第90話:そうして女は落ちる
「えへへ」
そうして俺は外出することにし。懇願された結果カーマの着替えを待って。そうしてカーマとエリと一緒に外出したのだが。
「お前な」
一応正気は疑ったが、結果結論は覆らず。カーマは薄手にシャツにミニスカートという格好で俺の隣を歩いていた。もはやその巨乳を隠す気も無く。スラリと伸びる足を隠す気も無く。女の色気ムンムンで俺の隣を歩いている。俺の腕に抱き着いて、俺の女だと主張しているその光景に、すれ違う男が性欲の目で見ており。だが俺にだけおっぱいを圧しつけて、うっとりと俺を見ている。
「せーんぱい。大好きです」
「あーっと。それはどうも?」
「いつものように、彼女面するな、でいいんですよ?」
「マジでどうしちゃったのよ。お前」
「先輩に惚れこみました」
だからってこんな。
「エリはエリで水着かよ」
「中々サイズに合ったのが無いから探すのも苦労するんだよ?」
「通販で買ったもんな」
「その節は」
で、黒いビキニを着て、市中を引きずりまわして……はいないが、俺の腕に抱き着いてデートを楽しんでいる。
「エッチだぞ。お前」
「これが先輩のモノですよ?」
「ネバダのためにだよ?」
「ちょっと来い」
で、しょうがないのでモールの服屋に連れていく。道行はタクシーだ。そうしてモールについて、服屋へ直行。
「すいません。コイツに健全な服を見繕ってください」
店員にそう言う。
「先輩、私手持ちが」
「俺の奢りだから心配するな」
正確には国家予算の一部だが、ソレは言わぬが花である。ラフなシャツにへそ出しルック。ミニスカートという警察に職質されそうな服装のカーマが二段重ねのワンピースに着替えたことで一応は収着。
「エリも何か買うか?」
「黒のビキニはエロくない?」
「エロいから言ってんだよ」
「おにんにんおっきくなっちゃう?」
「き・が・え・ろ」
「えー。じゃあ男物がいいな。シャツとジーンズでさ」
「じゃあデニムファッションな」
「そういうの好きなんだ?」
「そらまぁデニムは無限大ですよ」
なわけでデニムの専門店に出向いて、エリの服を調達する。
「どうせネバダ以外見えないのに」
「俺の股間事情も思案してくれ」
「思案した結果なんだけど」
嫌がらせですか。
「そもそもエッチできない男に価値はないだろ」
「ソレを言ったら地球の反対側の男性に価値が無くなるんですけど」
「抱かれたいなら行ってこい」
「ううん。ボクはネバダ一筋だから大丈夫」
言ってノースリーブのデニムジャケットにジーンズ。上半身は黒い水着をそのまま採用しており、水着とデニムのコラボレーション。どこかのファッションショーにいそうだった。
「じゃあ茶でも飲むか」
「ケーキ食べたい」
エリの意見を採用して、喫茶店へ。ケーキセットを頼むエリと、コーヒーを頼む俺。カーマは紅茶を頼んでいた。
「美味しいですね」
そら喫茶店なんだから茶が美味しくなくてどうするよ。
「シャングラリの紅茶は、その」
アレと比べるな。居眠り無しのウサギと亀くらい差があるぞ。
「で、先輩」
「はいはい」
「好きです。付き合って」
「やだ♡」
史上初めて、俺は語尾に♡を付けたかもしれない。
「じゃあこれから毎日言いますね」
「飽きるまで付き合ってやるよ」
「付き合ってくださるんですか!?」
「この茶番をだ」
「刺されても知らないんだから」
だからソレをお前が言うかって話でだな。
「あ。ゲーセン行きましょう。ゲーセン。プリクラ撮りましょうよ」
「お前と写真撮ってどうしろってんだ」
「それをおかずにします」
「あのーな。カーマさん。喫茶店で物騒なことは」
「ていうかネバダの下着をおかずにしてるよね?」
「……そうなの?」
「風呂入る前とか」
うーん。世界ふぎり発見。
「ゲームくらいしか先輩に勝てる要素ないし」
「マウントを取らんでよろしい」
「負けるのが怖いんだ」
「よろしい。ならばクリークだ」
ってなわけで。
「畜生」
格ゲーでボッコボコに負ける俺だった。
「却下ン視はどうしたんです?」
キャラの性能は把握してないし相手のコントローラー操作が見えないから予測が立たんのよ。俺の却下ン視は視覚情報から予測をはじき出すだけだ。知り合いの未来視とは根本的に違う。
「じゃ、約束通りプリクラはラブラブモードで」
手でハートを作る。ハグする。それから。
「ん♡ ちゅ♡ 先輩♡」
俺と深くキスをして、その様をカメラに撮られ、その証拠映像がシールになってしまった。
「うわぁエッチだぁ。ネバダ先輩」
「お前もメスの顔してるだろ」
「私はほら。先輩のメスですし」
自己申告でな。
「先輩って私とキスするときこんな目をしているんですね」
「知ってるだろ?」
「知ってますけど」
そんなわけでカーマとエリとプリクラを取って、そのままスマホのカバーに張るの張らないの。ニコニコ笑顔で写真を見るカーマとエリを見て「乙女って」と嘆息する俺でした。




