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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第09話【その転校生、可憐につき】

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ep004:その静寂、盲点につき

⸻


Scene015【真実】


⸻


翌日も三人で登校した。

千紗と早紀はすっかり打ち解けていた。

仲良く二人で並んで歩く。

そこですかさず由美子が俺の腕を取って歩く。

その様子を振り返って見た早紀は、少しだけ悲しそうな顔をした。


「あの、早紀って子も晴道のことを?」

「まあな」

「ふぅ、仕方ないね」

(もしあの子に本気になったら言ってね。私はいつでも身を引くから)

「いいんだよ、そんな無理しなくて」

「うん、ありがとう」


(由美子さんって、今世でも晴道の一番なのかな?)


そんな早紀の強い心の中の声が聞こえた。


⸻


放課後になり、早紀と帰ろうとすると花音さんに呼び止められた。


「伝えたいことがあるの。

いつもの部屋で待っていてくれる?」

(早紀のことよ)

「分かりました」


俺は一緒にいた千紗に、早紀のことを頼んだ。


⸻


指導室で待っていると、しばらくして花音さんがやってきた。


「ごめんなさい、生徒に捕まっちゃって」


うん、仕方ない。

花音さんはちゃんと先生をやっているから。


「それで、何が分かったんですか?」


逸る俺を宥めるように、花音さんはゆっくりと言った。


「結論から言うと、ストーカーはいないわ」

「えっ、そんなわけは!

だって早紀は実際に物がなくなったり、

いやらしい手紙が来たり……」

「落ち着いて、晴道。順を追って話すわ。

まず早紀の家の周りの監視カメラ、住民の目撃談。

徹底的に調べたけれど、それらしき影も噂もなかったわ」

「でも、早紀のお母さんが不審な人影を見たって」

「そりゃね、娘がストーカー被害に遭っているって聞いたら、何でも不審者に思えてしまうものよ」

「そっ……それはそうかもしれないですね。

でも実際の被害は?」

「全て、学内よ」

「犯人は生徒か教師……」


花音さんは頷く。


「それでね、学校の監視カメラの記録を調べたの」

「何か分かったんですか!?」


花音さんは首を振った。


「学校に設置されているような監視カメラは容量が小さいわ。

今年の冬休みは二週間以上あったでしょ?」

「そうか……もう二学期の記録は残っていなかったのか」

「でもね、十一月に一度録画装置の故障で修理が入っているの。

その時の業者が規定に従って、学校にバックアップを要求した」

「それが手に入ったんですか!」

「ええ、普段使われていない外付けHDDに残っていたの」

「それじゃあ、犯人は!」


花音さんは呆れたように俺を宥めた。


「もう、落ち着いて。

学校だって、早紀のストーカー被害で監視カメラの記録は見ているはずよ。

でも何も残っていなかった。

そもそも、教室の中までは録画されていないんだから」

「そんな、それじゃあ……」


花音さんは少しだけ笑いながら言った。


「何もなしに、私が晴道を呼び出すと思う?」

「えっ」

「録画されたデータには、確かに不審なものは何も映っていなかった。

おかしいのよ、実際に事件は起こっているのに、何も映っていないなんて」


俺はハッとする。


「そうよ、改ざんされているのよ」

「じゃあ、それを改ざんしたのが犯人……!」

「そうなるわね」


俺は思わず身を乗り出す。


「それは誰なんですか!?」

「霞の者の情報班に徹底的に検証させたわ。

その結果、ある人物の行動記録が不自然に飛んでいたの」


やっとだ、やっと犯人の尻尾を掴める!!


「それは――早紀のクラス担任、出納って男よ」


⸻


Scene016【思い込み】


⸻


「でも、学校だって早紀のストーカー被害を調べてくれたんだから、そんなことをしていたら気づくんじゃ……」


俺は咄嗟に出納先生がストーカーだとする説を否定する根拠を探そうとした。


でないと俺は……。


「早紀からストーカーの話を聞いて、親身に調べてくれたのは誰?」

「出納先生だって早紀が言っていました」

「そのために、出納は監視カメラへのアクセス権を入手したらしいわ」


あっ、あっ……。


「そうだ、心の中の声……出納先生からは何の悪意も何も聞こえてこなかった!」


花音さんは宥めるように言った。


「晴道、あなたは今、心の中の声を聞かないようにしているんじゃなかったの?」

「ええ、でも出納先生と会ったとき、

意図的に聞かないようにしていたわけじゃなくて」

「あなた、勘違いしているわ。

あなたは人の心の中の声を聞くのを”耳を澄ませる”イメージと結びつけて、

それをしないことで人の心の中の声を”聞かない”ようにしたのよね」


そうだ。だから俺は今、平穏を手に入れた。


「あなた今、”意図的にオフにはしていなかった”って言ったけれど。

普段”耳を澄ませて”いるの?」

「えっ、そんなわけは……」

「つまりは、普段は耳を澄ませていない。

今のあなたは、普段意識しなければ人の心の中の声を”聞けない”のよ」


「っ……! いま、出納は俺たちのマンションの周りにいつもいる。

花月さんに連絡を!」


「ごめんなさい、花月はまだ早紀の学校を調べているの。マンションにはいないわ」

「俺、マンションに戻ります!」


俺は椅子を蹴るように立ち上がった。


「それがいいわ、これを持っていきなさい」


花音さんはいつも持ち歩いている、

暗器の苦無を渡してくれた。


「でも、やりすぎないようにね」

「はい!」


俺は部屋を飛び出した。


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