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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第10話【その親子、平穏につき】

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ep003:その親子、お揃いにつき

⸻


Scene008【旅路】


⸻


ついにデート当日になった。


目的地は箱根にある大型温水プール施設、ユネッサン。

一泊二日のデートだ。


守さんが車で迎えに来てくれ、朝出発となった。


「さあ、温泉旅行に出発しましょう!」


デートだったはずなのに、この人『温泉旅行』と言い切っちゃってるよ。

デートをすっ飛ばして、旅行でいいのか?


「はい、守さん。

栞はとても楽しみにしておりました」


そうでしょうね。

毎晩毎晩、期待であんなふうに高ぶっているんですものね!!

あと気になって、早紀に小声で聞く。


「栞さんって、自分のこと“栞”っていうタイプだったの?」

「うーん、私と話す時は『お母さんは』っていうけれど、

学生時代は自分のことを『栞は』っていうタイプだったってお母さんの古い友達から聞いたことあるよ」


そうなんだ、自分のことを『栞は』っていうの、

すごく可愛いんだよな。


「お母さん、完全に気分が学生時代に戻っているかも」


だよね、だって今の服装だって、早紀とお揃いの可愛らしいワンピース。

二人とも胸元をしっかり強調している。


あっ、一階の如月家ベランダの窓から鋭い視線が……。


(栞さんも早紀ちゃんも私とキャラ被ってる!! しかも栞さん長身だし。千紗ちゃん泣いちゃうよ!)


そんな強い心の中の声も漏れているし。

そうだよな。

千紗も自分のことを『千紗ちゃん』って呼ぶことがあるけれど、あれすごく可愛くて好きなんだよな。

それを心の中の声で伝えておく。


(俺は千紗が自分のことを『千紗ちゃん』っていうの、すごく可愛くて好きなんだ!!)

(なっ、なに言っているのよ!!)

(本当だよ、大好きだよ千紗)

(ぷしゅーー)


これから行くのは守さんと栞さんのデートの付き添いだ、早紀とのデートじゃないからこれくらい良いよな。


⸻


車の中では、守さんと栞さんの会話が盛り上がっていた。


「守さん、どのようなお仕事をなさっているんですか?」

「そうですね、SPやボディガードのようなことを少々」


(かっこいい、きっとアクション俳優のような活躍をされているんだわ。栞のことも守ってくださる?)


「栞のことも守ってくださる?」


最後は口にも出していた。

栞さんの想像。

普通のボディガードなら『そんなことない、あれはフィクション』と言うところだけれど、

守さんの霞の者としての活躍は、むしろそれを上回るからなぁ。


「もちろんですとも」


(初めは保護対象だったのが、一緒に危機を乗り越えるうちに、二人の間に恋が芽生えて……)


あー栞さん、守さんはもうベタ惚れなんで、

そんなこと必要ないです。


「昨年の春には、某国の大統領のボディガードも請け負いましてね」


はぁ、そんなことまで話しますか。

あー守さん、栞さんはもうベタ惚れなんで、

そんなカッコつける必要ないです。


二人が並んでいると、心の中のツッコミが止まらなくて疲れる。


あれ、ふと気づくと守さん、ずっと前を見ていて、一切栞さんを見ていない。

いや、運転中だからよそ見しなくて当然なのだが、あまりにも不自然だ。


耳を澄ませてみる。


(見たらダメだ、目を離せなくなる。前を見られなくなる。事故る。その谷間は危険だ。見たらダメだ、目を離せなくなる。前を見られなくなる。事故る。その谷間は危険だ……)


うん、前を見ていてください。


⸻


Scene009【可愛い】


⸻


ふと気づくと、早紀が羽織っているカーディガンの前を合わせていた。


「早紀、寒いの? エアコン弱めてもらう?」


そう聞いたのだが。


「えっ、あっ、違うの、大丈夫」

(お母さんに釣られてこんな服着ちゃったけれど、浮かれ過ぎのお母さんを見ていたら、なんだか冷静になってきちゃって、恥ずかしくなってきちゃったの)


