↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第06話【その幼馴染み、負けヒロインにつき】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/43

ep007:その告白、君だけにつき

038.

ep038



Scene023【告白】



俺たちは花月さんの車で家まで送ってもらうことになった。

守さんが運転をして、花月さんが助手席。

後部座席の真ん中に俺が座り、左右に莉子ちゃんと千紗がしがみついている。


そう、”しがみついて”いるんだ。


(晴道、好き……)

(晴道は、私が一番好きなんだよね? ねえ……)


そんな天国だか地獄だか分からない状態で、

俺は自分たちの住むマンションに到着するまで、身動きひとつできずに過ごす羽目になった。


「莉子のことを、よろしくお願いします」


(ふーん、”莉子”ねぇ……)


花月さんの心の中の声が、ものすごく冷たい。



今日は俺の両親は、共に帰りが遅くなると言っていた。

千紗は一度自分の部屋に戻り、シャワーを浴びてくるという。


俺もシャワーを浴びて身支度を整える。

やがて、千紗が俺の部屋にやってきた。


「晴道、話って……?」


俺たちはリビングのソファに隣り合って座る。


(晴道の部屋じゃないんだ……。せっかく勝負下着を着けてきたのに)

(千紗、心の中の声、全部漏れてるよ)

(わざとよ)


俺はがっくりと肩を落とした。



「千紗には、俺のすべての秘密を話すよ」

「全部?」

「ああ。誰にも話したことがない部分も含めて、すべてだ」


(嬉しいな……私だけなんだ)


「俺の秘密を理解してもらうためには、まず、花音さんの秘密を知らなきゃいけないんだ」


(ここにきて他の女の話? ぷんぷん……)


えっと、今のはわざとかな?

とりあえず、ツッコミを入れたい衝動を抑えて無視しておこう。


俺は、一ノ瀬一族の秘密をすべて明かした。

そして、俺たちもその血を受け継いでいるということも。


「霞の者って……合宿で泊まった花音さんの実家が、そうなの?

現役の政府隠密御庭番だなんて……

だから花音さん、総理大臣に顔が利くみたいなことを言っていたんだ」


千紗は、夏に中華の店を予約していた時のことを思い出したようだ。


「それに、花音さんが遠い親戚だなんて……。

だから最初から、あんなに親しく感じたのかな」


親戚と言うには遠すぎるし、

親しく感じたのは別の理由があると思うけれど、それは後で話そう。


「その血筋に流れる力のせいで、俺も千紗も、人の心の中の声を聞くことが”できるように”なったんだ。

そしてその血筋は、由美子とその従兄である和也さんにも流れている。

俺もあの二人もその影響で、とんでもない身体能力を身につけたんだよ」

「それで、由美子はあんなフィジカルおばけなの?

もしかして、晴道も……?」

「ああ。瞬発力じゃ負けるかもしれないけれど、総合力なら俺の方が上かな」


(じゃあ、梨子姉さんは? 梨子お姉ちゃんも一ノ瀬の血筋だから、あんなに最強なの?)

(いいや、由美子は和也さんの父方の従姉妹で、梨子お姉ちゃんは和也さんの母方の従姉妹。梨子お姉ちゃんには一ノ瀬の血筋は流れていないよ)

(じゃあ、梨子お姉ちゃんは血筋とか関係なしに、素で世界最強なのね……)

((ふぅ……))


俺たちの心の中のため息が重なった。

ちなみに心の中の声で会話しているのは、声に出して話していたら、

今にもチャイムが鳴って梨子お姉ちゃんが乱入してきそうな気がしたからである。



「ここまでは、今名前が出たメンバーと、守さん、花月さんが知っていることだ」

「その二人は、どうして知っているの?」

「守さんは、霞の者の隊長みたいな立場だからね。――それと、これは花音さんも知らないことなんだけれど、花月さんは本当は花音さんの従姉妹なんだ」


(ねえ。花音さんが知らないようなことを、どうして晴道が知っているのかしら?)

