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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第06話【その幼馴染み、負けヒロインにつき】

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ep005:その予兆、的中につき


Scene013【予兆】



俺、小泉晴道は今日一日、嫌な予感に悩まされていた。


それは、今朝自室を出ようとした時のこと。

またあの声が聞こえたのだ。


「パパ、今日はあれを持っていって」


そうだ、あのクマと遭遇した時に聞こえた声。

今は何の予兆もないのに……。



それは、放課後の教室で訪れた。

京子が俺を呼ぶ。


「ねえ晴道、早乙女さんが用事だって」


早乙女莉子――優香の親友だ。


「やあ、早乙女さん。どうしたんだい?」


俺は沸騰しそうな頭を必死で落ち着かせながら声を掛けた。

なぜなら、早乙女さんの心の中の声はこう聞こえたのだ。


(千紗ごめん、晴道ごめん、私怖いの、逆らえない……。でも、千紗が……。お願い、無事でいて!)


「千紗がね、晴道を呼んできて欲しいって」


俺は何でもない風を装って答えた。


「ありがとう、分かったよ。案内してくれるかな」


俺は平静を装ったつもりだった。

だが、俺の顔を見た早乙女さんの表情はさらに強張った。

もはや、心の中の声すら凍りつくくらいに。


「京子すまない、伝言を頼んでいいかな?

剣道部の誰かに『俺は今日も部活に行けなくなった』って」

「わ、分かったわ。晴道も気を付けて」


後ろ姿からも何かを感じ取ったのか、

京子は声を震わせながらも答えてくれた。



俺は早乙女さんに連れられながらスマホを操作した。

いつもはオフにしているアプリのGPS追跡をオンにし、短いメッセージを送る。


やがて、早乙女さんは学校を出た。


やっぱり、そうなんだ。

俺は静かに息を吐いた。



Scene014【決意】



早乙女さんはメモを見ながら、俺を案内した。

人目を避け、監視カメラの死角を突く道のり。

プロだ。

だったら、こちらも手加減はしない。

やがて、俺達は廃工場の門の前に着いた。


(本当にここなの……? 千紗、大丈夫かな……)


俺は、足を震わせながらも、自分より千紗の心配をする早乙女さんが愛しくなった。

だから、早乙女さんをぎゅっと抱きしめた。


「大丈夫だよ。

心配しないで、俺が全てを解決する」

「あっ、あっ……ごめんなさい、ごめんなさい……」


早乙女さんは泣き出してしまった。

本当なら癒しの気でも注いであげるべきだろう。

でも、今は自信がなかった。

今、下手に気を放出させたら、

早乙女さんの心をさらに傷つけてしまうだろう。

だから、俺は早乙女さんをさらに強く抱きしめ、

頬を合わせ──。


「安心して」


それだけを伝えた。

その時、見覚えのある車が走り込んできた。


「晴道!」


助手席のドアを開けて顔を出したのは、花月さんだった。

俺は以前花月さんに勧められてスマホにインストールした、霞の者の連携アプリで連絡をしていたのだ。

そして、花月さんはGPSの位置情報を元に駆けつけてくれた。


「花月さん、この子のことを頼みます」


俺は早乙女さんを花月さんに託す。


(相手はチンピラレベルじゃないわ、プロよ。ごめんなさい、中の図面は準備できなかったの)


花月さんは心の中の声で教えてくれた。

やっぱりだ。

俺は朝持ち出しておいたナックルダスターを装備しながら、首を振って応えた。

こんなに一瞬で駆けつけてくれたんだから、十分だ。


やがて、運転席からは守さんが出てきた。

俺に、あの杖に偽装した刀を渡す。


(銃を持っているかもしれないの)


