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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第04話【その人、危険につき】

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ep001:その勘、鋭すぎにつき


Scene001【お引越し】



花音さんと初めての夜を過ごした翌日、

俺が住んでいる隣の部屋に掃除業者が入った。


先週、そこに住んでいた人が出ていったのだ。


ここは分譲マンションなのだが、元々の持ち主(俺が小さな頃から住んでいた人)は、

お子さんが独立したのを機に、別の小さなマンションへと引っ越し、ここの部屋を賃貸に出している。

いずれお子さんが結婚したりしたら、譲るつもりらしい。


それで、それまで部屋を借りていた人は、結構最近になって住み始めたばかりだったのだが

――先週、こんな挨拶をして出ていった。


「急なんですが、ここより条件が良い賃貸物件を紹介されまして。

引っ越す事にしたんです」

(敷金も全額返してくれるっていうし、次の物件は敷金・礼金もなくて家賃も格安。不思議だな)


そして掃除は1日で終わり、その翌日。

引っ越し荷物を山積みにしたトラックがやってきた。


だが、それは一般的な引っ越し業者のトラックではなかった。

そして、荷物を運んでいる人たちの顔にも見覚えがあった。


「あっ、晴道くん、こんにちは。

私が作ったタキシード、どうだった?」


気さくに声を掛けてきたのは、霞の者の後方部隊の人たちだった。


ということは、当然、ここに引っ越してくるのは――。


「晴道、今日からお隣さんよ!」


満面の笑みを浮かべた、花音さんだった。



Scene002【再開】



花音さんは引っ越してくると、

俺よりもむしろ千紗、優香、由美子と進んで仲良くした。

そうして、急速に頼れるお姉さんポジションを確立していく。


前世、もしかしたらそれ以前の人生でもだったのかもしれないのだが、花音さんと千紗は非常に仲が良い。

千紗が俺を抜きにして、花音さんの部屋に泊まりに行く――そんな日もあるくらいだった。



話は少し遡る。

一学期の話なのだが、聞いてくれ。


千紗は小さな頃から夜空を見るのが好きだった。


だから高校に入ったら天体観測部に入るのをずっと希望していたのだが、

実際に進学してみると、天体観測部は休部状態だった。

この春に卒業した先輩たちを最後に、部員が一人もいなくなってしまったのだという。

ひどく落ち込んだ千紗だったが、

それを救ったのも花音さんだった。


以前の顧問が産休に入った古文の先生だったこともあり、


「私が代理なのですから、天体観測部の顧問もやります。部員を集めるので、再開させてください」


そう言って、さらに校長に強引に掛け合って兼部を認めさせたのだ。


そして、千紗、優香、俺(剣道部と兼部)、由美子(バレーボール部と兼部)、武(サッカー部と兼部)の五人が集まり、天体観測部は正式に再開を認められたのだった。



Scene003【再会】



花音さんが引っ越してきてしばらくして、

和也さんが部屋に呼ばれた。

気の扱いについて話すらしく、

俺と由美子も同席することになった。


場所は花音さんの部屋。

俺は、和也さんを最寄り駅まで迎えに行った。


そしてマンションに着いたとき、和也さんの心の中の声が聞こえてきた。

(駅名を聞いてもしやと思ったが、よりにもよってここなのか……)


俺はその理由を知っているが、あえて口には出さない。

心の中の声が聞こえていることを隠すためじゃない。

和也さんはそれを既に知っている。


口に出さない理由はただ一つ。

言ってしまったら“フラグ”になるからだ。

”厄介事はなるべく避けたい”

それが正直な俺の気持ちだった。



花音さんの部屋で、和也さんに気の扱いについて簡単に説明する。

そもそも和也さんは朧げながら前世の記憶を思い出し始めているので、あまり細かく話す必要もなかった。


「これくらいで良いかしら。

わざわざここまで来ていただいたのですから、

夕食でもご馳走するわ。

晴道と由美子ちゃんも来られる?」

「「はい、大丈夫です」」


俺たちの声が綺麗に揃った。


「それじゃあ、行きましょうか」


俺たちが花音さんの部屋を出た瞬間、二軒隣、

つまり俺の部屋の反対側の隣のドアが開いた。


そして、姿を現したのは……。


・俺の子供の頃の(もし巨乳だったら、絶対初恋だった)憧れの人

・千紗が目標とする人

・千紗や優香が生まれたときから知っている、四歳年上の幼馴染

・天体観測部のOG(以前の人生では茶道部だったが)

