第76話:意識できない意識
「ただいまー」
俺が部屋に戻ると。
「お帰りー」
彼シャツに下着姿のエリが出迎えた。安藤先輩は普通に服を着ている。この部屋で五人で暮らすのにも慣れてきたが、相変わらずエリは俺以外には見えていない。彼女はブラとパンツ姿で部屋を徘徊し。故に俺の視界にしか映っていないが故に月影の女神と恋堕の天使、それから高嶺の唯華に危機感をあおる。
「んー?」
「うーん?」
「……んー?」
月影の女神と恋堕の天使と高嶺の唯華はそんなエリを見て首をかしげているが、それ自体は然程どうでもよく。
「ネバダ。ネバダ」
「何だ?」
「一緒にお風呂に入ろ?」
「そうだな。汗もかいたし。それもいいだろ」
そんなわけでエリと一緒に風呂に入ることになった。彼女はダイナマイトボディをバスタオルで隠して、そのままシャワーを浴びる。俺はと言えば先に体を洗って風呂に浸かっていた。
「ふい。このために生きているな」
それは間違いなかった。そうして広い風呂にもう一人入って、二人で肩までつかる。熱い最中に熱い風呂に入るのも何なので、ぬるま湯程度に温度は抑えてある。ゆっくりポカポカ。
「アキラとカーマとのデートは楽しかった?」
「とっても」
「むー」
そんな不機嫌そうにされてもな。
「ネバダはボクのモノ」
「愛しているぞ」
「えへへ。ボクも愛してる」
だから好きな人には好きになってあげたい。
「ほら。このおっぱいもネバダのモノだよ?」
「俺に捧げてくれるのか?」
「好きに揉んでいいからね? ネバダの命令で、ボクは何時でも裸になるから」
「要熟考だな」
ていうかだ。
「お前も来ればよかったのに」
「ま、アキラとカーマにも飴は与えないとね」
「遠慮したわけか?」
「遠慮……遠慮ね」
「その様子だと違いそうだな」
「ネバダと二人でなら、行ってもよかったよ」
「その時はV字水着を着てくれるか?」
「ジャンプだってしてあげるよ」
そのHカップの爆乳でジャンプするとユッサユッサと胸が揺れるじゃないか。しかもV字水着からおっぱいが零れかねない。
「エリって実は一番エロいよな」
「もちろん♪ ボクは誰よりエロイよ?」
「健全なこっちのことも考えてほしいわけで」
「ネバダのこと?」
「そりゃエッチな女の子がいるとしても対応に困るというか」
「おっぱい揉むだけでいいよ?」
それが出来れば苦労してねーんだよ。白い髪に赤い瞳。彼女の傾城の美貌は月影の女神と恋堕の天使と高嶺の唯華と比べても異常極まる。元々呪術誓約で、誰にも意識されない代わりに美少女になるよう魔法をかけた存在だ。であればこの美貌も必然で。
「ネバダの童貞♪」
「お前も処女だろうが」
「処女はむしろ名誉だよ?」
不平等な世界だ。
「いいお湯だね」
「そうだな。心が洗われる」
「エッチなことしよっか?」
「今はちょっと……」
「いつならいいの?」
「いつならいいんだろうな?」
そもそもエリとは結構している。今更遠慮するのも違うと言えば……まぁその通りではあるのだが。
「でもネバダの苦しそう……」
「じゃ、あがりまーす」
「ボクもボクも」
そうして二人で上がって、俺はシャツとパンツを装着して部屋に戻る。その後ろをダイナマイトボディのエリが我が物顔でいる。ブラジャーとパンツだけの姿で、俺の性欲をビンビンに刺激するのだが、今はそれを申告しない。
「ねーえ。ネバダ先輩?」
「ネバダくん?」
「……伏見くん?」
何か?
「「「浮気してないよね?」」」
「してないぞー」
俺の右腕に抱き着いて、俺にマーキングしているエリをそのまま好きにさせながら、俺はあっさりとそう言った。
「でも……うん? あれー」
「何か不快ですよ」
「……うん。……不快」
「俺が気持ち悪いってことか?」
「そうじゃないけど」
「そうじゃありません」
「……でも……なにか……こう」
じゃあいいだろ、と俺はそこで打ち切った。
「ネバダ。ボクのおっぱいはどうですか?」
「心地よくて気持ちいい」
「そうだよね。気持ちいいんだ。やっぱりネバダはスケベだね」
「お前はそれを上回るドスケベだろ」
「それはメスを発情させるネバダが悪いと思うなー」
「なにかしたか? 俺」
「生きているだけでカッコイイ!」
そりゃどうも。
「ほら。おっぱい揉む? 柔らかいよ」
「また後日お願いな」
「遠慮しなくていいのに」
遠慮というか……。まぁ遠慮だな。
「それで今日こそはネバダとベッドで寝る。ボクだってその権利はあって」
「じゃあ頑張れよ」
「そこはボクの胸を揉みながら、今夜は寝かせないぜ、じゃないの?」
お前は俺にどういう感情を持っているのよ。
「三分の三のエッチな感情」
よろしい。ならばクリークだ。




