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第65話:そうして終業式


「夏休みに入っても我が校の生徒であることを忘れずに云々」


 そういう有難い校長の言葉を聞き終えて、一学期最後のホームルーム。一学期も色々あった。中には刑事事件まであったのは面倒なので回想しないとして。


「月影の女神と恋堕の天使と夏休み……かー」


 隣で呟く砂漠谷エリ。たしかに月影の女神も恋堕の天使も、俺と夏休みを満喫する気満々だが。俺はそのまま文芸部室へ。


「……どうも」


 そこで安藤先輩に出会う。


「夏休みですねー」


「……約束。……覚えてる?」


「初日は先輩のところに行くんでしたっけ?」


「……そう。……だから……準備していてね?」


「準備って?」


「……とりあえず三日分の着替えと宿題全部」


「終わらせる気か」


「……アキラさんと……カーマさんには……秘密だからね?」


「報告も無し?」


「……全部無し」


「ふーん」


 俺の却下ン視(サイドシーイング)はそれで相手の言いたいことを受け取れる。とはいえだ。別にそれでマイナスにもならないんだよなー。


「じゃ、そゆことで」


 俺がそう納得すると、キラリと安藤先輩の瞳がきらめいた。本当に罠にかかった魚か鳥を見るように。俺も予想していなかったわけではないが、別に殺されるわけでもないし、気にしていないというか。


「失礼しまーす」


 ホームルームが終わったのだろう。カーマが現れた。


「せんぱーい♡ ムギュ♡」


 そうして俺に抱き着いてくる。男への免疫も付いてきたのか。否なのか。


「揉めないおっぱいにおっぱいの価値はあるのか?」


 再現性のない現実に意味はあるのか、みたいな。


「揉みたいですかー?」


「超揉みたい」


「えへへー。ネバダ先輩のド・ス・ケ・ベ♡」


「そりゃスケベにもなるだろ。Eカップの巨乳を前にすれば」


「安藤先輩の方が大きいですよ?」


「夢があるよな」


「……重くて辛いんですけど」


「それ皮肉にしかなっていませんからね? 安藤先輩」


「巨乳くらいがちょうどいいと思うけど」


「ネバダ先輩はどっちがいいですか?」


「どっちもいい」


「うわー。最低の答えが出たー」


 ジト目になるカーマだった。


「だからおっぱいでマウントを取ろうとするな。どっちも俺の彼女じゃないんだから」


「じゃあいっそネバダ先輩のハーレム作りません? 恋堕の天使と月影の女神と高嶺の唯華で」


「俺がこの学校生活で切り捨てられそうなんだが」


「そこは愛と勇気で解決しましょうよー」


「愛はあるか?」


「ありますよー。私はネバダ先輩を愛してます♡」


 男嫌いが治ったら一考の余地があるが。


「何気に高嶺の唯華……安藤先輩もネバダ先輩を気にしてますよね?」


「……なんで?」


「だって先輩を見る目がエッチですし」


「エッチじゃ……ないよ?」


 まぁエッチだな。ていうか俺に惚れてるっぽいし。


「ところで先輩。夏休みですよー? どうします?」


「デートとかするか?」


「いいですねー。じゃあしましょうしましょう。メイド喫茶にも来てくださいね。おっぱいご奉仕しますから」


「いっぱいご奉仕だろ?」


「おっぱいでご奉仕してほしいですか?」


「お前が警察が怖くないというならばいくらでもしていいぞ」


「もう♪ 先輩はドスケベすぎるんですから♡」


「ただ初期はちょっと実家に帰るんで」


「え、いないってことですか?」


「ああ、まぁ」


「ちなみについていったりとか」


「謹んでごめんなさい」


「そっかー。ネバダ先輩の実家……」


「妄想しているところ悪いが然程でもないぞ」


 そもそも実家帰宅が虚偽だしな。


「……ッ」


 カーマの見えていないところでグッとサムズアップする安藤先輩。俺もサムズアップで返礼だ。これから三日くらいは安藤先輩に付き合うことになる。


「勉強教えてほしかったんですけど」


「そうだな。じゃあ勉強も暇があれば……」


 場合によってはそれどころではなくなるだろうが。


「お疲れ様です」


 今度はアキラが現れた。


「え? 実家に帰るんですか?」


 都合上、そういうことになる。


「ネバダくんの実家……」


 まぁ政治的にそういうのは存在しないのだが。


「で、一時離れるので、お前らとも会えなくなる」


「花火大会までには帰ってきますよね?」


「多分……としか言えんな」


 安藤先輩が何考えているかにもよるが。


「じゃあ我慢します。ですから帰ってきたらいっぱいハグしてキスしてくださいね?」


「アキラ先輩……キスが欲しいなら私が……」


「女子にキスされても……」


「俺は嬉しいけどなぁ。月影の女神と恋堕の天使のキス」


「その……百合って奴ですか?」


「元々カーマはお前が好きだし」


「もう! いやん! 先輩の馬鹿……」


「それとネバダくんへの言動の統合性が取れないんですけど……」


 まぁそうなるよな。


「まぁ木乃伊取りが木乃伊になる、みたいな」


「恋堕の天使って男子を勘違いさせる女の子みたいなイメージだったけど、ネバダくんの前では普通に乙女ですよね」


「せ・ん・ぱ・い。今日はデートしませんか?」


「何でだ?」


「新しい小説のネタが思いつくかもしれませんよ? 首輪をつけて裸で四つん這いになっている私を先輩が踏みつけて悦に入ってる小説とか」


 運営に怒られるぞ。そういう小説が無いとは言わないが、一般的に性描写は少ない方がリスクは低いんだよなー。でもカーマの裸で首輪はちょっと見たいかも。


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