表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第02話【その世界、変わりゆくにつき】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/21

ep004:その口づけ、人外につき


Scene009【事件】



ある日、晴道が職員室へと訪ねてきた。


「花音先生、小泉晴道です。ご相談したい事があります」


その言葉には、強い気が込められていた。


これは何かある。

そう理解した私は、すぐに話を聞くための準備をすることにした。


教頭の所へと向かい、声を掛ける。そこに強い気の力を使い、命令を埋め込んだ。


「教頭先生、生徒と話したい事があるので、指導室を使っても良いでしょうか」

(部屋の予定を空けなさい。監視カメラも止めるのよ)


教頭はまるで夢遊病のように立ち上がると、監視カメラの端末を操作し、部屋の鍵を私に手渡した。

そう、強い気を言葉に乗せると、催眠術に近い効果を得られるのだ。


「1時間で良いかな?」

「はい、ありがとうございます」


私がそう答えると、教頭は夢から覚めたような顔をして、自分の席に戻っていった。


「さあ、行きましょうか」


私は晴道を促した。



指導室は生徒のプライバシーを守るため、防音が徹底されており、窓も無かった。

何かが有った時のため、普段は24時間監視カメラで録画されているが、それも今は教頭に止めさせた。

つまり、ここは密談に最適な空間だった。


「晴道君、貴方がそんなに慌てるなんて、何事かしら?

あんな気の力を使ってまで、合図をして」

「すみません、あれが一番早く花音さんに伝わるかなって……」


珍しく晴道が焦っている様子だ。


「それで、相談って?」

「気を使った、怪我を治す術の使い方を俺に教えてください」


何が有ったのか知らないけれど、これは本気を出さなきゃいけなさそうね。

私は体内に留めておいた気を、一気に解放する。

その様子に気付いた晴道が、驚きに目を見開いた。


「それは、貴方の秘密を全て話す気になったって事?」

「ごめんなさい、それはまだできません」


そう問う私に、晴道はまだ答えない。

……まぁ、それは仕方ないわね。


「まぁ、それは良いわ。

それで、私が貴方に術を教えて、私にはどんなメリットがあるの?」


私は晴道とは対等な関係を結びたいと思っている。

一方的な教授はダメだ。


「あの、それは……。

術を教えてもらえれば、花音さんのお願いをなんでも聞きます」

「あら、何個でも?」

「いや、あの……それは、できれば一つで」


私はおかしくなった。


「ふふ、良いわ。

乗ったわよ。

貴方に気の使い方を教えてあげる」

「ありがとうございます!」


晴道は今、油断をしている。ここが試すチャンスね。

私は言葉を発さず、気に自らの思いを乗せて放った。


『私とデートをしなさい』


さあ、どうなる?


