ep003:その犠牲者、先輩女子につき
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Scene009【情報】
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始業式から帰ると、由美子が俺の自宅を訪ねてきた。
俺に相談したいことがあると言う。
「春休みからバレーボール部の練習を休んでいた先輩がいたの。
それで始業式にも来ていなかったから、ご自宅まで行ってみたの」
ああ、これが俺の好きな優しい由美子だ。
「でもね、お母様に
『洋子は怪我をしていて、誰にも会いたくないって言っているんです。せっかく来ていただいたのにごめんなさい』
そう言われて会えなかったの」
「洋子さんって、嶋田洋子先輩?」
「そうだよ、晴道好みのね」
由美子のツッコミが激しい。
洋子先輩は、俺たちの一つ上の先輩だ。
俺が由美子に用事があってバレーボール部を訪れると、気さくに話しかけてくれる先輩だ。
いや、正直に言おう。
かなり熱っぽく話しかけてくる先輩だ。
そして、俺もそれが嫌じゃない。
由美子が言ったとおり、俺の好みのタイプだからだ。
バレーボールをやっているだけあって長身で、かなりの美少女で、由美子と同じく『バレーボールをするのに邪魔じゃないか?』と言いたくなるような巨乳なのだ。
「だからね、晴道が一緒に来てくれたら会ってくれるかもって思ったの」
「分かったよ。部活が終わったら一緒に行ってみよう」
俺が答えると、由美子は言いにくそうに一つ付け加えた。
「それでね、洋子先輩のお母様がおかしな事をつぶやいていたの。
小声だったから私に聞かせるつもりじゃなかったのだと思うけれど……
『それに、政府の人もしばらくは誰にも会わせないようにって言われているし』
って聞こえたの」
俺の中で何かが重なった。
「俺、花音さんのところに行ってくる」
席を立つ俺に由美子が続いた。
「私も行っていい?」
俺は一瞬躊躇したが、頷いた。
そして席に座り直し、由美子へ守さんから聞いた話を伝える。
「洋子先輩が、その事件の犠牲者!?」
「ああ、政府が動いているってことは、
その可能性が高いと思う」
俺たちは改めて、隣室の花音さんの元を訪れた。
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幸い、花音さんは帰宅していた。
「花音さん、嶋田洋子さんって知っていますよね」
花音さんはため息をついて答えた。
「もうそこまで辿り着いたのね。
そう、彼女はあのもののけによって鬼化した者による被害者よ。
バレーボール部員ですもの、由美子ちゃんの知り合いよね」
「はい、仲の良い先輩です」
由美子は頷いた。
「ショックかもしれないけれど、冷静に聞いてね」
「「はい」」
「彼女は鬼による被害者の中でも、特に酷い危害を受けたわ。
全身打撲、打ち身、顔や体にあざも多い」
「そんな……」
由美子が息をのむ。
「それに……性的な暴行も受けているの」
なんてことだ!
「犯人は?」
「鬼は例のごとく、人に戻って衰弱した状態で見つかったわ」
「そいつが犯人だって分かったのは?」
「彼女の中に残された体液の遺伝子型と、その男の遺伝子型が一部一致したのよ」
あまりのことに由美子は青い顔をしている。
いや、それより――
「えっ、一部って……」
俺の疑問に花音さんは答えた。
「保護された男の遺伝子型はごく普通の人間のもの。
でもね、彼女の中に残された体液の遺伝子型は人間のものとは思えないの。
なのに、その二つには無視できない一致があるのよ」
俺も背筋が凍った。
それは、人間がレイスに触れられると遺伝子型そのものを書き換えられているということだ。
なのにまた元に戻る。
それは事を起こしたら、用済みで捨てられているみたいじゃないか。
「おかげで、最悪の事態は避けられたけれどね」
それは暴行による妊娠だ。
「他の被害者では?」
「幸い、そこまでの被害は彼女だけよ。
ねえ、晴道、彼女を救ってあげてくれない?」
「もちろんです。明日放課後になったら、洋子先輩の自宅に行ってみます」
俺はきっぱりと答えた。
気の治療も使おう。
「ありがとう。政府には話を通しておくわ」
「私も付き添います」
由美子も言った。
「ええ、その方がいいわね。お願いするわ」
花音さんはそう答えた。
全ては明日だ。
洋子先輩を必ず救ってみせる。
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Scene010【救済】
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翌日、俺と由美子は授業が終わると、
洋子先輩の自宅へと向かった。
「あら、由美子ちゃん、また来てくれたの? でも、洋子は……」
「お母様、今日は私たち、政府の許可を得て来ました」
「えっ、特別な治療師に向かわせるって連絡が来たけれど……」
洋子の母親が混乱するのも仕方ない。
そう言われて来たのが、由美子と俺なのだから。
「洋子さんのお母様、
私は洋子さんと同じ高校に通っている、小泉晴道と言います。
信じられないかもしれないですが、
洋子先輩は私が必ず“元に戻して”みせます」
洋子先輩の母親は、俺の名前を聞くと表情を明るくした。
「あなたが“晴道くん”なのね。
洋子から話はよく聞いています。
そうね、あなたなら洋子を任せられるかもしれませんね」
洋子先輩、俺のことをどんな風に話しているのやら。
「でも、洋子は今の自分を晴道くんに見せたくないかもしれないです」
そこは打ち合わせ通り、由美子が名乗りを上げた。
「私が、洋子先輩を説得します」
「分かったわ、お願いします」
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由美子が先に洋子先輩の部屋に向かい、
洋子先輩の母親と俺はリビングで待っていた。
「洋子のこと、お願いします。
あの子はあなたのことを本当に……」
「はい、分かっています。俺に任せてください」
やがて、由美子が戻ってきた。
