらくして別れ、

それぞれ帰宅の途についた。


由美子と別れてしばし歩いたとき、

ふと気配を感じて空を見上げた。


するとある家の屋根の上に、

魔法少女――いや、キャサリンがいた。


「This way! Yumiko’s in danger!」


キャサリンはそう言い放つと、屋根から屋根へと飛んだ。

俺も大概人間離れしている自覚はあるが、

彼女はもう魔法でも使っているとしか思えなかった。

昔、千紗の兄の健一さんに勧められて観た魔法少女物の登場人物を思い起こす。


いや、今はそれどころではない。

俺も気の力を最大限に使い、

街中の障害物を飛び越えて一直線に進む。

やがてキャサリンは、由美子の自宅から近くにある、それなりの面積のある公園へと着地した。


いた、由美子だ!

鬼と戦っている!!


「晴道!!」


由美子がこちらに気づいた。


しかし、それが隙になった。

鬼の右手が由美子をなぎ払う。

鬼の手には鋭い爪が伸びていた。

由美子の上着が切り裂かれ、布片が宙を舞った。

鬼は続いて、左腕を振り上げる。

由美子自身も一撃目の衝撃で宙へと投げ出されている。


俺は頭が冷え切った


殺す


懐から柄を取り出す


光よ


柄から気の刃が形成される


一瞬で鬼に肉薄する


光の剣を振り上げる


鬼の左腕をなぎ払う


鬼の左腕が宙を舞う


続いて首を――


いや


先に宙を舞う由美子を抱き止める


着地


鬼の右腕がこちらへ振り下ろされている


由美子に覆いかぶさる


「Magical Arrow!」


光の矢がその腕を弾き飛ばす


鬼の左腕が再生していく


なら首を落とす


「No. We have to turn him back into a human.」


そうだった。頭に血が上って、取り返しのつかないことをするところだった。


「どうすればいい?」


「Make it expend its energy. Cut off its limbs—it’ll burn through energy regenerating them.」


キャサリンはそう言いながらも、

光の矢を飛ばして鬼にダメージを与えている。


「晴道、私は大丈夫。もうすぐ霞の者も到着するわ」


そう言った由美子の胸元からは、

あの防弾スーツが覗いていた。


俺は頷き、鬼に向かって光の剣を振るった。


⸻


キャサリンが光の矢を飛ばして鬼をノックバックさせる。

俺が鬼の腕や足を切り落とす。

幾度それを繰り返したことだろうか。


さすがに息が上がってきた頃――


「晴道!!」


守さんと花音さん、花月さんが駆けつけてくれた。

花月さんは手にしたカメラで撮影を始めたようだ。


「守さんと花音さんはそこに待機していてください」


それからキャサリンと俺の連携が数度行われたとき――


「GRAAAAAAAAHHHHH!」


鬼が叫び声を上げて苦しみ始めた。

その身体が縮んでいく。

そして最後には、サラリーマン風の男が倒れていた。


不思議なことにあれだけ手足を切り落としたのに、衣類はまったく損傷がなかった。


「これが、鬼……」


花音さんの呟きが静寂を取り戻した公園に響いたとき、

気づくとキャサリンの姿は消えていた。


⸻


Scene014【謝罪】


⸻


俺は未だ座り込んでいた由美子を抱きしめながら、

守さんを睨んだ。


「守さん、状況を説明してください。

由美子は防弾スーツを着ていた。

さらに即時に霞の者を呼んでいた」


俺は頭に血が上りそうなのを、頭を振って落ち着かせた。


「こうなることを予測していたんだ」


守さんが唇を噛み締める。


「鬼の目標、もしくは目的が分かったんですか?

だから由美子を“おとり”にしたんですか?」


“おとり”――そう言ったとき、俺の頭に血が上った。


「晴道、私のために怒ってくれてありがとう。

でも、私は大丈夫。

これは私が望んだことなの」


そう言って、俺の頬に自分の頬を寄せた。

ふと冷静になる。


「ありがとう、由美子。

由美子には助けられてばかりだ」


これは、いったい何度目の会話だろう。

俺の人生、もう由美子なしにはいられないじゃないか――本気でそう思った。


「ふふふ、一生支えていくよ」


由美子がいつものように、

俺の心の中の声を聞いたかのように応えてきた。


「鬼の被害者は、全員が君の高校の女生徒だ」


えっ……。


「それに、全員が例外なく巨乳だ」


“巨乳だ”――この緊迫した会話の中で出てきた不似合いな単語に、拍子抜けになる。

しかし、続けられた守さんの言葉は、俺にとって衝撃だった。


「つまり『被害者は、晴道に好意を寄せられる可能性がある女性ばかり』――それが俺の推測だ」


俺は不可思議な事件に巻き込まれたとばかり思っていた。

でも、俺がこの事件の中心にいた?

