第40話:テスト終わり
「じゃ、お疲れ様でした」
そうして六月上旬の中間テストは終わった。手応えはそこそこ。勉強は嫌いじゃないし、俺としては別にって感じ。
「ふやー。終わったぁ。ネバダ。手応えは?」
「そこそこ。まぁ赤点は無いな」
「それはボクもそうだけどさぁ」
お互いやることはやったのだ。あとは神のみぞ知るってところだな。
「せーんぱい♪」
で、毎度は毎度で毎度のこと。カーマが現れた。
「テストどうでした?」
「そこそこだ」
「じゃあ帰って自己採点しましょう」
「まぁ付き合うくらいはいいが……」
チラリと教室を見る。男子が俺を呪殺する目で見ていた。あんな突発的な転校生が何故恋堕の天使と仲良くしているのか。ちなみに先に行ってしまうと俺も知らん。
「先輩はとっても出来たんですよね?」
「そこそこだって」
「私も結構できましたよ?」
「何か奢れとかそういう話?」
「いえー。これはメイド喫茶に行くしかないなと」
「メイド喫茶」
まぁ柳原区も東京二十五区の一つだからメイド喫茶くらいはあるだろうが。
「実はそこで私バイトしていまして」
「つまり売り上げに貢献しろと?」
「先輩にネッチョリネットリご奉仕しますので、寄ってみませんか?」
「構いはしないが。エリはどう思う?」
「カーマのメイド服は興味ある」
そういう御本人もメイド服持ってるしな
俺の部屋の一室を占領して、コスプレの衣服を並べたてているエリだ。そもそも学校にコスプレで来るなよって話だが、コイツに限っては見咎められることはない。だから大丈夫かと言われるとなんだかなぁ。
「お帰りなさいませ。ご主人様♡」
これからバイトだと言ったメイドさん姿のカーマはにこやかな笑顔で俺とエリを出迎えた。あくまで意識できないだけで自動的にエリを対応することは可能だ。あくまで表層意識で無視しなければならない存在というだけで。
「何書かれているのか全然わからねえ」
「同じくだねー」
俺とエリはメニュー表を見て、その難解さに頭を抱えていた。
「とりあえずオムライスとコーラで」
「ボクはデザインカプチーノ」
「ご主人様ぁ。他のメニューはいいんですかぁ?」
甘えるようにカーマが聞いてくる。ここでのカーマの職業名は『闇のカルマちゃん』だ。
「コーラだと混ぜ混ぜサービスが出来ませんよ?」
「じゃあコーヒーに変更」
「メイドのミルク砂糖混ぜ混ぜサービスでいいですよね?」
「ああ、それで」
ついでにカーマのデザインカプチーノも俺が注文して、二人で店内を眺める。すでに闇のカルマちゃんはメイド喫茶でもナンバーワンらしく、普通に客に指名されていた。俺としてはどうかと思うが公認ロリで巨乳ともなれば男の性欲は刺激するのだろう。マジで俺にはどうでもいいが。
「で、ネバダってメイド服好きなの?」
「転校初日のお前のメイド服は鮮烈だった」
「あれも夏に着るのはねー。メイド服は冬用だから」
「っていうか俺の部屋に多数の衣装を置くのはどうなんだ?」
「いいじゃん。一部屋貰ったんだから。好きにしていいでしょ?」
「構わんと言ったのは確かに俺だがな」
「な、わけで、テスト終わりだし。ボクとエッチする?」
「残念だが俺の童貞は高いぞ」
「いくら?」
「百万」
「ジンバブエドルで?」
それはあまりに低すぎないか?
「でも若い二人が同棲していてニャンニャンしないとか有り得る?」
「無いとは言えないんじゃないか?」
「ボクはいいんだけどね」
「俺がダメなので諦めろ」
「月影の女神と恋堕の天使よりボクの方がおっぱい大きいはずなんだけど……」
自分で揉むな。いやらしい感情に支配されるだろ。
「ネ・バ・ダ♡ もうちょっと僕を滅茶苦茶にしてもいいと思うんだ?」
「処女じゃないだろ?」
「処女でーす。そもそもネバダ以外認知できないし」
つまり相手をしようにも俺以外いないと。
「イエスアイドゥー」
ニコッとエリが笑んだ。
「ご主人様ぁ?」
で、何がどうしてどうなったのか。闇のカルマちゃんが俺にオムライスを持ってきながらこめかみに血管を浮かせていた。俺がエリとイチャイチャしていることを無意識下で把握しているらしい。とは言っても男嫌いのカーマに俺へと嫉妬する理由も無いように思うのだが。
「ネ・バ・ダ♡ 大好きだよぉ。ほら、ボクのおっぱい気持ちいいでしょ?」
「ご主人様? なんでしょう? このイライラは……」
「んちゅ♡ もうネバダはボクのモノ♡ お客様に笑顔を振りまくメイド如きが介入する余地は無いよ?」
せせら笑うようにそう言うエリ。俺にキスをして、ソレを見せつけながらカーマを煽る。
「もちろんご主人様は私を指名するんですよね?」
「指名するだけだよ? 既にネバダはボクのおっぱいの虜だから」
Hカップの爆乳がドスケベな感覚で俺を襲う。ムニュウ。フニュン。と変幻自在に俺の胸板に押し付けられたおっぱいが、形を変えて乳圧を俺に与える。
「言っとくけど、俺は童貞だからな?」
「分かってるから挑発してるんじゃん」
「お前が挑発しているのはカーマだろ」
「残念だねぇ。ボクにネバダを寝取られて、ソレを見ているしかできないカーマくん?」
俺の唇を味わうように舐めて、せせら笑うエリ。店内で、注意勧告を受けそうなディープキスをしているのは可か不可か。そのエリの挑発に乗ったのか乗っていないのか。
「これは刺すしかない?」
「制服が汚れるからやめてくれ」
後普通に刑事事件。
「とにかく。じゃあ混ぜ混ぜしますね?」
「その間にボクはネバダの口内を混ぜ混ぜするよ?」
「…………」
怖いから黙るな。闇のカルマちゃん。
「でも寝取りってこんなにも興奮するんだね」
「寝取りも何も俺は誰とも付き合っていないんだが」
そもそも恋人がいないとNTRは成立しないだろ。
「ネバダはぁ♡ ボクのこと好き?」
「都合のいい女だとは思ってる」
「それって僕にとっては誉め言葉だぞ♡」
南無八幡大菩薩。




