第55話:スポドリの代償
「ただいま」
「お帰りー……だけど」
肩にタオルをかけて、さっきシャワーを浴びましたと言わんばかりに下着姿のエリが出迎えてくれた。
「お前な」
「どうせカーマにはバレないって。ネバダもボクが際どい格好していると捗るでしょ?」
ナニが、とはこの際聞かんが。
「カーマはどうしてる?」
「なんかタオルの匂いを嗅いで示威行為してるけど」
「…………」
まさに聞かなきゃよかったと、俺は後悔した。
「今日のご飯は何?」
「そばめし」
「やった。好物。でもボクが作ってもいいんだよ?」
「ローテーションで行こう」
「やっぱりメスマズヒロインの方が可愛い?」
「美味しい御飯を作ってくれる女の子って憧れる」
「じゃあ頑張らないとなー」
「あと服を着ろ」
「ネバダのアレ。どうなってる?」
「バベルの塔」
「天元突破?」
「言うほど大きくないので、情けない限り」
「なんにせよ僕にはネバダしかいないから、相性を問う命題でもないんだけど」
「残念だったな」
「ねぇえ♡ しない?」
「今から飯作るんだよ」
「じゃあ寝る前」
「俺は子供は作らない」
「お尻ならアリってこと?」
「うーん、まぁ、お尻かぁ……」
「ちょっと準備が必要だけど。ボクは抵抗ないよ?」
「とはいえ、幸せ家族計画もないしな」
「妊娠しないでしょ?」
「いや。感染症もあるから、どっちにせよ保護するために必要らしい」
「はー……」
「まぁ童貞の知識なんですけど」
「じゃあ今日は挟むだけで」
マジでお前らって俺がどういう風に見えているので?
「あ、お帰りです。先輩……」
「俺の汗は捗ったか?」
「ッッッ!!! なん……で?」
色々とございまして。
「すっごく興奮しました……」
「そりゃよかった」
俺だって示威行為はするし、別にカーマのそれに引いたりもしないのだが。
「アキラ先輩を送ってきたんですよね?」
「キスもしたぞ?」
「私とも……」
「出来るのか?」
「が、頑張ります」
頑張ってどうにかなる症状でもあるまいに。パニック障害はトラウマに根差した問題だ。
「あ、御飯……私が作りましょうか?」
「いや。レシピは頭の中にあるし。今日は俺が作るよ」
「だからカーマちゃんはボクに嬲られようねー」
意識の外にいるエリがカーマの身体をまさぐり始めた。後ろから手を回して、片手はおっぱいに、もう片方は小股に添えられる。
「あ♡ あ♡ あ♡」
「やっぱり逝った後は敏感なのかな? カーマちゃんのエッチ♡」
耳元に囁くようにエリがからかう。
「ネ……バダ……先輩……」
何か?
「抱いてください」
「飯が入らなくなるぞ」
せっかく作った夕食を吐き戻されても面倒だ。
「でも、何か、性的に、興奮が……あ♡」
「エリ。あんまりからかうなよ」
「ネバダの股間を予約しているのはボクだから、カーマちゃんには別の手段で逝ってもらうしかなくない?」
「既に済ませているんだろ?」
「でもネバダのことエッチな目で見ていたし」
「なんでどいつもこいつも俺を性的に見るんだろうな?」
「ネバダも性的に見ているじゃん」
そりゃおっぱいが大きければ男の目線は集中する。
「先輩……」
「飯はもうちょっと待て」
「私を愛してください」
「無理とは言わんが、問題はお前の方じゃね?」
「先輩に抱いて欲しいんです」
「言っておくが」
そばめしをフライパンで炒めながら俺は言う。
「俺の本音はゲスな性欲だぞ。レベルで言えばお前を妊娠させた父親と変わらない」
「先輩の子供が欲しいです」
「出来たらいいな」
「頑張りますので」
「じゃあまず俺と対等になるところからな」
「キスですか?」
「それくらいはできるだろ」
「えと……まぁ」
「ほら。ネバダ。カーマの小股グショグショ」
ソレを俺に言ってどうしたいのよ。
「所詮カーマもメスの一匹ってこと」
「お前もだろ?」
「うん♡」
そこで嬉しそうに肯定されるのは想定外なんだがな。
「ネバダの性癖に全部付き合うよ?」
「裸でガニ股になって屈服腰振りダンスを踊れるか?」
「ネバダが望むなら♡」
いや、ジョークです。
「ネバダってそういうところあるよね?」
しょうがないだろ。性的なことに興味津々な童貞なんだから。
「じゃあ何で抱かないの?」
「呪術的誓約」
「…………ネバダが?」
「俺にも思うところはあってな」
別段だから何がどうでもないのだが。とりあえずそばめしは出来たので三人で食う。それから俺たちはどうするべきかをエリと話し合った。アキラも安藤先輩も本気なんだよな。




