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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第02話【その世界、変わりゆくにつき】

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ep002:その血脈、禁忌につき


Scene005【調査結果】



翌日。

爺やがわざわざ、東京に来ると連絡をしてきた。

しかも『部屋を準備して欲しい』と。

余程重要な話が有るのか。

ホテルの部屋で話す事になった。



「姫さま、さっそくでございますが、始めさせていただいてもよろしいでしょうか?」


爺やは資料も準備せずに切り出した。

それは記録に残す事もはばかれる内容という事だ。


「ええ、始めて」

「五代前の一ノ瀬家当主には、双子の兄妹の異母兄弟がおりました」


これは……。

私は思わず息を呑む。


「双子の兄妹は当主のバックアップとして、全ての技を極めておりました。

房中術を含めて」


これは確かに、記録に残せない話ね。


「そして、不幸な出来事が有りました」

「それは?」

「兄と妹は房中術の暴走か、それとも情愛の末か、交わうようになったのです」


房中術を使える者同士の交わいは最大の禁忌。

術の暴走によって、人格すら失われるかもしれないのだ。


「それで」

「二人は里を追放されました」


私はふと思った。


「それはむしろ、里の優しさだったのかもしれないわね」

「はい、始末もされなかったわけですから」

「そして、二人は双子の子を成します」

「手遅れだったのね」

「そうですな、その双子も兄と妹だったと言われます」

「里は監視を続けたね」

「はい、記録が残っておりました」


爺やの表情はどこか寂しげだった。

今回の調査で里の記録をどれだけ遡り、どんな闇を知ったのだろう……。

私は今、里の首として、実戦部隊の取りまとめをやっているが、一ノ瀬一族の歴史その物は、今だ葉月(はづき)母様が背負っている。

しかし、いつの日か私もその闇を背負う事になるだろう。


「里を追放されました双子の兄妹が産んだ双子の兄妹は、また情を交わすようになりました」

「それは、もう呪いなのかもしれないわね」

「ここからが本題です」


私はもう覚悟を決めた。どんな話でも受け入れようと。


「二代目の双子の兄妹は、一卵性双生児の男児を産みます。

そして、その男児は兄が雨宮家、弟が上嶋(うえしま)家を立てます」

「雨宮家!」

「はい、小泉晴道殿の母上の旧姓が雨宮、そして如月千紗様の母上もまた旧姓雨宮。

二人は母上同士がいとこ、晴道と千紗ははとこ同士にあたります」

「二人は一ノ瀬一族に連なる者だったのね」

「はい、そして……」

「まだ有るの!」

「里塚由美子の母上・由加(ゆか)の旧姓は上嶋」

「由美子もまた一ノ瀬一族に連なっていたなんて……」


爺やはふと呟いた。


「もし、晴道殿が千紗様か由美子様と子をなすような時がくれば、どんな血脈が目覚めるのでしょうやね」


爺やは恐ろしい予感を持っていたのかもしれない。

しかし、私はその時――。


もしも一ノ瀬一族の当主たる私と、その特異な血脈の晴道との間に子をなせば、一体どうなるのか?

そんな想像をしていたのだった。



Scene006【存在しない記憶】



私は晴道と子供ができたら、とそんな想像をしていた。

晴道と花音だから、娘なら“晴花はるか”よね。

――あっ、晴道が初めて会った日に呟いた名前……。

これって、どういう事なの?

その瞬間、ふと記憶が蘇る。


バイクの後ろのシートに晴道を乗せて、会津若松の街を二人で風を切って走っている光景を。


えっ、そんな事をした事はない。

そう思った瞬間、蘇ったはずの記憶は、朧気になっていった。



「姫さま、どうなさいました?」


爺やの声で、私はハッと我に返った。


「……なんでもないわ」

「では、続きを進めてもよろしいでしょうか?」

「えっ、まだあるの?」

「はい。それほど影響のある話ではございませぬが、念のため」


まったく、これ以上何が出てくるって言うのよ。


「由美子様の母君、由加様には兄がおります。名を信治(しんじ)様、そしてその一人息子が和也(かずや)様」


「上嶋和也……」


私はその名を口にした時、また、あるはずの無い記憶が脳裏をよぎる。


和也と何度もデートを重ねる私。

キスをして、お互いの身体を重ねる。


そんな筈がない。

だって私は、男の人と身体を重ねるどころか、キスすらした事が無いのだから!


そしてまた、その記憶は急速に朧気になって消えていった。


「その、上嶋和也にどんな関係が?」

「姫さまが共同研究を行った、高橋(たかはし)教授。

その三女が千晴(ちはる)様です」

「千晴ねえさん……」


私は無意識にそう呟いていた。


「はて。姫さまと千晴様は、同い年で同じ誕生日と聞いておりますが?

それにいつの間に“そんな親しげな”間柄に?」


私は頭を小さく振って答えた。


「いいえ。高橋教授に『同い年だから』と紹介されて、“一度だけ”顔を合わせたきりよ」

「そうですか。それで上嶋和也は、その千晴様と“幼馴染み”で、”高校の頃”からお付き合いをしているようです」

「そうなのね」


正直、私はその話に対して大した興味を覚えずにいた。


「千晴様とは家族ぐるみのお付き合いの様子です。

ですから今後、高橋教授とお会いする事がございましたら、顔を合わせる事もあるやも知れませぬので、念のためご報告をいたしました」

「分かったわ」


私は、記録を取るわけにもいかないこの情報を、頭の中で整理した。


追放された双子(兄-妹)

2世代目:双子(兄-妹)

3世代目:双子・兄(雨宮家を立てる)

4世代目:雨宮家・兄(美優の父)/弟(沙織の父)

5世代目:雨宮美優(如月家へ嫁ぐ)/雨宮沙織(小泉家へ嫁ぐ)

6世代目:如月千紗/小泉晴道

そして3世代目の双子・弟(上嶋家を立てる)

4世代目:上嶋家

5世代目:上嶋信治/上嶋由加(里塚家に嫁ぐ)

6世代目:上嶋和也/里塚由美子


私の世代だけで、4人。

いいえ、私の“幼馴染み”の美由も含めれば、5人。

秘匿された一ノ瀬一族の血筋って、意外とどこにでも居る物なのね。



今回花音が思い出したのは前作での二人の出会いの物語となります。

https://ncode.syosetu.com/n8087lr/106/

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