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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第03話【その恋、危険につき】

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ep004:その急転、油断につき


Scene009【油断】



時は二組のカップルがプールでのデートを堪能している時に戻り、

しばし、晴道の視点を離れ物語は進む。



二組のカップルは食事を挟み、午後までたっぷりとそれぞれの時間を楽しんだ。

そして帰りの時間は、どちらが言うでもなく一緒になった。

園内シャトルバスに乗りゲートに戻る。


「うーん、バスまでちょっと時間有りますね」


晴道が時刻表を確認すると、


「じゃあ、駅まで歩きましょ」

「そうね、お話しながら歩けば、あっという間よね」


千晴さんと花音が楽しげに歩き始めた。


「20分位歩きそうだが」


和也が呟くが、彼の意見が聞き入れられないのは前世から変わらなかった。



暫し歩いた所で、千晴が自販機を指さし言いだした。


「和也、喉が乾いたわ、お水買って」

「分かったよ」

「晴道、私も。炭酸が良いな」

「はい、良いですよ」


和也と晴道が自販機の前で立ち止まるも、二人はそのままおしゃべりをしながら歩き進んだ。


「おいおい、置いていくなよ」


和也が呟いた時――。


ギュルギュルギュル!

タイヤが激しい音を立てて、窓が黒塗りのバンが千晴たちの前に止まる。


「花音さん!!」


晴道が声を上げるも、中から飛び出した男が千晴を抱きかかえ、車に押し込んだ。

花音は瞬時に反撃の体制を取ろうとしたが。


(護身用の武器を持っていない)


