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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第01話【そのハーレム生活、イージーモードにつき】

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4/22

ep004:その集団、別世界につき


Scene011【朝】



ドラマの話が一段落した後、俺と千紗は、母さんと香織姉さんと一緒に夕食をいただいた。


「千紗ちゃんの出来たてのお料理、最高よ!!」


毎日仕事で帰りが遅い母さんは、いつもはレンジでの温め直しばかりだから、出来たての美味しさにひどく感動している。


(やっぱり、私のお嫁さん一押しは千紗ちゃんよね)


母さん、気が早すぎます……。


「本当、美味しすぎてびっくりよ!!」


香織姉さんも目を丸くしてポークソテーを口に運んでいる。


(晴道と千紗ちゃんが結婚したら、同居する私もこんなに美味しい料理を毎日食べられるの!? それに千紗ちゃんは優しいから、きっと夜だって一緒に……、キャーキャーキャー!)


姉さん、表の声と心の声のギャップが酷すぎる。

というか、妄想の暴走が酷すぎる。


夕食が終わった後、ドラマ出演の方向性などを千紗も含めて話し合い、夜も更けた頃に姉さんは帰っていった。

ちなみに、千紗の美優(みゆ)お母さんは『全て千紗の判断に任せます』とのことで、実質的に全てを沙織母さんに一任する方向らしい。

いとこ同士故の信頼関係だろうか。


姉さんを見送るために一緒に部屋を出た千紗が、ふと二軒隣の氷室家の前で足を止めた。


(今頃、優香と武は二人っきりなんだ)


千紗のその心の中の声を聞いて、俺もすっかり忘れていた事実を思い出す。


……まさかあの二人、本当に大人の階段を登ってしまうのだろうか!?



翌朝


いつも通り千紗に起こされ、朝食を済ませてマンションの玄関を出ると、これまた丁度よく武と優香が氷室家から出てくる所だった。


「やあ、晴道、千紗、おはよう!」

(今日の俺は一味違うぜ!)


「おはよう、二人とも……」

(キャーキャー! こんな朝に顔を見られちゃった、恥ずかしい……!)


武は妙に胸を張って爽やかに、優香はどこかソワソワと頬を染めて挨拶をしてくる。


「おはよう、優香、武」


俺がそう返した隣で、じーっと二人を見つめている千紗の心の中の声が聞こえてきた。


(やっぱり、先越されちゃった?)


二人はもう、大人の階段を登ってしまったのか……。

やるじゃないか、武!!



Scene012【由美子の朝】



いつもの四人で登校する俺たち。

優香と武は、ぴったりと腕を組んで歩いている。

今までは手を繋いで登校していたのだが……これが大人の階段を登ってしまったということだろうか。


その道中、いつも通り由美子が待っていた。

でも、今日の由美子はいつもの何倍も浮かれている。

なぜなら――


「おはよう! 晴道、みんな」

(今日は私の誕生日、特別な日……!)


そう、今日は由美子の誕生日なのだ。


「千紗、晴道、今夜はお願いね」

(すっごく楽しみ!)


「うん、由美子が部活終わった頃に行くね」

(本当は晴道にだけ来てほしいんだろうに、私の名前を先に出すんだね。私に気を使ってくれているんだな)


今晩は由美子の家に招かれている。

今夜は彼女の両親が不在だと聞いて、千紗が自ら言い出したことだ。

それが千紗の優しさであり、俺が大好きなところだ。

そして、そんな千紗に気を使う由美子のことも、俺は大好きなのだ。


今朝の千紗は、由美子のことを思ってか、俺の隣にくっつこうとはしなかった。

すると由美子が俺の右手をきゅっと握り、そのまま、


「ねえ、千紗も一緒に晴道と手を繋ご!」

(私、千紗のことも大好きだから!)


そう言って笑顔を向けた。

しかも由美子は、さりげなく先に車道側の右手をえらんでいた。

車が通ったりして三人で手を繋いでいられなくなった時、自然と自分が手を離すつもりなのだろう。


こうして俺は、両手に花の状態で登校することになった。

普通ならここは、


(くそ、リア充爆発しろ)


なんて嫉妬の心の声が聞こえてきてもおかしくないところだが、そうはならなかった。

クールビューティーな優香と、スポーツマンナイスガイの武が腕を組み、俺の左右にはロリ巨乳美少女と長身巨乳美少女。

そう、今日の由美子は激しいバレーボールの練習に備えたいつもの「抑えつけるブラ」ではなく、むしろ盛って見せつけるようなブラを着けていたのだ。

そして俺も、自分で言うのもなんだが爽やかイケメンで通っている。


あまりにも異次元すぎる集団に、周囲の心の声は


(何あれ、別世界じゃない……?)