(い、色々あったんだよ……!)


「色々ねぇ……!」

「……それで、ここから先の話は、本当に誰にも話したことがない。

千紗だけには、すべてを告白するよ」

「えっ……」


(私だけに……? 嬉しいけれど、なんだか怖いな)


本当は花音さんも薄々気付いているみたいだけれど、それは黙っておく。


「俺は、前世の記憶を持って生まれてきたんだ」

「本当……なの?」

「ああ。生まれた直後から、前世での確かな記憶と人格を持っていた。

生まれたばかりで、まだ目も見えず耳もはっきりとは聞こえない状態の時から、周りの状況を”気”で探っていたんだ。

だから、こんな風に心の中の声が見えるようになったんだと思う」

「見える?」

「そうだよ。多分、千紗も同じだ。

気で言葉を聞いているわけじゃなくて、気に乗った相手の『思い』を見て、

それを脳内で言語化したものを受け取っているんだと思う」

「そっか……。じゃあ、私が晴道の心の中の声が見えるのは、

小さな頃からずっと晴道を見続けて、

晴道のことを見つめていたい、

知りたいと思い続けていたからだね」

「きっと、そうだよ」


俺は、隣に座る千紗の手をそっと握りしめた。

ずっと傍にいてくれた千紗。ずっと、俺だけを見つめ続けてくれた。

だからこそ、俺はすべてを告白する決意をしたんだ。


これから話すことは、千紗にとってはあまりにショックが大きいだろう。

もしかしたら、真実を知って俺の元を離れる選択をするかもしれない。


それでも──俺は伝えなければならないんだ。



Scene024【伝えないといけない】



「前世の記憶を持って生まれた俺にはね、

一つの目標……いや、願いがあるんだ」

「それは、なに?」

「前世での最愛の娘、晴花にもう一度会うことだ」

「そうなんだ……」

「前世での俺は、不幸な事故で若くして死んだんだ」

「えっ……!」

「だから、もう一度娘の晴花に会って、今度こそ、その成長を見守りたいんだよ」

「その、晴花ちゃんのお母さん……つまり、前世で晴道の奥さんだった人って……」


(晴道+花音で晴花……。やっぱり、花音さんなの?)


「俺も最初、その可能性が一番高いと思っていた」

「いた、ってことは……違ったのね。じゃあ、一体誰が?」


(私……なのかな?)


「今世でいろんな人と再会して、段々と思い出してきたんだ。

前世での妻は、高橋千晴さんだった」

「千晴さん……? どこかで聞いたことがあるような?」

「今世では、和也さんの彼女さ。

最近、婚約したって聞いているよ」

「前世では、晴道の奥さんになった人なのに……?」

「俺は転生して人生をやり直しているけれど、

今世の世界は前世とは全く違っているんだ」

「その千晴さんって……今の晴道のこと、どう思っているの?」

「全くの他人さ。

一度、和也さんとデートをしている時に会ったことがあるんだけどね。

一日中一緒に遊んだのに、名前すら覚えてもらっていなかったよ」

「ぷっ、あはは! 前世での結婚相手だったのに?」

「ああ、お互いに最愛の人だったはずなんだけどな」


(最愛の……)


千紗の心が、急激に落ち込んでいくのが手に取るように判る。


「……それで、晴花ちゃんとは会えるの?」


ここからだ。

俺は、千紗にとって一番辛い現実を伝えなければいけない。


「俺はね、前世から一度だけでなく、何度も人生を繰り返しているらしいんだ」

「えっ……!?」

「前世以前の記憶はおぼろげなんだけど……

前世以前では、また別の違う女性と結婚している。

毎回、違う女性と結婚しているんだ。

それでも──いつも、必ず晴花は生まれてくる」

「じゃあ……私と結婚していた人生も、あったの?」


ついに、この問いが来た。伝えないといけない。


「俺はね、千紗とはどの人生でも、一度も結婚していないんだ」


千紗の顔が強張る。

きゅっと握り合っていた彼女の手から、するりと力が抜け、離れていった。


「千紗が晴花の母親だったことは、一度もないんだよ」


(そっ、そんな……! そんな残酷なことって……っ!!)