花音はデートにこんなものは不要と、学校でも常に隠し持っている苦無を今は持っていなかった。

そして、千晴を抱えた男がナイフを持っているのを見て、抵抗を止める。


花音もまた、車に引き込まれる。


「千晴!!」

「花音さん!!」


二人の男の声が上がり、晴道が信じられない勢いで走り寄るが、バンはタイヤから白煙を立てて走り去った。


「畜生!!」


走って追いかけようとする晴道の前に、再び激しいタイヤの音が響き、別のバンが止まる。


「晴道、乗れ」


開け放たれたドアから顔を出したのは守だった。

晴道は頷き、


「和也さんも!」


追いついた和也さんにも声を掛け、車に乗り込む。



車はすぐに発進した。


「すまない、姫さまがおられると思い油断した」


守が悔しそうに言い放つ。


「しかたありません、千晴さんが人質に取られました」


晴道はあの時、花音からの気に乗せた声を聞いたのだ。

(状況、ナイフ)と。


「一体何が起こっているんだ……!」


和也さんが呆然と呟く。


「本当にすまない、君の彼女は我々のごたごたに巻き込まれてしまった。

しかしすぐに助ける」


和也に話しかけていた守は一瞬躊躇したが、晴道に顔を向け言葉を続ける。


「晴道君、私たちが初めて会った時に姫さまが携帯電話で話していた事を覚えているかい?」

「暗殺集団が云々っていう……」


晴道は、花音と『総理』と呼ばれた相手との会話を思い出した。


「そうだ。あの時、我々は奴らの企みは阻止した。

しかしあの依頼は護衛だけで、組織の壊滅では無かったので、

必要最低限の対象を確保しただけで残りは野放しにした」


守の顔には後悔が浮かんでいる。


「じゃあ、奴らの目的は仕返し?」


そう答える晴道に守は首を振った。


「違う、奴らは判っている、我々に刃向かっても返り討ちに遭うだけだと。

奴らは今、日本国内で別のターゲットの暗殺依頼を受けている。

奴らの目的は、姫さまを人質に取り、その依頼の邪魔をするなと言いたいのだろう」

「そんな勝手な……!」


晴道が声を上げる。


「しかしな、今回我々はその護衛の依頼を受けてはいない。

見当違いも良いところなんだがな。

まあいい、我々に牙を向けたのだ、徹底的に潰してやる」


晴道は守から激しい怒りの気を感じ取った。


「俺にも花音さんと千晴さんを助ける手伝いをさせて下さい」


晴道は声を上げた。


「ああ、どうせ止めても付いてくるだろ。

彼女とペアを組んで行動してくれ。

というか、彼女は無茶をしそうだ、止めてくれ」


そう言って守が顔を向けた先には、忍者、いや“くの一”がいた。

鎖帷子のようなアンダーの上から黒装束を着て、赤い仮面を付けた……由美子だった。


晴道は一瞬状況を忘れ、呆れた声をあげた。


「由美子、何してるの?」

仮面(かめん)のくの一、赤影(あかかげ)よ」

「いや由美子だよな」

「仮面のくの一、赤影よ」


晴道は守に向き直り、言った。


「判りました、俺が無茶をしないように見張っておきます」


ほんの少しだけ、緊張がほぐれた。



Scene010【準備】



「守さん、追跡は?」


晴道が問うと、守はすぐに答えた。


「姫さまは常にGPS端末を身につけられている。

追跡は容易だ。

それに別動隊がもう追いついている頃だ、問題ない」


その時、守が付けていたインカムに連絡が入る。


「……うん、判った。

監視を続けてくれ」


守は通信を終えると、晴道に説明を続ける。


「奴らは、この近くにあるアジトに入っていった。

既に調査は終わらせている場所だ、侵入は容易だろう」


「じゃあ、今すぐ助けに行きましょ」


焦る晴道に、守は冷静に告げる。


「晴道君、落ち着け。

彼らの目的は人質を使い、我々の動きを封じる事だ。

人質に手荒な真似をしたりはしない。

そんな事をしたら、我々の怒りを買い、自らが危険な事ぐらいは理解できる。

――もっとも、手遅れだがな」


守の冷静な表情が、逆に恐ろしかった。


「一番危険なのは、人質が無効だと悟られた瞬間だ。

気付かれる前に一気に奴らを掌握するのが一番だ。

さっきも言ったようにアジトの詳細は既に把握している。

作戦は容易だよ」


守の説明に、晴道も冷静さを取り戻した。


「判りました。

守さんの指示に従います」


そこで初めて、今まで黙っていた和也さんが口を挟んだ。


「俺も行く。

連れていってくれ」


「いや、すまない。

君は車で待っていてくれ。

君の彼女は我々が絶対に助ける」


「嫌だ!! 千晴が危険な目にあっているのに、一人のほほんと待ってなんていられない!」

(絶対にそんな事できない!!)


晴道に届く和也の心の中の声は、爆発のようだった。

晴道は守に話しかけた。


「守さん、和也さんの素性は知っていますよね?」

「あっ、ああ……」

「和也さんは絶対に戦力になります」

「いや、しかし……」


守の躊躇は当然だったが、晴道は和也さんの心情を尊重しようと思った。


「由美子」

「仮面の……」

「もう、それは良いよ。花音さんを助けるの手伝ってくれるんだよね」

「当然よ。同じ人を愛した仲間ですもの」


バンの中は椅子が一つもない特注で、それなりに広い空間だった。

晴道はその隅に座っている由美子を抱きしめる。


「ありがとう」

「晴道……?」


そして、深いキスをした。


「ふぅ……」


キスが終わった時、由美子は仮面に隠されていても上気しているのが判った。


「気の補充だよ」

「うん、元気100倍ってやつだよ」


そこで晴道は、和也に向き直った。


「和也さん、今の“見え”ましたか?」


「あっ、ああ。君から由美子に、

何か明るい光が注ぎ込まれるように見えた」


守が驚愕の表情を浮かべる。


「和也さん。千晴さんを守れる力が欲しいですか?

それを手に入れたら、もう普通の生活に戻れなくなるかもしれないですよ?」

「ああ。千晴を助けられるなら、何だって差し出すさ」

(絶対後悔なんかしない)

「じゃあ、ちょっと狭いですが、そこで横になって下さい」

「判った」


そう言って横になった和也さんの下腹部、丹田と呼ばれる場所に晴道は手を当てがった。


「行きます」


その瞬間、和也は自分の中に力強い何かが入り込むのを感じる。

そして、自分の奥底から溢れだす何かを!


「和也さん、やっぱり凄いです」


晴道は声を上げる。


「晴道と同じ力を感じるわ」


由美子も驚きの表情を隠せない。


守は直接気を見る事はできない。

しかし、はっきりと判った。

いま此処に、晴道や由美子に並び立つ超人が生まれたのだと。


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