第60話:期末テスト、終わる
「はいそこまでー」
漏れ出た吐息は安堵と諦観。地獄のようなテストが終わって、解放されたことと結果の出来でアンビバレンツな感情が両立している。
「ネバダは出来た?」
隣の席のエリが聞いてくる。相も変わらず白い髪に赤い瞳。美少女とはエリのためにある言葉だ。
「まぁそこそこ」
「学年一位は結構言うね」
中間テストで一位を取ったのは認めるが。
「勉強とかしてるの?」
「そこそこなー。お前にも教えてやっただろ」
「ま、そうなんだけどね」
そもそもエリは大学受験の時、どうやって面接を受けるのだろう? 一応ここ進学校だったよな?
「適当にスルーされて終わるよ。試験結果だけの受験だと思えば、むしろ割り切れるんじゃない?」
「そういうこともあるわけか……」
確かに無視はされるがスルーはされないわけだ。
「後は夏休みだな」
「いっぱい遊ぼうね」
「お付き合いくらいはするけどさ」
「アキラとカーマも色々考えてるみたいだし」
「安藤先輩もな」
ちなみにテスト中は流石にエリも制服だ。特に風紀意識に目覚めたわけじゃ無く、周囲と溶け合わせることで集中力を確保しているらしい。色々と露出癖はあるが、そのプレイを継続しているとテストに響く……とは本人の言。
「じゃ、いこっか」
「そうだな」
なわけで文芸部室に。今日は俺が最も早く着いたらしい。安藤先輩もいなかった。テスト期間くらいは彼女も鈍足になるのだろう。俺はスマホをもってネット小説を読み漁り、そのまま三人を待つ。エリもベタベタはしてこなくて。普通に席について本を読む。
「ところで却下ン視ってテストの内容わかったりするの?」
「ああ」
「…………」
あっさり俺が頷くと、ジト目になったエリさん。
「ズルくない? ソレ……」
「まぁズルくはあるが。しょうがないだろ。わかっちゃうんだから」
俺の意識でオンオフ出来るもんじゃねーんだよ。
「そりゃ学年一位にもなりますわ」
「ま、魔眼持ちの特権だな」
「……お疲れ様です」
疲労したように声をかけて入ってきたのは安藤先輩。どこまでも疲弊していて、テストの出来を聞くのも躊躇われる。
「大丈夫だったか?」
それでも聞いてしまう空気の読めない俺。
「……まぁ補習はないでしょう」
平均点くらいは取っていないとマズいと思うんだが。一応勉強は教えたし、出る内容も少しズルいが遠回りに誘導するように教えたつもりではある。
「お疲れ様です」
「お疲れです。先輩」
そうしてアキラとカーマも現れる。
「今回も先輩が一位ですかね?」
「そこそこ出来たから、可能性はないでもないな」
「打ち上げしません? ファミレスでパフェでも食べましょうよ」
「カロリーはまぁ必須だが……」
「私も行きます」
アキラもキラキラした目をしていた。
「安藤先輩はどうします?」
「……そういう陽キャは……ちょっと」
そうやって意識の線を作るのは勿体ないと思うのだが、説教をする柄でもないのでそれは良し。
「じゃパフェ食いに行くか」
「そーしましょー」
「えへへ。ネバダくんとファミレス」
そんなわけで四人でファミレスへ。あえて安藤先輩を連れてこなかったのは彼女がガチで嫌がっていたから。本気で知り合いとファミレスには行きたくないらしい。にしては夏休み初日は彼女と宿題処理に追われることになるのだが。
「うーん。美味しい。先輩先輩。あーんしましょうか?」
「わ、私も」
「自分のを食うからいい」
ファミレスが期間限定で出している抹茶パフェを俺は食べていた。隣ではエリがチョコパフェを食べている。うまうま、と食っているが、そもそもパフェってガッツリカロリー会得するよな?
「大丈夫。あとで運動するから」
我が家のリビングにはエアロバイクが設置したりされている。俺は不死身の怪物なので健康に気を使う必要はないが、女子には女子で色々と戦いがあるのだろう。
「安藤先輩も来ればよかったのに」
「先輩ちょっとこういう空気に馴染めそうにないからな」
「でもちょっとネバダ先輩を見る目がエッチなんですよね。アレは狙われていますよ」
否定するのも怠い。
「ネバダ先輩的に安藤先輩のおっぱいはどうなんです?」
「まぁデカいよな」
「ほら。揉みたいとか吸い付きたいとか……」
「無いと言えばウソになる」
「むー」
「抹茶ソースのアイス食うか?」
「食べます!」
そんなわけでパフェの譲渡で誤魔化す。
「夏休みはどうします?」
「予定は無いな」
「いっぱいデートしましょうね?」
「ネバダくん。私とも……」
「で、ボクとひと夏のアバンチュールを……」
「花火大会も行きたいですし」
「夏祭りもですね」
「先輩は何処に行きたいですか?」
「今はもんじゃ焼きが食べたい」
「それは予定じゃないですよー」
あんまり先のことは考えられんのだ。あと夏休みのネット小説企画に安藤先輩が参加するみたいだし。そっちとも内容を煮詰める必要がある。
「先輩はー。私の水着見たいですか?」
「その胸に合う水着ってあるのか?」
たまに水着で登校しているHカップの女子もいはするが。
「何か失礼なこと考えてる?」
「バリバリ考えてる」
特に誤魔化す必要もなかったので、俺はあっさりエリに自白した。中々普通の水着だとエリの爆乳やカーマの巨乳は難しいはず。で、俺の対面でアキラが自分の胸を揉んでいた。




