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第83話:それで監禁生活は終わり


「帰ってこれた」


 さすがにあのまま監禁されても状況は悪化するだけなので解散。俺は普通に家に帰っていた。


「っていうか先輩が安藤先輩に何も言わないから厄介なことになったんですよ?」


「それはまぁ。そうだが」


「次からはご相談くださいね?」


「特に問題視はしていなかったんだよ」


「それが問題だって言ってるんですけど」


 とにかく自分の家に帰れたことは喜ばしく。俺は久方ぶりに自分の家のあまり美味しくないコーヒーを飲んでいた。


「ボクとしてはあのまま三人の前でネバダとイチャイチャ出来ていてよかったけどなー」


「マジで刺されるぞ」


「あの何とも脳破壊される顔が可愛いよね」


 エリとのキスが悪魔的なのは認めるが。さて、夏休みの宿題も終わったし。自堕落な生活を送るか。と思っていると。


「ネバダ。文芸部室に来て」


 安藤先輩からそんなイラン。適当にシャワーを浴びてさっぱりし。そのまま彼女の要望通りに出かけることに。


「今日はバイトだったよな?」


「ですよー。迎えに来てくださいねー」


「俺と帰って問題にならないか?」


「ガチ恋勢はいるかもしれませんけどー」


「いっそアイドルになったらどうだ?」


「歌上手くないんで。グラビアアイドルくらいが精々じゃないですかねー」


「カーマのグラビアか」


 ふむ。悪くない。というかかなり良い。エッチな身体をしたカーマが水着を着て撮られている写真となれば日本中の息子が活ホッキするだろう。


「先輩はいいんですか? 私のおっぱいが全国に晒されて?」


 ソレを言われると辛いな。たしかに俺だけのおっぱいであってほしい気持ちはあって。


「というか性的嗜好に興味ないだろお前」


「性欲で見られるのはつらいです」


 よく俺と一緒に暮らしていられるな。


「ほら。先輩にならエッチな目で見られても嬉しいですし」


「マジでエッチな目で見てるぞ」


「うーん。嬉しいです」


 ニコッと微笑むカーマ。で、エリがシャワーを浴びるためにシャワー室に。俺は安藤先輩に呼ばれたので学校へと。外は熱く、出来れば空調の利いていない空間には出たくないのだが、これも渡世の義理か。


「……ネバダ」


 青い髪のちょっと綺麗な女の子。高嶺の唯華こと安藤レアス先輩は、俺を見つけると抱き着いてきた。今日は部室に俺と二人きりなので遠慮することはそんなにない。


「可愛いですね。先輩は」


「……ネバダのために可愛くなったんだよ?」


 そりゃ徒労で。


「……ネバダ。……いい匂い」


「汗臭くないですか?」


「……興奮する」


 さいですか。彼女がギュッと抱きしめてきて、そのまま俺の胸板に顔を擦りつける。その障害となる旨の大きささえ加味しなければな、という話でもあり。


「……ネバダって何でも出来るよね」


「買いかぶり過ぎです」


「……でもネバダのおかげで創作が進む」


「九割五分先輩の力だと思うんですが」


「……ネバダは本当にそう思ってる?」


「謙遜するほど何も成し得ていませんよ」


「……ちょっと困惑」


「何にです?」


「……ネバダと結婚出来れば……拙はとっても幸せ」


「叶うといいですね」


「……ネバダは前向きじゃない?」


「あんまり想像がつかなくて。結婚かぁ」


「……拙と結婚して? ……そしたら拙はどんなプレイもする」


「裸でリンボーダンスとか?」


「……おっぱいが大きいからリンボーダンスは難しい」


 それは確かに。


「あと俺を監禁しようとしないでくださいね?」


「……ネバダは嫌だった?」


「俺は嫌じゃないんですが。アキラとカーマがね」


「……好かれているもんね。……月影の女神と恋堕の天使」


「有難い限りです」


 他に言いようも無く。そうして俺たちは創作に没頭した。ファンタジー世界を冒険する系の、どこにでもある小説。でもそれを面白いと思ってしまうのは人間の脳が求める娯楽が人によっても大差がないという証明であるのかもしれない。


「……やっぱりネバダを監禁したい」


「せめてアキラとカーマを納得させる根拠を持ってから言いましょうね」


「……三人で独占?」


 月影の女神と恋堕の天使と高嶺の唯華でか? 血の雨が降るぞ。


「……ネバダは監禁も悪くなかったんだよね?」


「病気になったらどうするんだっていう根本的な疑問はあるけど」


「……拙が看病する」


 そこはせめて医者に見せてくれんか? 俺は不死身なので病気でも死なないのだが。


「……ネバダと一緒にいたい」


「それは嬉しい限り」


「……ネバダは拙といたくない?」


 見捨てられた子猫のような。シュンと気落ちする安藤先輩に。


「可愛い。安藤先輩」


 俺はそのまま抱きしめていた。


「……かわ……いいとか……月影の女神と恋堕の天使にも言ってるんでしょ?」


「もち」


 何を今更だ。


「……拙が好きって言ったくせに」


「見切ってもいいぞとはすでに言ってるよな。レアスが俺を好きじゃなくなったら離れてもいいぞ」


「……離れられないことを知っていて……ネバダは意地悪を言ってる」


「好きな子には意地悪してしまうものなんだよ。男ってのは」


「……やだぁ。……ネバダから離れたくない。……拙の王子様」


「好きだぞ。レアス。愛してる」


「……うん。……もっと言って。……拙を安心させて?」


「愛してるぞ。レアス。俺はお前が一番好きだ」


「……拙も。……ネバダが一番好き」


「相思相愛だな。俺たち」


「……ネバダ……キスして」


 はいはい。ちゅ。俺は容易くレアスの唇を奪う。それが愛の証明だと偽証して。


「……うん。……元気出た。……ネバダの愛で生きていけそう」


「そんなにか?」


「……ネバダさえいれば拙は他に何も要らないの。……ネバダだけが拙の傍にいるなら拙は全てを捨てられる。……財産も処女も人権も。……拙のご主人様になって?」


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