それで、一生懸命胸の谷間を隠そうとしてたのか。

可愛い。

そういえば、今朝は千紗のフォローをしていて、早紀のこと、ちゃんと見ていなかったかも。


「今日の服装、すごく可愛くて似合っているよ」

「そういうの、さらっと言うのずるい……」


早紀は黙り込んでしまった。

心の中の声も聞こえない。

ここは耳を澄ませるのもやめておこう。


⸻


やがて、休憩に予定していたPAに到着した。


テラス席を確保してから、交代でお手洗いへ。

なぜテラス席を確保したかというと。


「さあ、召し上がってください」


手作りの朝食お弁当が準備されていたのだ。

このために、出発前の朝食は軽くして来てほしいと言われていたのである。

旅行途中ということもあり、使い捨てのパックに詰められたお弁当だったが、

おにぎり、サンドイッチ、簡単なサラダと手が込んでいた。


「お口に合うといいんですが」


栞さんがそう言うが、こんなの美味しいに決まっている。


「私も手伝ったの」


早紀は栞さんと母子家庭で、栞さんも仕事をしている。

手料理はお手のものだ。


千紗さん、そういう意味でもキャラ被ってますよ。


あー、今朝から千紗のことを気にするのは、

こうでもしないと、俺が早紀に入れ込みすぎて、

守さんと栞さんの後押しっていう使命を忘れてしまいそうだからだ。


なにせ、今も俺がおにぎりを食べる様子を、おずおずと上目遣いで見上げている早紀が超絶可愛いのだ。

こういう時、千紗なら、計算し尽くした角度で首を可愛く傾げてにっこりするだろう。


うん、想像しただけで可愛い。


本来今日は千紗とのデートの約束の週だった。

デート以外の予定が入ったらそちらを優先する、

それがルールだから千紗も仕方なく引いてくれた。

そういう意味でも、俺は早紀とのデートの気分になるわけにはいかないのだ。


もっとも、そんな心積もりは無駄になるようなイベントがこの後待っているのは明らかなんだが……。

何せプールだよ。当の千紗が『負けてる』って焦っていた水着だよ。


「こんな美味しいおにぎりをこれまで食べたことありません!!」

「そんな、嬉しい……。栞は守さんのためなら、毎日だって作ります」


あー、二人の世界に入っているよ。

しかも守さん、運転中に見られなかった栞さんの胸の谷間をガン見だし。

いくらなんでも、その視線は失礼じゃないか?


(あー、守様の視線が栞の胸元に……。嬉しい。このワンピースを選んだ甲斐があったわ)


本人が喜んでいるから良いのか。


「本当、美味しいよ早紀」


そう言って早紀に視線を向けると、

少し上半身を屈めて俺のことを見上げる早紀。

そうすると胸元がばっちり強調されるわけで……。


目が離せなくなる。


そんな俺の視線に気づいた早紀は、


「晴道くんのエッチ」


そう言って胸元を隠した。


かっ、可愛すぎる!

ごめんよ千紗、あざとく見せつけてくるのもいいものなんだが、こっちの方が断然萌えるんだよ!


(でも、やっぱり見てほしい……嬉しい)


このギャップもな。


⸻


Scene010【車内】


⸻


朝食を終えた俺たちは、また車中の人となる。


守さんと栞さんの会話はもう完全に恋人のそれだ。

さっきのPAで慣れたのか、守さんも自然と栞さんの方を見ることもできている。

もちろん運転中なので、ちらりと視線を向ける程度だけれども。


そして早紀も、


(ママたちの様子を見ていたら、もう遠慮しているのがおかしくなっちゃった。)


そんな心の中の声とともに、しっかりと俺の手を握ってきた。

しかも、そのワンピースの胸元のボタンが外れているのはわざとですか!?


すっかりブラがこんにちはですけれども!!


コテン。


あっ、頭を俺の肩に預けてきた。


スースー……。


寝ちゃってるし。


俺は早紀が話してくれた、出納とのことを思い出していた。

一学期に優しく指導してくれたので信頼し、そのお礼に夏休みに誘ってプライベートで会ったのだとか。

自分ではそんなつもりはなかったけれど、今となって客観的に思い起こせば甘えていて、

デートと捉えられても仕方なかったかもしれないと言っていた。


出納がやってしまったことは許せるはずもないが、

この可愛い早紀に入れ込んでしまったのは理解できるんだよな。


俺の前世の経験からくる精神年齢は、出納と大して変わらない。

こんな可愛い子が甘えてきたら、そりゃいちころだって。


ごめん千紗、今日はもう、早紀とのデートじゃないって自分に言い聞かせるのは無理そうだ。

いや、俺が一方的にした約束なんだが、もうこれデートでいいよな!


