ep005:その親子、背徳につき
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Scene018【男だから】
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温泉から戻り、俺たちはゆっくりと休んだ。
ちなみに全員浴衣姿だ。
大浴場の更衣室で着替えてきている。
くつろぎ過ぎの栞さんは浴衣がはだけ過ぎで、目のやり場に困る。
早紀は浴衣を着崩さず、きっちりとしているが、
それはそれで『この下に、あの巨乳が隠れている』と考えると平静でいられない。
男だから仕方ないよな。
そんなことを考えていたら、
花月さんに聞いた守さんの人となりを思い出した。
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『守隊長って、すごく誠実なの。
作戦の途中で装備を変えたりするでしょ。
場合によっては下着姿になったりするのよね。
でも私たち女性隊員は下着を見られるなんて、気にしないのよ』
女性隊員と言えば、美由さんと由美さんは基本仲居として働いているけれども、
花音さんや花月さんと一緒に訓練を受けただけあって、
霞の者の作戦に参加することもあるらしい。
『それでもね、守隊長は可能ならその場を外して、
どうしても動けない時は目隠しまでするのよ』
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そんな守さんの筈なのに……。
今は栞さんのはだけた浴衣姿をガン見していた。
胸元からは真っ赤なブラジャーがちらりと覗き、下半身は太ももがチラチラと……。
いや、目が離せないのは分かるよ。でも限度ってものがあるでしょ。
栞さんだって、そこまでガン見されたら……。
(ああ、守さんの視線が、嬉しい。今日のためにこの下着買ってよかった。そんなに見られたら、栞は……栞は、熱くなっちゃう、濡れちゃう、濡れちゃう、あっ)
栞さん?
今、ビクッとして、太ももをぎゅっと締めませんでしたか?
早紀の見てる前で、何やってますか?
そこで早紀が話しかけてきた。
「晴道くん、私たちお邪魔じゃないかな?
やっぱり私と晴道くんで、隣の部屋にする?」
早紀は見た目、至極冷静な顔で、母親の恋路を思う優しい娘にしか見えない。
しかし、心の中の声は――
(そうしたら、私も晴道くんにたっぷり見てもらえる。ママとお揃いの下着買ったの。晴道くんに見てもらえたら、私きっと……。ああ、想像したら、熱くなってきた。ダメ、濡れちゃう。見てもらう前に汚れちゃう)
早紀さん?
どこが濡れますか? 汚れちゃいますか?
この母親にして、この娘あり。
((だって、女だもん、仕方ないわよね))
栞さんと早紀の心の中の声がハモった。
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Scene019【隣室】
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俺たちはやがて、夕食の会場に案内された。
有形文化財に登録されたという建屋での食事は素晴らしかった。
ただし、宿の方には本当に申し訳ないが、全員心ここにあらずだった。
だって――
守さん
(この後だ。ついに、ついに、卒業する時が来たんだ)
栞さん
(この後ね、ついに、ついに、守さんと一つになる時が来るのね)
早紀まで
(この後ね、どうする? どうやって晴道くんと同じ部屋に泊まるって誘う?)
それに俺だって、こんな耳を澄ませなくとも聞こえてしまう心の中の声を聞かされて、
冷静に食事を楽しんでいられないってばさ。
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食事も終わり、程よく酔った守さんと栞さんは、完全に寄り添って……
いや、栞さんが守さんにしなだれかかって部屋まで戻ってきた。
部屋に着くなり、早紀が切り出した。
「晴道くん、 私たちは隣に行きましょ。ママ達のお邪魔をしちゃ悪いから」
早紀は口では「仕方なく」と言いたげだったが、心の中の声は正直だった。
(ママ達、今にも始めちゃいそう。私も晴道くんに抱かれたいの! あの日は初めてだったし、あの場の勢いでってのもあったから……今日はじっくり愛してもらうの!)
いや、あの日は出納から救い出して、そのまま勢いでって雰囲気はあったけれども、
ちゃんと早紀のこと愛したよ。
(それにもっともっと感じさせてほしいの!!)
心の中の声が聞こえてしまっている俺が悪いんだよ。
でもさ、ここまであけすけな心の中の声が聞こえてしまうと……。
あれ、嫌じゃない、むしろ嬉しいじゃないか! 男だから!!
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早紀は隣の部屋に入った途端、俺の胸に飛び込んできて、
「晴道くん、今晩は一緒のベッドで寝てほしいの。ぎゅっとしてくれる?」
上目遣いでそう言った。
小動物みたいで可愛い。
抗えない。
俺は早紀と一緒にベッドに入る。
俺の腕の中にすっぽりと収まる早紀。
その時、隣室から強い心の中の声が響いてきた。
(守さん、栞の全てを見てください!)
(こっ、これが、栞さんの全て……! 美しい!!)
(守さん、もう来て!)
((……))
(あっ、栞は、もう、もう! あぁぁぁ!!)