・和也さんの従姉妹

・千晴さんのはとこ


……それだけなら、まだ良かった。


・俺の何度か前の人生で深く愛し合った人

・晴花の母親の候補の一人

・和也さんのことがずっと好きだった


……さらに、


俺のどの人生でも、世界最強と目されるトラブルメーカー。


「和也お兄ちゃんじゃない、うちになにか用事なの?……って、誰その巨乳美人!!」


属性多すぎの危険人物――阪本梨子お姉ちゃんだった。



Scene004【梨子】



梨子お姉ちゃんは和也さんを追って、大学を選んだ。

俺が目指している大学でもある。

ただし、梨子お姉ちゃんは四つ上なので、在学期間が重なる事はない。

前世までの記憶では、梨子お姉ちゃんは大学在学中に殆ど家に帰っておらず、俺も殆ど顔を合わさなかった。

しかし今世では、千晴さんが和也さんと順調に交際を進めたので、梨子お姉ちゃんはちょくちょく帰って来ている。

そんな梨子お姉ちゃんが、花音さんと和也さんが一緒にいるところを目撃してしまった。


――トラブルの予感しかしない。



「ねえ、千晴さんって人が居ながら、なんでこんな所で“巨乳”美人と居るのかな?」


“巨乳”を強調していう梨子お姉ちゃんの目が冷たい。


前世までは梨子おねえちゃんと千晴さんはまるで本当の姉妹のように仲が良かったと聞いている。

しかし今世ではそうならなかったみたいだ。


「梨子、花音さんは……」

「いきなり下の名前で呼んでいるって、怪しくない?」

(巨乳好きの和也お兄ちゃんの事だから、きっと千晴さんより……)


「うっ、いや、これは違うんだ、

えっと、そう晴道くんが彼女の事を“花音さん”って呼んでいるから、つい俺も……」

(あら? 晴道に由美子ちゃんじゃない、居たんだ)


うっ、俺の扱いが……。


「梨子おねえちゃん、

花音さんは俺の高校の古文の先生で……」

「あら? 先生を下の名前で呼ぶの? 巨乳だから?」


巨乳は関係ないだろ!! とも言い切れない所が苦しい。


「晴道くんも和也お兄ちゃんと一緒で、巨乳好きだからね。

どうせ私は“巨乳じゃなかったから初恋にならなかった”憧れのお姉ちゃんですよ」


俺は時々思う、梨子お姉ちゃんこそ、人の心の中の声を聞けるんじゃないかと。


「で、その高校の古文の先生の家になぜ和也さんが?」

「和也さんには、少し前にちょっと迷惑掛けちゃって、

そのお詫びを兼ねて食事にでも誘おうかと……」

「それで、なぜ自宅に?

それ以外にも何か用事があったんでしょ?」


梨子お姉ちゃんは、まだ花音さんがここに引っ越してきたと知らないはずだけれども、読みが正確すぎる。


「あっ、いや少し教わる事が合って」

「手とり足取り教わるような事じゃないでしょうね!!」


あっ、和也さん気の扱い方を教わるのに、手とり足取りされていた……。


「えっ、いや、それは……」


うん、和也さん嘘が下手すぎ。


「梨子お姉ちゃん、一ノ瀬先生はAIを使った古典文学の解析のエキスパートなんだ。

だから、同じくAIのエキスパートである和也さんには色々興味深い話を聞けたんだよ」


8割の嘘に2割の真実を混ぜると、一番信じられる!!


「そうなの? それでなぜ晴道くんと由美子ちゃんまで、一緒に?」

「おっ、俺は中学の時から、花音さんの論文を読んでて、それで一緒に話を聞こうと!!」

「それなら、由美子ちゃんは?」


梨子お姉ちゃんの追求が激しい。


「あっ、私は花音さんと晴道を二人っきりにしたくなくて」


うん、由美子、火に油注がないで……。


「えっ、一ノ瀬先生って、生徒に手を出すような危ない人なの?」


あー、間違えじゃないだけに、言い返せない。


「じゃ、和也お兄ちゃんにだって……あれ? 前にそんな事が……。千晴お姉ちゃんと一緒に、霞の宿で花音さんと……」

(今じゃない、未来の記憶?)


梨子お姉ちゃん、前世の記憶が蘇っている?

気の使い手以外では初めてかも……。



Scene005【真実】



結局、「こんなところで立ち話もなんだから」と花音さんの部屋へ戻った。

そして、話はこんな流れになった。


「つまり、千晴さんが花音さんの組織のゴタゴタに巻き込まれた」

「はい」

「花音さんの組織って、政府とかにも顔が利くんだよね?」

「えっ?」

「だってさ、千紗ちゃんから聞いたよ。古文の代理の先生の起用が不自然な所があるって」


知っていたんかい!


