第64話:常闇家に御訪問
「どうぞ上がってくださいお客様」
「お邪魔しまーす」
「お、お邪魔します」
「邪魔するよー」
特に大仰な理由があるわけではないが。俺とカーマはアキラの家にお邪魔することになった。俺的にはあんまり狼の巣に近づきたくはなかったのだが。カーマと一緒なら大丈夫だろうという甘い算段。ついでにエリも付いてきて、ほぼ全員でお邪魔している感じ。当たり前だがエリは普通にスルーされている。
「お茶貰いまーす」
と勝手に冷蔵庫を開けて、お茶を注ぐエリ。さすがに歓待されないのは分かり切っているので自分でお茶を用意することに慣れているというか。家の人からツッコミは入らない。
「じゃあ何しますか?」
「ゲームでいいと思います!」
我が家にもゲーム機は持ち込まれている。カーマが住居費を免除されているので彼女は今ゲームにはまっている。アキラの実家、常闇家もゲームは存在し。つまりやろうと思えばいくらでもできるという。
「ゲームかぁ」
そんなわけでゲームをする羽目に陥る。俺はあんまり得意じゃないが、接待プレイに終始しよう。機体は天任堂の最新機。抽選やら転売やらで話題になったアレだ。レースゲームも出ているので、三人で遊ぶのは難しくない。エリはプレイできないこともないが、面倒になるので自重してもらった。片付けが行き届いている綺麗な空間だ。アキラの家は。ウイーンとロボット掃除機が動いており、床を綺麗にしている。隅々まで綺麗なのは、確かに好感を持てるというか。
「それじゃキャラを選びましょう」
「ネバダ先輩はどれにします?」
「あんまり詳しくないからなー」
最高速度。カーブの曲がりやすさ。諸々キャラによって違うらしい。そもそもこんなコントローラーで車の運転って。適当にキャラを選んでそのままプレイ。そうして俺は最下位に落ちぶれ、アキラとカーマどころかNPCにまで負ける始末。
「ドンマイ! 切り替えていきましょう!」
「先輩にもできないことってあるんですね」
俺を万能とでも思っていたのか?
「まぁやろうと思えば何でもできる。みたいな?」
「結構その辺は信頼しているんですよ?」
「残念だったな」
そもそもコントローラーのプレイというのが俺にはしっくりこないのだ。バスケや勉強とは違うからな。カチカチとボタンを押しながらゲームを四苦八苦プレイする。
「ネ・バ・ダ♡」
その俺に抱き着いて、甘い声で囁くエリ。常闇家の冒険には飽きたのか。俺をギュッと抱きしめる。
「キスしない?」
「今はプレイ中だ」
「ボクともプレイしない?」
「やっていいのか?」
「もちろんだよー。他の女の家でってちょっと憧れてたんだ」
お前は本当に女の子を嫉妬させるのが上手いな。
「えへへ」
ちなみに、褒めてないからな?
「ネバダのアレはおっきくなってる?」
「今はまだ」
「じゃあおっきくしよう」
「どうやって?」
「ふ」
俺の耳に息を吹きかけるエリ。それで俺の背筋にゾクゾクと悪寒が走る。
「ちょ、お前……」
「感じちゃうでしょ?」
「感じはするが……」
「ほら、ネバダの背中に何が押し付けられているでしょう」
エリの爆乳。ボインがバインボインで、その弾力だけでご飯三杯行ける。
「今この場ではボクが一番おっぱい大きいよ」
「あえて安藤先輩と戦いを回避するあたりにちょっと異論を感じる」
「Pカップはちょっとね。太刀打ちできないというか」
「お前も十分大きいがな」
「そのおっぱいがネバダのモノなんだよ?」
「だから今はゲーム中だと……」
結構集中力がいるなゲームって。勉強で集中するのは慣れているが、テレビ画面を見ながら集中というのはあまり慣れていない。
「じゃあほい。ボクが代わってあげる」
俺を背中から抱きしめて、そのままおっぱいを俺に背中に押し潰し。そのまま俺の代わりにコントローラーを握ったエリは、破竹の快進撃を続けた。
「いきなり上手くなりましたね。先輩」
「コツでも掴みました?」
黒子迷彩はエリが排除されるようにつじつま合わせを起こすのだが、今回は俺のプレイが上手くなったと自動変換されたらしい。
「よ、ほ、と」
俺の代わりにプレイするエリは、そりゃ上手く。さすがゲームセンターで無双しているだけはあった。
「あ、こんな時間ですか」
で、午前中はゲームで遊んで、それから昼食。アキラの手料理らしい。手延べそうめんとおかずが一品。ズビビーとそれをすする。かつおだしのつゆは市販のモノだが、それはそれでクオリティが保障されているので美味しいことこの上ない。夏に入ったこの季節。そうめんは冷たくて心地よい。
「アキラはいいお嫁さんになれるな」
「ほ、本当ですか!?」
「アキラ先輩食いつきすぎー」
「だってネバダくんのお嫁さんですよ」
いや、俺のとは言ってないが。
「ネバダってそういうところあるよねー」
こっちもこっちで、ズビビーとそうめんをすすっているエリ。ちゃっかりだしを使って普通に食っている。これあると四人分のそうめんを湯がかせていたのだ。
「ねえ。ネバダくん。私は何時でもお嫁に行けますからね?」
「じゃあご祝儀包まないとな」
「ネバダくんと!」
「だから彼女面するな」
「ダメですか? ネバダくん?」
「キスくらいはしてもいいんだが……それで所有権を主張されてもな」
「ネバダくんに好き勝手にされたいんです」
「それで自分で慰めているのか」
「う……その……」
「可愛いな」
「はぅあ! ネバダくん。そういうところですよ……」
「ネバダ先輩……そういうのは私にだけ言えばいいんです!」
「お前、男嫌いは治ったのか?」
「まだちょっと無理です」
「アキラとはキスできるか?」
「超出来ます!」
じゃあそっちでよろ。