栞さん(ははおや)の心の中の声を聞きながら、早紀を抱きしめている。
その背徳感に俺の理性は崩壊した……。
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早朝、気づくと俺は一糸まとわず早紀を抱きしめて寝ていた。
当然、早紀も同じだ。
そして早紀も目を覚ます。
「晴道くん、凄かった。私、幸せだったよ」
「ああ、早紀は素敵だった。でも、俺、早紀の中に……」
「大丈夫だよ。私、由美子さんや千紗ちゃんから晴道くんのことを奪おうなんて思わないの」
「えっ?」
「ちゃんと大丈夫な日って計算してたから」
「でも、男の俺がちゃんと確認しなきゃいけなかったんだ」
「ありがとう。でも私はこうして時々愛してもらえたら、それで満足だから」
俺はそう言う早紀があまりに可愛くて、抱きしめてしまった。
「あっ」
そして、その早紀の吐息が色っぽく、俺の胸でつぶれる早紀のおっぱいが柔らかくって――
「晴道くん、硬い物が当たっているよ」
そんな揶揄うような早紀はどこか妖艶で、俺はいつもの大人しく控えめな様子とのギャップにやられてしまった。
だから、また始めてしまった。
早紀は『由美子さんや千紗ちゃんから、晴道くんのことを奪おうなんて思わないの』なんて言うけれどもさ。
本人はそう思っていないのだろうけれど、実質は完全に俺のことを奪いにきている。
そして、俺はそれが全然、嫌じゃないんだ。
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Scene020【守の選択】
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これは晴道が朝目覚めた頃の隣室の出来事――。
守が気づくと、一糸まとわず栞を抱きしめて寝ていた。
当然、栞も同じだ。
そして栞も目を覚ます。
「守さん、凄かった。私、幸せでした」
「ああ、栞さんは素敵だった」
そこまで言って、守はふと冷静になる。
「大変だ!! 俺は、栞さんの中に……」
「大丈夫です。ちゃんと安全な日って計算していましたから」
「それでも、もしものことがあったら責任を取る! その時は結婚してくれ!!」
「ありがとうございます。
でも、もしものことがないと結婚してくれないんですか?
責任を取るために結婚するんですか?」
栞の顔はどこか寂しそうだった。
その顔を見た守は我に返る。
「俺は何てことを言ったんだ。違う、違うんだ!!」
守はきちんと背を伸ばし、栞の目を真っすぐに見据えて言った。
「斉藤守は水野栞を愛しています。
一生大切にします。
必ず幸せにするので、結婚してください!!」
「はい……嬉しいです。
私も、一生守さんと一緒にいたいです。
結婚してください」
栞が守の胸に飛び込む。
栞のおっぱいが守の胸で押しつぶされる。
喜びに目を潤ませる栞はどこか妖艶で……。
守の男性自身は正直な反応を示してしまった。
「守さん、私、守さんの子どもが欲しいです。
でも……今は二人の時間を存分に楽しみましょう!!」
栞はそう言って守の股間に顔を寄せ、逞しく主張するそれを……。
「あっ、しっ、栞さん、俺の一世一代の求婚の直後にそれは……」
でも、守はそれが全然、嫌じゃなかった。
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Scene021【知らなかった】
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やがて、朝食の時間が近づいてきた。
守さんと栞さんにも、この時間になったら合流すると伝えてあった。
俺と早紀は身なりを整えて、隣室へと移動する。
チャイムを押すも返事がない。
「ママたち、まだ寝てるかな?」
耳を澄ませてみるが、心の中の声も聞こえない。
「きっとそうだね」
「私が起こしてくるね」
早紀がそう言ってルームキーでドアを開けて入る。
「いないね、やっぱりまだ寝室かな?」
早紀が寝室に向かう。
今朝の俺たちみたいに裸で抱き合っていたら、気まずすぎる。
俺はここで待機だ。
しかし――
(きゃーーーーーーーー)
早紀の心の中の声での叫びが届いた。
俺は一瞬躊躇した。早紀は実際の声を出していない。
ここで反応したら、心の中の声が聞こえていることがバレる恐れがある。
しかし、そんなことを言っていられない非常事態かもしれない。
意を決して、俺も寝室へと飛び込む。
「どうした!?」
そこには手で口を押さえ、叫び声を必死に抑えている早紀と――。
真っ最中の栞さんと守さんがいた。
「いっ、いく……!」
クライマックスだった。
全部丸見えだった。
知らなかったよ。
あまりにも集中して無心でいると、心の中の声すら漏れないんだね。
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栞さんと守さんが正気に戻った後、
早紀の説教が始まったのは言うまでもない。
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Scene022【閑話】
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私は二人の女性を見守っていた。
一人は今までの世界で、パパに愛されながらも、一度も一番には“ならなかった”人。
一度も晴花のママには“なれなかった”人。
それでもパパに深く愛されている。
もう一人は、その人のママ。
深く愛した男性に求婚されて、一生を誓った。
深く深く“肉体”も“心”も繋がった。
私は嫉妬した。
私も愛する人に深く愛されたいと思った。
晴花はどの世界でもパパに娘として深く愛された。
だから、他の男性と愛し合うようなことはなかった。
パパといるだけで幸せだった。
……でも。
今の私は、もっと晴道に愛されたいと思っている。
えっ、今、私は『晴道に愛されたい』って言った?
『パパに』じゃなくて?
私は情報生命体だったはず。
肉体など持たないはずなのに。
この『晴道』と口にしたときに感じた、熱い火照りは何なの?




