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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第04話【その人、危険につき】

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ep004:その設営、総動員につき


Scene019【ピクニック】



俺たちは登山道を上っていく。

所々から鋭い気を感じる。

霞の者たちが姿を消して見守っているのだろう。


「あるーこー、あるーこー、わたしはーげーんきー、あるくのだいすきー、どんどんいっこーおー」


千紗が大きな声で歌っている。

可愛い。


みんなには熊スプレーと熊よけ鈴の事は話している。

熊の目撃情報までは伝えなかった。


千紗も大きな声で話すのが熊よけになると知っていて、

歌っているのかもしれない。



「凄い、空気が美味しい」

「マイナスイオンってやつね」


由美子と梨子お姉ちゃんも、にこやかに笑っている。

やがて、突然目の前が開けた。


「「「わあ」」」


千紗、由美子、梨子お姉ちゃんの声が重なる。

そこには一面、ひまわりが咲き開いていた。


「ここはね、私の秘密の場所なの」


花音さんが両腕を広げて満面に笑みを浮かべ、

くるりと回った。


「凄いよ、こんなの初めて!!」


梨子お姉ちゃんが目を丸くする。

千紗と由美子が手を繋ぎ走り出す。


そんな様子を見て、俺は『こんな彼女たちを護りたい』

心の底から、そう思った。



レジャーシートを敷いて、みんなが腰を下ろす。

花音さんが作ったお弁当を取り出す。


おにぎり、玉子焼き、焼き魚、アスパラのベーコン巻、からあげなど。


どれも手間暇かかっているのがはっきりと分かった。


「これ、全部花音さんが作ったんですか?」

(凄すぎ!!)


千紗が目を丸くする。

いつも小泉家の食卓を支えている千紗だからこそ、

その大変さが分かるのだろう。


「たっ、玉子焼きが、料亭の味!?」


さっそく食べ始めた梨子お姉ちゃんも、思わず声を上げる。


「この味、私、勝てる気がしない……」


由美子も思わず呟く。


「板場のみんなが、指導してくれたから」

(地獄の特訓だったわ)


花音さんは四日程前から先に戻っていたのだけれども。そんな事をしてたんだ。

おにぎりもふわっと柔らかく、米粒が一粒一粒際立っていた。


「正直、こんな美味しいおにぎり、今まで食べた事ないです」


俺の言葉に、花音さんは涙まで流していた。

って、いくらなんでも。


(あの地獄の三日間が報われたわ……)


あー、うん、報われたよ。

だって、


「どれもこれも美味しすぎます!!」

(千紗ちゃんピンチ! 花音さんがこんなに美味しいお弁当作れるなんて、大ピンチ!!)


千紗の心の中の声がめちゃくちゃ焦っていたから。



Scene020【驚愕】



お弁当はすっかり空になった。

少し休んだ後、花音さんが腰を上げる。


「さあ、天体観測をする場所の下見に行きましょう」


そう言って、俺たちを案内する。

着いた先は小高い丘のようになっていた。


その先に、大きな山のようなビニールシートがあり、

その前に男性が一人立っていた。

見覚えがある。

あの救出作戦で一緒に突入した内の一人だった。

確か名前は鈴木(すずき)さん。


鈴木さんは花音さんに気付くと、深々と頭を下げた。


「姫さま、お待ちしておりました。

設置は完了しております」

「ありがとう、助かったわ」

「いえ、姫さまとそのご友人のためでしたら!」


鈴木さんは俺と由美子の事にも気付き、再び深々と頭を下げた。慌てて俺たちも頭を下げる。


「晴道さま、赤影さま、お久しぶりです」

「赤影?

そう言えばこの前、和也さんに会った時に、

そんな事を話していたっけ?」


詳しい事情を知らない千紗だけが首を傾げる。


「ちょっ、ちょっ、それは、もう忘れてぇ〜っ!!」


由美子は声を上げた。



「これ、もしかして……」


千紗がビニールシートの小山を指さすと、花音さんが鈴木さんに頷く。

鈴木さんがビニールシートを取り払う。


「わぁ!」


千紗が声を上げた。そう、それは反射式天体望遠鏡だった。


「霞の宿が誇る反射式天体望遠鏡よ!

今晩の第一部はこれで惑星観測をするのよ」


部室にあった望遠鏡も、高校の部活備品としては最大級で、俺の背丈ほどもあった。

しかし、これはそれを遥かに上回る大きさだった。

千紗が呟く、


「こんなの、天文台でしか見た事ない……」


それを聞いた花音さんは、嬉しそうに話を始める。


「さあ、部活を始めるわよ。

まずはこの望遠鏡の解説ね。

主鏡が40cm、部室にあったのが20cmだから、直径で二倍。

光を集める力は四倍になるの」


部活で天体望遠鏡の解説を聞いた時にも思ったけれども、花音さんは本当に天体観測が好きなんだな。

俺はそんな事を考えながら、ある事に気付いていた。

この望遠鏡だけで200kgとか有りそうだし、

足場を組むためにコンクリートブロックを敷き詰めていて、

自動追尾のモーターの為の電源装置があったり、

接眼部を覗く為の立派な脚立があったりする。


これだけの重量物を、こんな山上に設置するなんて……

一体どれだけの霞の者を動員しているんだろうか。

熊の対策もあるし、総動員なんじゃ?


