第74話:ベッドの中で
そうして、彼女らもここに滞在するということで、俺たちは一緒の夜を過ごすことになった。ベッドは俺とアキラとカーマが使い、その隣の床敷きに安藤先輩が。エリはリビングのソファで寝ることに。
「ふぉぉぉ」
「うぐぅぅ」
カーマが何かを吠えて、アキラが何かを押さえつけるように、互いに唸った。
「どうかしたか?」
「先輩と寝ていますよ。私」
「嬉しいか?」
「超」
「ネバダくん……」
「アキラはどうした?」
「やっちゃお?」
それが出来ないから困っているのだが。
そうして天井を見ている俺の左右にアキラとカーマが寝ている。二人とも既に発情しているのか。息が荒い。俺にかけてくる声が一々濡れていて、どう考えてもセクロスを期待しているような。俺に応える気概があれば話は早いのだが、生憎そういうわけも無く。
「ネバダ先輩って不能とかじゃないですよね?」
出来ないという意味でならイコールかもしれん。
「い、イコールなんですか」
「あくまで暫定な」
「…………」
触るな。
夏休み。クーラーをガンガンに利かせて寝る俺たち。俺の隣にいるアキラとカーマにはひと夏のアバンチュールを提供できれば、俺としても楽しいというか誇らしいのだが。
「中々なぁ……」
ところで、お前はいいのか?
「何がです?」
「男と一緒のベッドって」
「誘ってます?」
「いや、純粋な興味」
「嫌悪は覚えていますよ?」
やっぱりそうなのか。実際に男に犯されたトラウマが簡単に解決できるなら、この世に心的外傷は無いわけで。
「でも先輩は違うから」
「何も違わんぞ」
「犯さないでしょ? 愛してくれるでしょ?」
「そうできたらいいんだが……な」
俺が言葉を選んでいると。
「ちゅ」
隣からカーマが俺にキスをしてきた。誰にもバレていないキス。だが既にブランケットの中では俺とカーマは手を繋いでいる。その手をソワソワとニギニギしているカーマは可愛いのだが。
「ふにゃ……」
そのまま彼女は寝た。
「ネバダくん」
でそれとは逆サイド。アキラが俺を呼ぶ。
「どうかしたか?」
「えっと……」
俺の腕に抱き着いて、ギュッギュッと圧をかけてくる。
「ドキドキしていますか?」
「超している」
「私もしています」
「嬉しいな」
「なんでこんなところに来たんです?」
「来ない理由も無かったからな」
「監禁してほしいなら私がしますのに……」
どっちにせよ破綻するのは目に見えているが。
「ネバダくんは不用意です」
それはすまんて。
「だから私とキスしてください」
「頬にならしていいぞ」
俺は天井を見て、そのままそう言う。
「では」
ちゅ、とキスをするアキラ。俺の頬に軽い圧。キスされたのだろう。そのことを把握するのは容易く。そうして俺の腕にギュッとつかまり、そのまま寝るアキラ。
「俺の気も知らないで」
エッチな女の子が隣で寝ているだけで、俺の股間は活ホッキだ。もはやそれは男の宿命とも言える。もういっそ呪術誓約を破りたいくらい。それでも破らない俺は一体何なのか。
「寝るか」
そんなわけで俺の睡眠につこうとするが。
「先輩。寝ました?」
寝てはいないが、答えるのも面倒。
「ちゅ」
俺にキスをして、そのまま俺の反応を見るカーマ。それはまぁ別にいいのだが。俺と恋人繋ぎをしている手をカーマは誘導する。俺が寝ていると思っているのだろう。さっきまでのも寝たふりか。俺の手を誘導して、そのまま胸に持ってくるカーマ。
「あ♡」
柔らかい何かに触れているのは俺にはわかったが、全てはブランケットが隠している。
「先輩。サービスです♡」
そうして俺の手を柔らかい胸に持っていき、そのままフニュフニュポヨンポヨンと遊ぶカーマ。
「なんでだろ? 先輩もお父さんと同じなのに。私を孕ませたい獣なのに。それを良く思っている私がいます」
発情しているのか?
「先輩」
胸にかき抱いている俺の手。その甲にキスをして、彼女はえへへと笑う。
「本当はマンゴーに使ってあげたかったんですが、それは後日ということで」
恐ろしいことを言われているように感じるのだが、俺の錯覚か?
「はぁ。もう。しぇんぱい。しゅきぃ」
俺の手を胸に持っていって、そのままフニュフニュ。それだけで彼女は感じるらしい。業の深い事……と思ってはいるが、実際にそれも事実で。
「…………」
「…………」
そのままカーマもアキラも寝て。俺は一人天井を見ていた。暗い部屋では視覚も働かないが、それでも見えるものが何も無いわけも無く。
「このままやっちまいたい」
それが叶わぬ夢と知りつつ。俺はそのように言っていた。瞳を閉じる。暗い部屋の暗い瞼の奥。それでもチラチラと見える光は、おそらく目ではなく脳が見る光。
「すぅ……すぅ……」
「ふ……ぅ……」
俺の隣で安穏と寝ている女子には悪いが、俺だって性欲はあるんだからな?
猛る性欲を鎮めて、そのまま目を閉じて意識を手放す。そうして眠りについた俺は、その後彼女らが何をしたのかまでは察すること能わず。
「おはようございます先輩♪」
「おはようございますネバダくん」
ただ何故かカーマもアキラも、次の日の朝。ツヤツヤしていた。




