ep003:その絆、テレパシーにつき
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Scene006【戸惑い】
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俺、小泉晴道は人の心の声が聞こえる。
だからこんな時、便利であり、複雑でもある。
和也さんの心の中の声が聞こえる。
(花音? 会った事無いのに何故判る、いやTVで見た事があるのか? いやそんなのじゃない、俺は彼女の身体の隅々まで知っている!?)
前世関係ない、そう思っても割り切れない感情でもやもやする。
そして花音さんの心の中の声も聞こえる。
花音さんは俺が人の心を気に乗った感情から“見る”事ができるのを知っている。
だから、いつもは気の放出を抑えて、俺に心の声が聞こえないようにしてくれているのだ。
そう、知られたくないからじゃなくて、俺に余計な気を使わせない為に。
(和也、未来で愛した人、でもそんな事、今には関係ない!)
和也さんも花音さんも確実に前世の記憶を思い出している。
そして千晴さん、思い出した。
俺が未来で心の底から愛した人。
あのドラマの後で入籍したのは千晴さんだったのだろうか?
そこまでは思い出せないけれども、その可能性が高い……。
いや、今更そんな事は関係ない、俺は今を生きるって決めたんだ。
そんな時、千晴さんの心の中の声が聞こえてきた。
(ああ、私の和也、今日もかっこいい、男らしくたくましい身体。ベッドで見るのとは一味ちがうわ。でも一ノ瀬さんを会わせたくなかった、和也巨乳好きなのに、和也の視線を奪われるのは絶対に嫌!!)
なっ、なにこの可愛い心の中の声。
俺の事なんて一瞥もしていないんじゃ?
千晴さんには前世の記憶が蘇っていない。
というか、これ本当に俺が知っている千晴さんなのか?
「ぷっ」
なんだかおかしくなって、吹き出しそうになった。
駄目だ、今吹き出したら絶対変に思われる。
俺は我慢して花音さんに話しかける。
「花音さん、その水着とってもエロいです」
「千晴、その水着とってもエロいよ」
あっ、和也さんと完全にシンクロした!
「「エロいって何よ!」」
花音さんと千晴さんの声もシンクロする。
「「「「ぷっ」」」」
4人が同時に吹き出す。
「ははは」
「ふふふ」
和也さんの心の声が聞こえる。
(なんだかよく判らないが、今は千晴とのデートを楽しもう、つーか、千晴のエロい水着を堪能しよう)
花音さんの心の声も聞こえる。
(前世なんて関係ない、今は晴道との時間を大事にしよう)
千晴さんの声が聞こえる。
(知り合いと会っちゃった、これじゃあ堂々とイチャイチャできないじゃない!!)
うん、これは俺が記憶していた千晴さんじゃない。
そもそも、俺は“巨乳好き”なんだ、花音さんの方が好みなんだよ!!
それは俺の強がりだった。
そうでも考えないと、俺は未だ割り切れていなかった。
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Scene007【絆】
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それから俺たちは、自然と一緒に遊ぶ事になった。
俺は駄目だと思いながらも、つい千晴さんの完璧なスタイルに目を取られる。
また和也さんも花音さんの巨乳に目を取られている。
(ちくしょう、エロいなおい、でも俺には千晴の完璧なスタイルの方が好きだ!)
俺は正直すぎる和也さんの心の声に、むしろ安心させられる。
「和也、どこ見てるのよ!!」
(えーーん、私という者がありながら。美晴お姉ちゃんといる時もそうだし、結局巨乳には勝てないの?)
「和也さん、浮気は駄目ですよ」
俺は冗談でそういうが、
「晴道こそ、何処見てるのよ!!」
俺の腕が、花音さんの胸の谷間に挟まれる。
うん、これはイイものだ。
(ちくしょう、羨まし過ぎるだろ)
そんな和也さんの心の中の声など聞こえなくとも、千晴さんは察したのか、和也さんの腕にぎゅっとしがみつく。
可愛すぎるだろ。
「晴道、スライダー行こう!」
花音さんの明らかな嫉妬。
可愛すぎるだろ。
そういえば、もう花音さんの心の中の声は聞こえない。
動揺を抑えているんだ。
その時、
(あのね、晴道、私晴道の心の中の声だけは聞こえるようになったよ)
えっ、それって、
(きっとね、晴道の事、心の底から愛したからだよ)
あっ、そうだよ、俺はいつまで動揺しているんだよ。
(ふふ、仕方ないよ、千晴さんの事思い出しちゃったんだよね)
(そうなんだ。でももう、未来の事なんて関係ないよ。今を大事にするって決めたんだ)
(ありがとう)
いや、しかし、これってもうテレパシーでは?
人間の範囲越えちゃってない?
(ふふ、晴道も気の放出を抑える方法、覚えた方がいいわね)
そうだ、由美子もそうしてるって言っていたっけ。
俺は気を体内で循環させるイメージを構築する……。
「晴道、凄い、もう聞こえなくなったよ」
花音さんが声に出して教えてくれた。
「今度、どれくらい遠くまで届くか試してみようか」
俺も声で答える。
「これって、私たちだけの絆だね」
花音さんが嬉そうに笑った。
俺たちは、そこから二人っきりでプールを楽しんだ。
所々で和也さん千晴さんとすれ違ったが、もう心が揺さぶられる事は無かった。
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Scene008【閑話】
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話を少し戻す。
それは、花音が由美子の身体能力測定を終わらせた直後のこと。
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「由美子ちゃん、ありがとう。
もう十分わかったわ」
「はい。なんだか自分でも信じられません。
これって何か悪影響とかってないんですかね?」
由美子が少しだけ不安そうに答える。
「正直言うと判らないわ。
気の力で身体能力の底上げをするのは基本的な技だけれども、
貴女のそれは、そんな物を遥かに凌駕しているから」
「そうなんですね……」
「そうだ、この後は晴道を入れて測定するけれども、見ていく?」
由美子は少し考えて、答えた。
「いえ、止めときます。
今、晴道と顔を合わせたら、私も測定してたってバレちゃって、
今言った悪影響で心配されちゃうかもしれないから」
「そっか、その方が良いかもしれないわね。
――誰か! この子を家まで送ってくれる?」
そうして由美子は帰っていった。
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そして晴道の身体能力測定。
まさに桁違いだった。
垂直跳びは軽く3mを越えた。
「晴道、あなたギネス記録の2倍飛んだわ」
花音は既に驚愕を越えて、あきれ顔だった。
「時代劇で忍者が壁を軽々飛び越えるシーンがよくあるでしょ」
「はは、特撮ですよね」
晴道は笑いながら答えた。
「あれはね、本当は道具を使ったり、工夫して壁を乗り越えるのをエンタメとして大げさに見せているの。
刀の柄を足台にしたり、三人一組で組体操のように一人を飛ばしたり」
「そういうのって草の訓練にもあるんですか?」
「ええ、あるわ。ちゃんとした技術だから」
「そうなんですね」
「でも晴道、あなたは素でそれをやれそうよ……」
「そっ、そうですかね」
短距離走はやはりどう見ても、世界記録を越えそうだった。
「ちゃんとしたトラックで本気で走れれば、100m8秒台いけそうね」
「多分、それ位なら」
晴道はなんでもないように答える。
走り幅跳びも由美子を軽く超えた。
「着地を気にしちゃって、本気で飛べませんでした」
そんな晴道を見て、
「姫さま、彼も我が隊に勧誘しましょう!
是非是非!!
お願いします!!!」
守がまた熱くなっていた。