俺は花音さんに初めて会った時の事を思い出した。

『戦闘機一機に比べたら安いじゃない』花音さんはそう言っていた。

そんな人達を総動員って。


俺たちじゃなかったら、

一体いくら位請求されるんだろうか……。



Scene021【期待】



しばらく望遠鏡の解説を聞き、俺たちは下山する事にした。

望遠鏡にはまたビニールシートが掛けられ、鈴木さんが番をするという。


「後をお願いね、手間をかけるわね」


花音さんは鈴木さんに声を掛けるが、


「いえいえ、交替も来ますし、大した事ではありません」


鈴木さんは笑っていた。


(姫さまのためなら、これくらい、なんでもない)


そんな心の中の声が聞こえた。



部屋に着くと、花音さんが今晩のスケジュールを教えてくれた。


「今日は日没が18時半頃、月没が21時半頃なの。だから22時頃から天体観測を始めるわ。

月は今日は早く沈むから、月より星空を優先しましょう。

初めは惑星観測、土星と木星が見られるわ。

海王星と天王星は、みんなに探してもらうわね」


(海王星と天王星は自分で見付けられるかどうか、実力テストよ)


「それから流星観測よ。

流星のピークは翌2時から4時頃だから、長丁場になるわ。

夕食を19時過ぎから始めるから、それまで温泉にでも入って、ゆっくり休んでちょうだい。

出来れば昼寝でもして欲しいけれども、まぁ無理かな」



温泉は個室風呂なのでそれほど大きくはなく、順番に入る事にした。


「由美子、一緒に入ろ」

「うん、いいわよ」


千紗が由美子を誘い、先に入る事になった。


「じゃあ、次は私と晴道ね、一緒に入ろ!」

「梨子お姉ちゃん、勘弁してください」

(私は良いのに)

「えー、子供の頃はよく一緒に入ったじゃない」

(あの頃の晴道可愛かったな)

「梨子お姉ちゃん、十分育っていますから」


どこがとは言わなかった。

その代わり、胸元を“チラ見”してあげた。

その視線に気付いた梨子お姉ちゃんが、一瞬で赤くなる。


「そっ、そう、なら別々ね!!」

(晴道、巨乳じゃなくても“良い”のかな?)


千紗と由美子のジト目が冷たかった。



金の湯は相変わらず素晴らしかった。

ちなみに、金の湯の湧出量が減ったので銀の湯を採掘したという経緯は変わらないらしい。

そして銀の湯が湧出したので別館を建てたのだが、

前世の記憶と違い、霞の宿は絶頂期そのままなので、特に集客に力を入れる必要もない。

今世の別館は、趣を重視した木造平屋建てになっていた。



湯を上がると、みんな思い思いに過ごしていた。


「花音さんも言ってたろ、夜は長丁場だから昼寝でもしたらどうだい?」


俺は言ってはみたが、寝るわけがないと判っていた。


「晴道が腕枕してくれるなら寝るわよ!」

(ふっふーん、どう出る?)


梨子お姉ちゃんが揶揄ってくる。

受けて立ってあげるよ。

俺は昼寝の為に準備されていた布団へと入り、右手を横に伸ばした。


「判った、じゃあ、おいで」


そう言ってあげた。


「えー、そんな事したら、余計寝なくなっちゃうかもよぉ~?

大好きな梨子お姉ちゃんのおっぱい触りたいのかなぁ~」

(ばっ、バカじゃないの!? 恥ずかしくてそんな事できないって。無理無理。絶対無理。恥ずかしくて死んじゃうから!!)


梨子お姉ちゃんの口に出している言葉と、心の中の声のギャップが激しくて可愛い。

千紗と由美子は梨子お姉ちゃんの揶揄いなんて慣れっこなので、我関せずだった。


結局、梨子お姉ちゃんは布団に入ってこなかった。

まあ、来られたらそれはそれで困っていたから、

助かったのだけれども。



やがて俺たちは夕食へと呼ばれた。

メイン料理は牛のしゃぶしゃぶだった。


俺は前世で味わった時よりも、精神年齢がずっと上なはずなのに……“素晴らしい”以外、言葉が出ない。

俺、精神的に成長していない?


先日味わった中華のコースよりも、ずっと満足度が高い。

なんだか色々経験しすぎてすっかり忘れていたけれども、俺の今の実年齢は十五歳だ。


こんな贅沢を知っちゃって良いのだろうか……。



Scene022【閑話】



霞の者たちは、焦りを感じていた。

目撃情報のあった熊が見つからないのだ。


『どこかに移動したのでは?』


そう楽観視する者もいた。

だが、彼らは歴戦の猛者だ。

そんな希望的観測が一番恐ろしいのを、身に染みて分かっている。


しかし、『姫様のデートをそっと見守る』そんな最高のご褒美に、僅かながらに気が緩んでいた。


そして、その僅かな気の緩みが最悪の結果を招く事に、誰も未だ気付いていなかった。


今回思い出した前作の各シーンになります。


〉俺は前世で味わった時よりも、精神年齢がずっと上なはずなのに……“素晴らしい”以外、言葉が出ない。


https://ncode.syosetu.com/n8087lr/155/


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