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第66話:監禁


「どうもー」


 三日分の着替えと、夏休みの課題を全部持って俺は駅で安藤先輩と合流していた。特に理由があったわけじゃ無いが、彼女の案に乗ってみるのもいいかなと。


「……じゃあ行きましょう。……拙の家は……こっちですよ」


 言われて柳原区のちょっと盛んな駅の一角で降りて、俺は彼女の住むマンションまで送られた。そこそこ金のかかっているマンションだ。駅近なことも含めて一般的に賃貸で借りられるとはちょっと思えない。そのマンションのエントランス。網膜認証で扉を開き俺を迎える。部屋も網膜認証だった。自動で開いたマンションの部屋。その中に入って俺は荷物を下ろす。


「……何する? ……ゲームなら何でもあるよ? ……マンガと小説も揃えているし」


「俺の部屋を作ってくれたのか?」


「……うん。……だって伏見くんはこれからここで暮らすんだから」


「三日の宿題合宿……と聞いていたが?」


「……もういいの。……伏見くんは拙だけを……愛していればいいの」


 うっとりとして俺を見て、妄言を吐く安藤先輩。


「つまり……監禁か?」


「……うん。……やっと捕まえた。……もう逃がさない」


「俺にスマホを持たせたのは悪手じゃないか?」


「……大丈夫だよ。……スマホは拙が新しく買ってあげるから。……伏見くんは私とだけSNSをすればいいの。……ソシャゲのガチャも存分に楽しんでいいよ? 重課金くらいなら許してあげるから」


「金持ちなんだな」


「……恵まれてはいるね。……この部屋の扉は拙の網膜認証でしか開かないから。……拙の許可なく出入りできないの」


「はー」


 それで俺を監禁して何がしたいのよ、と言いたいがまぁ別に聞くまでも無いか。


「……衣服は拙が洗ってあげる。……新しい服が欲しいなら言ってね? ……それも不自由はさせないから」


 ガチで監禁する気らしい。


「最後に一つ」


「……何?」


「俺に嫌われる……という展開は考えなかったのか?」


「……何で?」


 マジで分かっていない感じで、安藤先輩は俺に疑問を呈す。


「監禁されていいイメージを持つのは難しいと思うんだが」


「……でも伏見くんは拙を愛しているんだよね?」


「好きだぞ?」


「……うん。……ならいいじゃん」


 まったく良くはないのだが。さすがにお高いマンションだけあって部屋割りは広い。俺の部屋だけでも十分な広さなのに、ここは家族で住んでも余裕があるくらいの広さを持っている。さらにここに網膜認証で出入りを制限している安藤先輩の財力ヤバくないか?


「……伏見くんは拙だけ愛していればいいの。……拙だけが伏見くんに愛される権利を持っているの」


 妄言もここに極まるが、彼女が本気でそう思っているのは理解できた。


「……じゃ……宿題しようよ。……拙が勉強教えてあげる」


「じゃあ、よろしくお願いします」


 そんなわけで勉強合宿が始まった。


「そこの動詞は――」


「その時の微分は――」


 そんな感じでぶっ通しで勉強が進んでいく。


「……じゃ、休憩にしようか」


「心配してくれるのは嬉しいが、そもそも外に出るのは無しか?」


「……欲しいものがあったら言ってね。何でも揃えてあげる」


 マジで監禁する気なんだよなー。とすると俺はここから逃れられないわけで。


「……はい。……じゃあスマホは預かるね」


「おい」


「……新しいのを拙が買ってあげる。……拙の番号だけを登録しているのを」


「望んでないんだよなー」


「……伏見くん」


 で、目をトロンとさせて甘えるように安藤先輩がしな垂れかかる。


「……伏見くんの愛が……欲しいな」


「俺に何をしろと?」


「……伏見くんの誠意で愛して?」


「無理だ」


「……何で?」


「俺はお前を愛するように出来てない」


「……嘘だよね? ……それ」


「お前がどう思っているのかも関係ないな」


「……だって……伏見くんは……私を愛して」


「愛してるぞ」


「……ほら。……伏見くんは私が好き。……でしょ?」


「だからって俺を監禁していい理由にはならんだろ?」


「……伏見くんは監禁されたくないの?」


「そもそもソレを望む人間が何処にいるって話で」


「……拙は望んでいるんだけど」


「じゃあ、お前は俺を監禁して何したいので?」


「……伏見くんを愛したい。……伏見くんに愛されたい。……それ以外何も要らない」


 じゃあ余計俺に何もできないんじゃないか?


「……じゃあどうすればいいの?」


「ほら。キスしてやるから目をつぶれ」


「……伏見くん♡」


 そうして俺を見つめて瞳を閉じる安藤先輩。


「……ん」


 その唇に俺の唇が重なる。キス。チュッチュッと軽いキスをする。


「……好きぃ♡ ……伏見くん♡」


「だから俺を外に出せ」


「……だーめ。……伏見くんは全部拙のモノだから。……拙が管理するの」


 外食ぐらいはしたいんだがな。


「……マジで外に出さないよ。……代わりに欲しいものは全部与えてあげる」


「じゃあ処女とか?」


「……うん♡」


 あかん。こいつ。本気だ。


「……じゃあ休憩するし。……運動しない?」


「聞くのも怖いが運動って?」


「……セクロス」


「残念ながら、俺は童貞捨てる気ないぞ」


「……じゃあおっぱいで?」


「まぁBくらいはあり」


 それは呪術誓約に反することは無いとは思うが。


「……伏見くんのアレを拙のおっぱいで包んであげる」


「気が向いたらな」


「……拙のおっぱいには興味ない?」


「ないではないが。なんだかなぁ」


「……ほら。……おっきいよ?」


 タプンタプンとおっぱいを揺らすPカップの安藤先輩。嬉しそうに挑発してくる。


「揉んでいいんだな?」


「……挟んでもいいよ♡」


 じゃあオナシャス。


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