「えっ、デートですか?」


やっぱりね。


「ふふ、やはり貴方は、気に込められた言葉を“見る”事ができるのね」

「えっ、ええっ!?」

「今の“デート”は私は言葉に発してないの。

気にそれを乗せて発しただけ」

「あっ……」


やられた、って顔をしている。可愛い。


「ふふ、デートはどこに行きましょうか?」

「えっ、それって本気なんですか?」

「当然じゃない」


楽しみすぎる。

私は頬が緩むのを抑えきれなかった。



Scene010【解放】



「それじゃあ、始めるわね」


私は準備を始める。


「はい、お願いします」

「貴方は気の力を知っている」


まず状況確認。


「はい」


「そして、貴方は私の遠い親類」


少し揺さぶりを掛けておく。


「えっ!?」

「なによ。

それくらい調べるに決まってるでしょ。

貴方は私たち一族の正体すら知っていたのだから」


もう一度状況確認。


「貴方は気の治療を使った事があるのね。

……でも、今はまだ使った事がない、と。

あら、矛盾しているわね」


これって……。

私は先日私に浮かび上がった、ある筈の無い記憶を思い出す。


「貴方、転生でもしているの? 二度目の人生とか?」


でも、最終的な事は、晴道が話してくれるのを待とう。


「気の術はね、イメージさえ出来ればもう完成したも同然なの。

貴方にはもう、そのイメージがあるんでしょう?」

「はい」

「あとは、今は閉じている気の回路を全開にするだけね」

「どうするんですか?」

「本当なら、深く深く気の交換をするんだけれども」

「それは……」

「セックスよ。

貴方の気を私の中に注ぎ込んでもらって、私の気を貴方に返す。

それで気の循環を起こして、気の回路が全開になるわ」


自分で言っておいて、めちゃくちゃ恥ずかしくなった。

だって、私はセックスはおろか、キスだってした事が無いのに……。


晴道がごくりと唾を飲み込んだ。そして彼の思いが気に乗って伝わってくる。


「あら、貴方は私の身体を知っているのね」

「なっ、なっ、なんで……!?」

「ふふ。貴方が想像した私の身体が、あまりにも正確だったから。

貴方、結構考えている事がだだ漏れなのよね」


間違いない、彼と私は深く深く愛し合った事があるんだ、

それは前世の記憶なのだろうか。


「貴方が漏らした気に、私の身体の記憶が乗っていたのよ。いつ私と交わったのかしらね?」

「あの、それはまだ言えないんです」

「良いわよ、約束ですもの。

デート1回で、術を伝授してあげる」

「あっ、あの、デートは2回でも3回でも良いです!!」


「本当!?」


えっ、嬉し過ぎる!!


「じゃあ、早速始めましょ」

「えっ、セックスですか!?」


なっ、なっ、何言ってるのこの子は。


「ばっ、バカじゃないの!? さすがにここじゃダメでしょ!」


いや、でも、いつかきっと。

というか、デートしたらきっと!


でも今は――。


「こうするのよ!」


私は晴道の唇を奪った。

私のファーストキス。

それに渾身の気を流し込む。


晴道との間にすさまじい気の交換が行われる。


「なによ、この爆発的な気の本流……。

貴方、本当に人間なの……?」


それが私の素直な感想だった。


私は一体、何を解放してしまったのだろう。



Scene011【実践】



「ふふ、そんな人外の力があるなら、治療の術なんて簡単よ」


私はそう確認していた。


「そうなんですか?」


だから、袖口から護身用に隠し持っていた暗器を取り出すと、自らの腕を切り裂いた。

もちろん、血管を切らないように気を付けている。

見た目ほどの傷じゃない。

それでも、トクトクと鮮血が流れ出す。


「なっ、何するんですか!?」


その腕を差し出すと、晴道は懸命に手をかざして気を送り込んできた。


――それは、奇跡の光景だった。


流れ出した血が逆流するかのごとく、体内へと戻っていく。

ナイフで引き裂かれた皮膚が、みるみる繋がっていく。

あっという間に、傷は“消えた”。


しかし、晴道はそれに気付かず、必死に気を送り込み続ける。


っ、あ、なにこれ……気持ちよすぎる……。

これ以上、こんな濃密な気を送り込まれたら私、おかしくなっちゃう……!!


「はっ……晴道、もう良いわよ……」


私の声に、晴道がやっと我に返った。

私は自分の腕をじっくりと観察してみる。


「傷どころか……出血も消えたわ」

「えっ?」

「これじゃあ治療じゃなくて、まるで時間逆行よ」


私は思わず呟いていた。


「晴道、貴方……世界の理すら超えているわよ」


それは、愛おしさと同時に、恐怖ですらあった。


「花音さん、本当にありがとうございます!

俺、今から由美子の所に行ってきます!」


晴道はそう言って、勢いよく指導室を飛び出していった。


「由美子って……里塚由美子!?」


私が声を掛ける間もなく、彼は走り去ってしまった。


一ノ瀬の血筋を持つ由美子が、この晴道の気を直接受けたとしたら。

晴道と同じく、何かに目覚めてしまうのでは……?


私はその不穏な予感に、ただ驚愕するのだった。



花音が指摘した過去の経験は前作での経験になります。

https://ncode.syosetu.com/n8087lr/191/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