(羨ましがるのすら、おこがましいっていうか)

(なんだか、神々しいっていうか……)

(ありがたや、ありがたや……)


嫉妬を通り越して、なんか変な声さえ聞こえてきた。


学校に着くと、俺だけ別のクラスなのでみんなと別れる。

千紗と由美子は仲良く手を繋いで、自分たちの教室へと向かっていったのだった。



Scene013【出会い(さいかい)】



小学校5年生、4月の始業式。

掲示板に張り出されたクラス分け表を見て、俺は思わず声を上げそうになった。

”里塚由美子”

この小学校生活の4年間、見た事がなかった名前。


俺の、4人目の幼なじみだ。


今まで名前すら思い出せなかったけれど、俺が“かつて”深く愛した女の子。

俺の“理想のおっ”――いや、それは言うまい。

今の俺は、まだ小学校5年生になったばかりなのだから。


でも、その日は由美子と会うことはできなかった。

俺たちの通う大田区の小学校は、4月の登校初日に2〜6年生の始業式と、1年生の入学式を同時に行う。

体育館での始業式が終わると、2〜5年生は教室に入ることもなく、そのまま下校となり、残った6年生が1年生の入学式をお手伝いするシステムだからだ。


そして、その始業式に由美子の姿はなかった。

その日、俺は彼女との出会い(さいかい)に胸を躍らせ、なかなか寝付けなかった。


授業初日の朝。

ホームルームが始まる前、やはり由美子の姿はなかった。

やがてチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってくる。


「さあ、みんな席について。

今日からいよいよ授業が始まります。

新しいクラスはどうですか?

ずっと同じクラスだったお友達も、初めて一緒になったお友達もいると思います。

……それでね、今日はこの新学期から新しく転入してきたお友達を紹介します」


(えっ、そうなの?)

(始業式に出てなかったの?)

(可愛い子だといいなー!)


クラスが一気にざわめく。

表の声と心の声が入り混じっていたが、俺はそれどころではなかった。


「さあ、入ってきて」


先生に促され、一人の少女が緊張した面持ちで教室へと入ってきた。


「里塚さんです。

彼女はお父さんのお仕事の都合で、この街に引っ越してきたばかりです。

まだ誰も知り合いがいないと思うから、みんな仲良くお友達になってあげてくださいね」


それは、もう少し下の学年なら通用した言葉だろう。

だが、もう小学校の高学年だ。

子供たちの間にはすでに人間関係が出来上がっており、幼いながらもいくつかのグループや派閥のようなものさえ存在している。

先生に『友達になって』と言われたからといって、すぐに輪に入れるほど単純な時期ではないのだ。


「さあ、里塚さん。みんなにご挨拶をしてください」


促されても、由美子はなかなか言葉を切り出すことができなかった。


(ご挨拶なんて怖いよ……。引っ越しなんてしたくなかった。前のお友達と別れたくなかった。パパのばか。でも、仕方ないよね。パパやママに迷惑はかけられないもん。頑張るしかないんだ。みんなに迷惑をかけないように、嫌われないようにしないと……)


きゅっと拳を握りしめる由美子の、健気で切ない心の声がダイレクトに聞こえてくる。


「あっ、あの……みなさん、はじめまして。里塚です……」

(いったい、なんて言えば嫌われないの……?)


完全に萎縮してしまい、由美子は言葉を続けられなくなってしまった。


その姿を見た俺は


「由美子!」


無意識にガタッと椅子を鳴らして立ち上がり、彼女の名前を呼んでいた。


「えっ……?」


しまった、やっちまった。

先生はまだ“里塚さん”としか紹介しておらず、下の名前は一度も口にしていなかった。

クラス中が呆気に取られたその時、最高のタイミングで武がフォローに入ってくれた。


「そうだよ、みんな最初から名前で呼ぼうぜ!

その方がすぐに仲良くなれるだろ?

俺のことはたけしって呼んでくれ!」


武のその言葉に乗っかるように、俺も慌てて声を張る。


「俺は晴道はるみちって呼んでよ! お友達になろう!」


学年でも目立つ存在だった武と俺がクラスの空気を引っ張ったことで、一気に歓迎のムードが広がった。

そのおかげで、由美子は浮くこともなく、あっという間にクラスに溶け込んでいくことができた。


由美子はいつだって控えめで、人への感謝の気持ちを絶対に忘れない女の子だった。

そして、いつも一歩引いて誰かを立てる優しさを持っていた。

そんな彼女のことを、俺はどんどん好きになっていったのだ。



Scene014【閑話】



――俺、小泉晴道は、大学を卒業した年に出演したドラマの撮影で、由美子と4年ぶりに再会した。


「由美子、久しぶりだね。

怪我をしたってニュースで聞いて、ずっと心配していたんだ」

「私ね、頑張っていたの……。

もう少しだったの。

あとちょっとで、オリンピックのレギュラーメンバーになれたのに……っ!」


顔を伏せた由美子の目から、大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。


その当時、由美子は怪我を負っていた。

だから俺は、自分の気の力を使って彼女を治療したんだ。


そして2週間後。


「晴道! 凄いよ、ドクターがもう全体の練習に合流して良いって! こんなに早く完治するなんて、信じられない奇跡だって驚いてた!!」


しかし、その治療には副作用もあった。

気の力が、由美子の肉体を常人以上に強化してしまったのだ。

由美子の跳躍は誰よりも高くなり、放たれるスパイクは鋭さを増して、文字通りコートを裂いた。

コートを舞う彼女の姿は、まるで重力を置き去りにしたかのようだった。

のちのオリンピックでの伝説的な大活躍を経て、世界中のメディアは彼女を『美しい跳人ちょうじん』と呼び、人類の限界を超えていると噂することになる。


それが由美子にとって本当に幸せだったのか――それは、本人にしか分からないことだった。


今回、晴道が思い出したのは

前作

三人のヒロインとシェアハウスすることになった僕は、全員を本気で愛して呪われてしまった。 ――告白は観覧車のてっぺんで



【第18話-03】─ 番外編:芸能界編二期

https://ncode.syosetu.com/n8087lr/191/


となります。

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