花月さんが伝えてくれた。

花月さんが早乙女さんを後部座席へと連れて入ったのを見届けて、俺は守さんに伝えた。


「手を出さないでください。

俺一人でやります。

ただ──誰一人、逃がさないでください」

「もとより、そのつもりだ。殲滅する」



Scene015【突入】



俺は閉じられていた門を開けて中に入る。

守さんは門を閉じて、外で待機だ。


中には、いかにも軍人崩れといった風貌の集団がいた。

数は…十二人。

中央にいる、リーダーと思われる白人がニヤニヤしながら口を開く。


『おいおい、ガキが木刀なんぞ持ってきたぞ。

いきがってやがる、サムライのつもりか?』


英語だった。


『豚がいきがって、人間様の言葉を喋ってんじゃねえよ。豚は豚らしく、ブーブー鳴いてな』


俺も英語で返した。

舐めるんじゃねえよ。

花音さんや花月さんみたいなネイティブレベルじゃないが、日常会話なら問題ない。

もっとも、今のはただのスラングだけれどもな。


奴らに一瞬で殺気が走る。


『一つ聞くが、こんな依頼だと知らずに付いてきた奴はいるか? ――あ、応えなくていい。

見れば分かるからな』

『こいつ、何言ってやがる……?』

『二人か、少ないな。

なら、本当は嫌だが、組織を抜けるのが怖くてここにいる奴は? ――合わせて四人か。

なら、一人で二人運べば良いな』

『このクソガキ、一人で二人って何のことだ!』


俺は奴らを見下すように言ってやった。


『八人が地面に這いつくばることになるから、

残りの四人で運ぶのは、二人ずつで良いだろって話だよ』

『なんだと?』

『まあ、豚は計算ができねえから、分からないか』

『こいつ、死にてぇのか!!』


奴らが一斉に腰を上げる。


『ところで、女の子には手を出してないだろうな』

『ああ、まだ出してねえよ。お前をぶちのめしたら、目の前でたっぷり、おか……』


そいつは、頭から地面に叩きつけられるまで、自分が空を舞っているとは気付かなかっただろう。

一瞬で距離を詰めた俺がアッパーでそいつの顎を砕きながら、上空へ打ち上げたのだ。


俺はそのまま、打ち上げた腕を力いっぱい振り下ろし、隣の奴の側頭部を叩きつけようとした。


「パパ、駄目!」


脳裏に響いたその声に、ハッと我を取り戻す。

寸前のところで腕を少し下げ、そいつの顎を粉砕するに留めた。


危なかった。

もう少しで頭蓋骨を粉々に粉砕するところだった。

いくら俺でも、即死した奴は治せない。


空に打ち上げた奴は……?


頭から地面に落ちたが、よかった、まだ動いている。

死んでなければ、後からなんとでもなる。

ナックルダスターを着けた拳は破壊力が有りすぎる。

俺は刀を鞘から抜かず、木刀として使うことにした。


ぶちのめすのは、残り十人のうち六人。

まずは、その四人を一瞬で叩き伏せた。


『ば、化け物……っ!』


残ったうち一人が、恐怖に顔を歪めながら懐から銃を取り出す。

俺は鞘を投げ捨て、剥き出しの刃に気を乗せた。


──ザン。


そいつの銃は、銃身が斜めに綺麗に切り落とされた。


『なっ……!?』


返す刀の腹で、そいつの身体を強く叩く。


「峰打ちだ」


それは日本語で言った。


『ひゃ、ひゃあああーーーっ!!』


叩きのめす予定だった、最後の一人が恐怖に狂ってビルの中へと駆け込もうとする。


しまった!

千紗が危ない。


俺は刃に鋭い気を乗せ、一閃の元に振り払った。


シュッ。


そいつは足から鮮血を吹き出し、その場に倒れ込んだ。

飛ばした気の刃で、正確にアキレス腱を切ったのだ。


これで八人、すべて終わった。


建物の中には千紗しかいない。

気の探索で、すでに確認済みだ。



Scene016【閑話】



私は今日もパパを見守り続ける。

今日は二回も声を掛けてしまった。


それは、パパの苦しむ姿を見たくなかったから。

千紗ママの悲しむ姿を見たくなかったから。


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