千紗はさらに、深い絶望の底へと落ち込んでいった。



Scene024【月】



「千紗はね、どの人生でも、いつも俺の隣にいてくれたんだ」


千紗が顔を上げて、まっすぐに俺のことを見つめる。


「今みたいに、どんなにみんなで一緒に仲良くしていても。

俺が結婚して、子供ができてとなると……。少しずつ離れていくんだ」


(それは……仕方のないことだよ)


「あの香織姉さんですら、他の男性と結婚して、俺の元を離れていた人生があったんだ」


俺は、離れてしまった千紗の手をしっかりと握りなおす。


「でもね、千紗は。いつ、どんな人生でも、ずっと俺の隣に居続けてくれていた」


(当然よ……! どんなことがあったって、離れたりしない)


「そして──晴花の二人目のママになってくれていたんだ!」


俺は決心した。唐突かもしれないけれど、ここで言うしかない。


「千紗。好きだ、愛している。

俺には好きな人がたくさんいるから、千紗一人だけを特別に愛するわけにはいかないかもしれない。

それでもよかったら、俺と付き合ってほしい!」


「……私とは、一度も結婚していないのに?」


(あれ? なんだか順番が変じゃない?)


「今世ではどうなるか、まだ分からないぜ!」


「でも、駄目!! 私は、晴道とは付き合えない」


なんでだ。精一杯の告白をしたのに。


「私、まだスターになってないもん!

一番になっていない!!

そんなんじゃ、晴道の一番にもなれないよ……っ」


そっか、あの宣言。そんなに本気だったんだ。


俺は千紗を立たせ、その手を引いてベランダへと向かった。


「なぁ、千紗。あの月を見てくれよ」


「うん……。綺麗だね。でも、あれは自分で光っているわけじゃないの!」


「そんな理屈じゃなくて、あの月を見てどう思う?

感動するだろ」


「そっ……それは、そうだけれども」


「月は確かに、自分で光っているわけじゃないかもしれない。

今だって、満月じゃなくて、暗く欠けているところもある。

でもね、それでもこの夜空で、一番感動を与えてくれるんだ!」


千紗は無言で月を見上げる。

気を遮断しているのか、心の中の声も聞こえてこない。


「知ってる? 夜空に見える太陽と月は、全く同じ大きさなんだよ。

実際の大きさは太陽の方がずっと大きいけれど、月は凄く近くにいるから、太陽と同じ大きさに見えるんだ」


「でも……太陽は、月よりずっと明るいよ」


「太陽は直接見ることなんてできない。

でも、月はずっと見ていられるだろ」


俺は千紗をそっと抱きしめた。


「千紗は俺にとって、ずっと一緒に居てくれるお月様なんだ。

ずっと、一番近くの傍らで俺を見ていてくれた。

順番なんて、何一つ関係ないんだ! だから、今世でもずっと一緒に居てくれ!!」


「……バカ」


千紗の唇が、震える。


「バカ、バカ、バカバカ!」


涙をぼろぼろとこぼしながら、千紗は叫んだ。


「離れるわけ、ないでしょ!

嫌だって言われたって、

しがみついていくんだから!!」


俺は深くうなずき、千紗に優しくキスをした。



Scene025【閑話】



パパを見守り続ける私は、千紗ママが大好きだ。


いつの人生でも、千紗ママは晴花のことを守り続けてくれている。

その、何度も繰り返してきた人生での晴花の想いが、私の中にたくさん残っている。


今世こそ、千紗ママが、晴花の本当のママになってくれるかもしれない。


──でも、本当にそれで良いの?

そう思ってしまう、もう一人の私がいた。


これは、どういう感情なのかな。

わからないよ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。