俺の頭に愛しい女性たちの名前が浮かぶ。


洋子先輩、由美子が既に鬼に襲われている。

あと巨乳と言えば、千紗、京子、そして早紀――。


そうか、守さんは……。


「由美子がおとりを申し出てくれたとき、俺は『娘の早紀を危険に晒さずにすんだ』……そう思ってしまったんだ」


守さんは膝をつき、土下座を始めてしまった。


そうだ。守さんは、一人の戦士から夫であり、

義理とはいえ娘を持つ父になったんだ。


「守さん、頭を上げてください。

早紀や千紗、京子を危険に晒すわけにはいきません」


そこに花音さんが声をかけてきた。


「ごめんなさい、私も聞かされていなかったの」

「すみません。

条件から考えたら、姫様も当てはまるので……」


そうか、花音さんもうちの高校に所属する巨乳女子……。

あー、うん、緊迫した状況なはずなのに、

いちいち巨乳がついてくるのはなんともね。


「なら、なぜ由美子は?」

「由美子が洋子という少女の情報を求めに来たときに情報を開示しすぎて、自ら俺と同じ結論に辿り着いたんだ」


それを聞いた由美子は少し顔を背けて言った。


「ライバルになりうる巨乳女子たちの、

新学期でのクラス分けを全員チェックしていたの。

そうしたら、その中に新学期早々休んでいる人が多くて不思議だなってね。

だから昨日の夜、守さんに話を聞きに行って鎌をかけたら、あっさりと教えてくれたのよ」

「なっ、鎌かけだったのか!」


唖然とする守さんに、由美子はあっさりと言った。


「恋する乙女はずる賢いのよ」


いや、巨乳女子のクラス分けを全員チェックするって、

話の流れからして同学年の二年生だけじゃないよな。

三年生もだよな。


何やってんの?


緊張と怒りがほぐれた。


⸻


Scene015【閑話】


⸻


俺は抱きしめている由美子に言った。


「ご両親に、今日は帰りが遅くなるって伝えられるかな?」

「えっ、これからみんなで対策の打ち合わせとか?」


由美子が周りのみんなを見回して言うが、違うぞ。


「由美子の治療に決まっているだろ。

その防弾スーツを着ていたにしても、

あれだけ吹き飛ばされていたんだぞ。

隅々までチェックしないと!」


由美子は呆れ顔で答えた。


「どれだけ“隅々”チェックしていたら、

帰りが遅くなるのよ」


由美子はジト目で言うが――。


「何言っているんだよ。

気の治療をして、それで終わりになると思うか?」

「ううん、終わらない……」


赤くなって俯いてしまう。


「でも、さっきまで洋子先輩としてたばかりじゃない」


由美子の拗ねるような、呆れたような、嫉妬しているような顔が可愛い。

俺は思わずキスしてしまう。


そして顔を上げると……。


「かっ、花月さん!? なっ、何やってるんですか!!」


花月さんはカメラを構えて、俺たちを撮っていた。


「だって、まだ作戦終了の合図貰っていないし。

そもそも、鬼から戻った男性のことも放置だし。

『何やってるんですか』って、こっちの台詞よ」


花月さんの目が冷たかった。


⸻


鬼になっていた男性は、政府直轄の特別な救急車を呼び、極秘の医療施設へと搬入されるらしい。

俺が切り落とした鬼の手足は、鬼が人間に戻ると同時に霧となって消えた。


「結局、何も分からずですね」

「そんなことはない。

詳細なビデオが撮れた。

これから事務所で解析に入る」


守さんがそう言った。


「私と花月も事務所に行くから、

私の部屋のゲストルームを使ってもいいわよ」


花音さんはニヤニヤしながら言った。


「晴道のご両親には『今日急遽ご飯作りに行けなくなった』って連絡したら、

『食べて帰るから遅くなるって晴道に伝えてください』って言っていたから、

晴道の部屋でもいいんじゃない?」


花月さんまで……。


由美子は真っ赤になって撃沈していた。


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