デートでの順番割り込みは絶対厳禁の約束なんだが、千紗には今度埋め合わせするよ。


⸻


「早紀、寝ちゃったの?」


気づくと栞さんが振り返って、こちらを覗いていた。


「早紀が男の人にこんなふうに甘えるなんて、初めてかも。

晴道くん、早紀のことよろしくね」


栞さんに母親の顔が戻っていた。

これはこう答えるしかないだろ。


「はい、分かりました」


俺はこの時、この返事がとんでもないフラグになっていることに気づいていなかった。


⸻


Scene011【水着】


⸻


やがて俺たちは目的地へと着いた。


「早紀、着いたよ、起きて」

「えっ、あっ、晴道くん、私寝てた!?」

「うん、ぐっすり。あっ、よだれが……」

「えっ、え、え?」


早紀は慌てて手鏡を鞄から出そうとする。


「嘘だよ!」

「晴道くんのばかぁ!!」


ぽかぽか。


可愛い。


⸻


「今晩泊まるホテルに荷物を預けます」


それは守さんから『プールの用意は別鞄で準備しておいてほしい』と事前に言われていたので、予想していたことだった。


しかし、そのホテルは高級ホテルだった。

守さんは『温水プールの宿泊付きチケットを二部屋準備しているんだ』と言っていたから、

プールのリゾート施設に併設の宿泊部屋と思っていたのに、高級ホテルの隣接するリゾートプールの利用券付きじゃないか!

というか、こういう高級ホテルなら宿泊チケットとかあるタイプじゃないから、予定を決めてからホテルを予約しましたね。


栞さんは、


「わぁ、素敵!」


なんて素直に感動している。


(こんな所で守さんと一夜を過ごせるなんて……)


しっ、栞さん!? は、早いよ!


早紀は小声で尋ねてくる。


「ねぇ、こんな所、宿泊費出してもらっていいのかな?」


うーん、霞の宿での特別室無料招待とかで感覚が麻痺しちゃっていたけれど、

一部屋15万円くらいはしそうだから、普通は遠慮しちゃうかな?

まあ、それでも、


「守さんが栞さんにいいところを見せたいのだから、素直に出してもらった方がいいよ」


俺はそう答えた。


⸻


俺たちは、プールの準備の最低限の手荷物でユネッサンへと向かう。


「それじゃあ、更衣室の出口あたりで待っております」


俺たちは更衣室へと入る。

男の準備なんて一瞬だ。

着替えを終えて、プールサイドでしばし待つ。


「ねえ、あの二人凄くない?」

「凄いイケメンに凄い肉体美」

「行くしかない?」

「行っちゃう?」


お姉様二人組がナンパにやってきた。


「あの、今、お暇ですか?」


なかなかの美人さんでスタイルも良く、きわどい水着だ。

正直ドギマギしてしまう。


しかし守さんは、


「いえ、私には心に決めた人がおりますので」


いや、そこは『待ち合わせですので』とかだろ。


「そっ、そうですか……」


お姉さんたち、顔が引きつっている。

そしてそこに、


「あっ、あの、守さん。お待たせしました」


栞さんと早紀がやってきた。


お揃いのピンクのビキニだった。

しかもかなり大胆なカットで、布面積が少なさすぎる。

絶対ウォータースライダーを滑っちゃいけないやつだろ!!


しかも、肝心の中身が圧倒的だった。

まん丸じゃないか!!


これは千紗が(水野母娘恐るべし、おっきい、負けてる)と心の中の声で言っていたのも納得だ。


いや、早紀はもう直接見ていたけれど、栞さんがね。

あ、ナンパしてきたお姉さん方の心の中の声が聞こえてきた。


((これは絶対勝てない!!))


ですよねぇ。

正直俺も栞さんに目を奪われた。


(晴道くんがお母さんに取られちゃう……)


泣き出しそうな早紀の心の中の声も聞こえてきた。



⸻


Scene012【閑話】


⸻


パパを見守り続ける私は、パパがその母親に見とれていることにモヤモヤした。

もうパパったら、鼻の下を伸ばして。

私だって、そういう水着を着たら凄いのよ!


ああ、理解した。


私は完全に晴花の気持ちで考えている。

パパを取られたくないって考えている。


私は高次元の観測者、情報生命体だったはずなのに。

何度も何度も晴花の魂と融合することで、私はいつの間にか晴花そのものになっていたんだ。


そして、このモヤモヤした感情はきっと……


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