「産休に入るには早すぎで、三月末までは今期も継続って、元天体観測部の先輩から聞いたって」


そうだ、千紗は入学前から天体観測部について調べていたんだった。


「後ね、ここの前までの住人の引っ越しが、不自然なんだよね」


あの人、阪本家にも挨拶してたんだ。

まあ、ご近所だしするか。


「何だか、良い条件で釣られて、無理やり引っ越しさせられたみたいな」


うん、俺はあの人の心の中の声を聞いて不自然だと思ったけれど、梨子お姉ちゃんはそれ無しに見抜いたのか。


「そっ、そうなの」

(バレてる)


花音さん、心の中の声だけじゃなくて、顔でもバレバレだよ。


「つまり、それくらいやれちゃう組織って事よね」

「なっ、なんの事かしら」

(この子は前世でもそうだった、鋭すぎ)

「政府の隠密組織とか?」


花音さんが呆然としている。


「やっぱり、そうなんだ。

それで、その救出を和也お兄ちゃんが手伝った、と」

「そっ、そうなんだよ」

「和也お兄ちゃん、何か凄い力とか授かった?」

「どっ、どうして、それを!?」

「だってさっき、花音さんに教わることがあったって」

「……」

(梨子に隠し事なんて、できた試しがない)

「晴道くんに、気でも使う力を使えるようにして貰った?」

「なっ、なんで!!」


俺の事まで見抜いている?


「なんとなくね。最近の晴道くんって雰囲気変わったし、今日の和也お兄ちゃんも、なにか変わったのよね」

「一目で見抜いたの?」


花音さんが驚愕する。


「由美子ちゃんもね」

「ここまで、見抜くなんて」

「嘘よ」

「「「「えっ?」」」」


梨子お姉ちゃん以外、全員の声が揃った。


「晴道くんと由美子ちゃんがいるのが不自然だなと思って、かまをかけてみました」


梨子お姉ちゃんは、今世でも世界最強だった。



Scene006【閑話】



私、阪本梨子は物心付いた頃から、四歳年上の従兄弟、上嶋和也お兄ちゃんが大好きだった。

私が四歳になる年、父の仕事の都合で引っ越す時も、

離れたくなくてわんわん泣いたのを覚えている。


小学校に上がり、高学年にもなっていくと、行動範囲も広がり、一人でも和也お兄ちゃんに会いに行けるようになってきた。

和也お兄ちゃんはますます格好良くなってくる。

『これは初恋だ』その頃の私はそう思っていた。

でも、和也お兄ちゃんの隣にはいつも千晴さんが居た。私の二歳上のはとこ。

千晴さんは綺麗な女の子だった。

いつしかお兄ちゃんと千晴さんは、周りからお似合いのカップルと言われるようになっていた。


そして、私が中一、千晴さんが中三の冬に決定的な事が起こる。

千晴さんが和也お兄ちゃんと同じ高校に合格した事をきっかけに、和也お兄ちゃんが千晴さんへ告白したのだ。

二人は正式に恋人同士になった。


高校、大学と、誰もが認めるラブラブカップルだった。

それでも私は諦めなかった。

頑張って勉強して、二人と同じ大学に合格した。

そして、和也お兄ちゃんに猛烈にアタックする。


でも、結果は残酷だった。

『俺は千晴を愛している。梨子の事は従姉妹以上には見られない』

そうきっぱり言われたのだ。

でも、私は不思議と泣かなかった。

どこかで分かっていたのだ。

私はこの期に及んで『和也“お兄ちゃん”に猛烈にアタックする』という意識だったのだ。

そんなので、勝てるわけがなかったのだ。



私はその日、お世話になっているおばあちゃんの家ではなく、実家に帰った。

そして晴道くんと顔を合わせてしまった。

お隣の、四歳年下の幼なじみ。

まだ中三だけれども、逞しく、そしてイケメンに育ってた。


晴道くんはこう言った。


「悲しい時は泣いて良いんですよ。

頼りないかもですが、俺の肩で良かったら貸しますよ」


私は晴道くんの肩を借りて泣いた。

わけは話さなかった。

ううん、話したくなかった。


だって、私はその日、恋に落ちたのだから。

四歳も年下の男の子に、初恋をしてしまったのだ。


〉・天体観測部のOG(以前の人生では茶道部だったが)


https://ncode.syosetu.com/n8087lr/53/


〉前世までは梨子おねえちゃんと千晴さんはまるで本当の姉妹のように仲が良かったと聞いている。


https://ncode.syosetu.com/n8087lr/57/


〉「じゃ、和也お兄ちゃんにだって……あれ? 前にそんな事が……。千晴お姉ちゃんと一緒に、霞の宿で花音さんと……」


https://ncode.syosetu.com/n8087lr/55/


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