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第58話:そして大事無く


「アキラ!」

「アキラ!」


 病院に運ばれたアキラ。そのまま検査並びに手術予定の医者が張り切っていたが、既に銃傷は消えている。俺の唾液が全部治した。肺を貫通した銃弾は生憎と証拠物件として警察に押収され。銃も転がっていたので、そっちも押収。


「ああ、よかった……アキラ」

「生きていてありがとう……アキラ」


 俺とエリは救急車に乗って、アキラの具合を確かめていた。俺が唾液を傷口に注ぎ込んだことはエリも知っており、だがこうも急速に治癒が行われたのは意味不明なのだろう。


「どゆこと?」


 然程大仰なことはしとらん。と言えれば良かったが、まぁ大仰か。


「唾液って傷を治す効能があるんだよ」


「それは知ってるけど」


 有名な話だ。エリが知っているのも必然。ただこれは知らないだろう。


「俺の唾液はその強化版。あらゆる負傷を癒す万能の傷薬」


 俺の部屋でアキラに殺されたカーマを助けたのも同じ手段だ。刺された箇所に唾液を送り込んで傷を癒した。


「どんな傷でも?」


「欠損が激しすぎると無理だが……銃傷程度なら問題ないな」


「マジで人間じゃないんだね。ネバダって」


「不死の化け物だしなー」


 そんなわけで、アキラが困惑しており。アキラの両親が愛おしそうにアキラを抱きしめて。ソレを見届けた後、俺とエリは帰宅についた。


「でも唾液って傷の治りをちょっと早くするだけだと思うんだけど」


「あんまり深くツッコむとドツボにハマるぞ」


「ネバダの不死身ってそこから来てるの?」


「いや? 俺の不死身はまた別。唾液の治癒は不死身の怪物になったときのオマケだ。ほら吸血鬼になって不死となったら、他の能力も付いてくるだろ? 霧になったり蝙蝠を使役したり。そういう不死身の怪物になったときに付随した能力が唾液の治癒ってわけ」


「じゃあネバダは唾液で再生しているわけでもないと」


「バットで殴り殺された時も唾液使ってなかっただろ?」


「確かにだねー」


 そうして帰宅する俺だったが事件は既に刑事さんの範囲に。俺が金属バットで殴られたり、アキラが銃撃を受けたり。校長にとっては頭の痛い問題だろう。自分の赴任期間にこれだけ問題が起こればな。今度は減俸処理で済むのかも怪しい。


「せーんぱい♡ デートは楽しかったですか?」


「超楽しかったぞ」


「今度私ともデートしてくださいね」


「別に構わんが。カーマはいいのか?」


 そして帰宅するとカーマが出迎えてくれて。俺はちょっと遅い時間だったので夕食はカーマに任せてあった。三人分な、と言ってカーマは意味不明そうだったが、そこまで含めて黒子迷彩。クラムチャウダーを作ってくれたカーマに、美味い美味いと言いながら胃に収めるエリ。


「デートは問題ありませんでしたか?」


「色々あった」


「例えば?」


「阿久津が現れて」


「ああ、アイツ……」


 これ以上は言わない方がいいだろう。


「先輩は大丈夫でしたか?」


「怪我一つない」


 あくまで俺はな。


「先輩、非暴力主義ですからねー。殴る手段は私じゃないと」


「俺の代わりに殴ってくれるのか?」


「もちろんですよ」


 そこで肯定されると、俺としてもどういっていいのか分からんのだが。俺の部屋。そのダイニングで飯を食っている俺とカーマとエリ。一番美味しそうに食べているのはエリだった。クラムチャウダーが好きなのか。あるいはカーマの料理が好きなのか。


「とりあえずアキラも無事だし。そこはなんとかなったな」


「万能の傷薬は便利だね」


「エリクサーみたいなもんだしな」


「ボクの時も助けてくれる?」


「無論だ」


「えへへ。じゃあ今日は一緒にお風呂入ろうね」


「構わんが」


 そんな風に俺とエリが会話していると。


「???」


 やはりアキラと同じようにカーマも首をかしげる。堂々と目の前で俺がエリとお風呂に入ると言っているのだ。カーマにも座視できる状況ではないのだが、その不安と焦燥の根幹がわからないというこの不条理よ。


「ねえ。先輩」


 なんでございましょう。


「女の子とお風呂に入ったりしてます?」


「してないぞ?」


 何でそんなこと聞くんだ? みたいな声音で俺はそう言う。


「ですよね。先輩はそんなエッチじゃないですよね?」


「いや。エッチだぞ? お前の服をビリビリに破ってアンアン鳴かせたくはある」


「私の身体で欲情してるんですか?」


「というか発情してる」


「もー。先輩のエッチ♡」


 そう言いながら、カーマはシャツの襟を少し引き下げて、その鎖骨と少しだけおっぱいを見せてくる。まだバストネックは見えていないが。


「おっきくなりました?」


「ギンギンだ」


 それは間違いない。


「じゃあボクが処理しようか?」


「それは自分でやるからいい」


「童貞の呪術誓約?」


「そういうことになるのか」


「でも、つまり童貞のままならいいんだよね?」


「そういう理屈になるな」


「おっぱいで挟んであげよっか? それなら童貞のままでしょ?」


 テーブルに乗せているHカップの爆乳を、これ見よがしに見せてくるエリ。無論俺の答えはノー。


「そんな童貞拗らせちゃって……」


 しょうがないだろ。俺の誓約なんだから。破れるようには出来ていないし、そもそも破る気もないし。


「あ、先輩。私が処理しましょうか?」


「謹んでごめんなさい」


「先輩だったら……私良いですよ?」


「俺より大きい男子はいっぱいいるから」


「別にアソコの大きさで男子を測る真似はしないんですけど……」


「俺はおっぱいの大きさで女子を測っているぞ」


「安藤先輩?」


 あの超乳はレギュレーション的にどうなんだ? Pカップとか、もはや神の与えたギフトだろう。大きすぎておっぱいがおっぱいじゃないけどおっぱいというか。


「カーマも大きいよな」


「あ♡ 先輩の目がエッチい……」


 そりゃEカップもあれば目は惹かれるよ。童貞舐めんなよ。


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