「洋子先輩、会ってくれるそうです」
俺は一人で二階にある、洋子先輩の部屋へと向かった。
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「洋子先輩、晴道です。入ってもいいですか?」
一瞬の間があり、返事があった。
「……はい、どうぞ」
中に入ると、洋子先輩はベッドに腰掛けていた。
「晴道、こんな格好でごめんなさい」
洋子先輩はパジャマ姿で、
顔や手足に巻かれた包帯が痛々しかった。
「由美子ちゃんから、
晴道くんが特別な治療をしてくれるって聞いたけれど」
「はい、そうです」
「去年の初夏に由美子ちゃんの捻挫を治したって聞いたわ」
「はい。これからすることは他言無用でお願いします」
洋子先輩はふっと息をつき、頷いた。
「それじゃ、ベッドで横になってもらえますか?」
洋子先輩は素直に横になった。
俺は気の力で洋子先輩の体を調べる。
酷い。
全身に打ち身があり、あちこちにアザができていた。
顔や乳房にも。
そして、膣には裂傷を起こしていた。
これは、早く元に戻してあげよう。
「洋子先輩、治療を始めます。じっとしていてください」
「分かった」
俺は癒しの気を洋子先輩の体に流し込む。
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「洋子先輩、終わりました」
「えっ、何をしたの? 晴道くんから何かが流れ込んできて、全身が暖かくなったけれど……」
「もう、包帯を取ってもいいですよ」
洋子先輩は恐る恐る腕に巻かれていた包帯をとった。
「うそ! 傷も打ち身の痕もなくなってる!?」
「顔の包帯も取りましょうか?」
「うん……」
包帯を取ると綺麗な顔が現れた。
洋子先輩は慌てて手鏡で確認する。
「奇跡なの? アザも何も残ってない!
それに、どこも痛くない!?」
洋子先輩は下腹部に手をやりながらつぶやき、
そこを気にしている。
俺は言うまいか悩んでいたが、話すことにした。
「そこも、完璧に元通りです」
「えっ……?」
洋子先輩の顔が、一気に赤くなった。
俺はさらに言うべきかどうか迷った。
……いや、言わなくてもいいだろ。
でも――。
「処女膜も元通りです!
次の体験が洋子先輩の初体験です!」
「いっ、いやーーーっ! 恥ずかしい!」
やっぱり言うべきじゃなかった。
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Scene011【初体験】
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洋子先輩は呼吸を落ち着かせると、こう言った。
「上書きして……」
「えっ?」
「私の初体験を上書きしてほしいの」
「それって……」
洋子先輩は俺の目を見据えながら言った。
「いくら身体が元通りになっても、
私の体験は消えないの」
それはその通りだ。
だから俺も由美子もそのケアに悩んでいたのだ。
「次の体験が初体験なら、晴道くんが上書きして消してほしいの!
私のあの体験を消してほしいの……お願い」
そう言った洋子先輩は弱々しくて、
俺は抱きしめるしかなかった。
「分かりました」
俺はせっかく元に戻した処女膜を自ら破ることになる。
痛みで記憶を甦らせないように、癒しの気を使いながら。
そして、洋子先輩には地獄だったろうあの記憶を払拭するために愛の気を使って、洋子先輩を最高の高みへと押し上げた。
天国へ連れて行った。
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全てを終えて、洋子先輩を抱きしめながら俺は聞いた。
「あの、最後のは……」
「もう、大丈夫な日だって言ったじゃない。
それに、そこまでしてくれなきゃ、上書きにならないよ?」
そう、俺は洋子先輩の中に注ぎ込んでしまったのだ。
「でも、責任取ってね」
「えっ、あの、それって……」
そううろたえる俺に、洋子先輩は満面の笑みで答えた。
「ごめんごめん、結婚とかそういう意味じゃないの。
こんなに凄い体験をしちゃったんですもの、
もう身体が忘れられないわよ。
責任取ってまた体験させてよね」
俺はやりすぎたのかもしれない……。
「晴道くんには何人彼女がいるのか知らないけれど。
私は末席で構わないから、時々愛してね」
ああ、俺はまたハーレム要員を増やしてしまったらしい。
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Scene012【閑話】
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やがて、晴道が洋子を連れて一階へと降りてきた。
包帯も巻いていない綺麗な愛娘を見て、母親は驚く。
「洋子!」
洋子は母親ににっこりと笑ってみせて、こう言った。
「お母さん、私、お風呂に入りたい」
母親は驚く。
つい先ほどまで、洋子は鏡に映る自分を見るのを恐れ、洗面所にすら近づかなかったのである。
「ええ、ええ、今お湯をためますね」
そう言いながら、母親は晴道と由美子に深々と頭を下げた。
「晴道くん、また学校でね!」
そう言う愛娘の笑顔は眩しく、 母親はつい先ほどまで『愛娘はもう二度と学校には行けないのでは?』と考えていたのが夢のようだった。
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洋子の家を後にした頃、外はもう暗くなり始めていた。
晴道は由美子に話す。
「洋子先輩、無用な検査とかで学校に行けなくなったりしないように、花音さんに話を通してもらおうか」
「もう、晴道、洋子先輩に“なに”したのよ? って“何”しかないわよね」
ふぅ。
由美子は深くため息をつくしかなかった。
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そんな二人を見守る影があった。
「Harumichi… you’ve found yourself another potential mom.」
そう呟き、その影は闇夜に姿を消すのであった。




