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第21話:阿久津ミヒャエル


 俺の使い魔が微妙な情報を俺へと送って。仕方ないので俺はそっちの方面に足を向けた。


「テメェ! いい加減にしろ!」


 まるでDV彼氏のように暴力で女を従わせようとするさまは、まさにダメ彼氏。あんまり関わり合いになりたくないが、中々そう言うわけにもいかず。


「何してんだ?」


 仕方ないので介入。とはいえ、俺に出来ることはそう無いのだが。


「ああ!? 誰だテメェ!?」


「ネバダくん!」


 俺の意識を向けたその一瞬。掴んでいた男の手を振り払って、常闇アキラは俺へと逃げてきた。その俺の胸に飛び込んで、抱きしめて、涙を流す。


「おい! アキラ! ソイツから離れろ!」


「嫌です!」


 さらにギュッと抱きしめられる。おっぱいが胸に当たっているんだが。俺をどうしたいのよお前。まるで怨敵でも見るように俺を睨むソイツは、無論のこと俺の知っている男子生徒ではなく。……いや、見たことあるか?


「テメェ! アキラから離れろ! ソイツは俺の女だぞ!」


 まぁ大体分かったけど。


「私はネバダくんの女です!」


「テ……メェ!」


 そこで俺を睨まれてもな。


「誰?」


「阿久津ミヒャエルくん……私の元カレです……」


「阿久津ねぇ」


「レイラ! ソイツはロクな男じゃねーぞ! 俺の方がお前を愛してる!」


「嫌です! もう私に関わらないで!」


 さらにギュッと俺を抱きしめているところはこの際論じないとして。


「なんでお前ら喧嘩してんの?」


「喧嘩じゃねえ! そいつが俺の言うことを聞かないから……ッッ」


 ソレを定義的には喧嘩というんじゃないのか?


「私はネバダくんの女です! あなたなんかに興味はありません!」


「この! クソ! 女ぁ……!」


 俺は阿久津ミヒャエルなる人物を見る。まるで自己を肥大化したような己中心の言動。ヒステリックにわめく様は精神への障害が見て取れる。俺としては別にどうでもと思っているが、アキラにとっては忌避すべき人物なのだろう。それをどう解決したものかは俺にもわからんのだが。


「テメェ。最近アキラに近づいている男だな?」


「まぁ近づいているというか近づかれているというか……」


 後頭部を搔きながら、さてどうしたものかと悩んでしまう。


「月影の女神に惚れられて調子のってるな?」


「まぁ言語として間違っているとは取れないわけだが」


「言っとくが、ソイツは俺の女だ。横やりは見苦しいぜ?」


「そーだよなー」


 それに関しては俺も納得。だがアキラはそう思わなかったのか。抱きしめている俺にキスをした。


「ぅん……ちゅ……っパぁ……」


 それもディープな奴。


「ネバダくん。私はネバダくんの女です。全部差し上げます。だから私の男になってください……」


「じゃあ俺が首輪を付けろと言ったら付けるか?」


「ネバダくんが望むなら……」


 こっちもこっちで逝っちゃってるなぁ。


「ひ……はは……これはもうわからせるしかねえなあ?」


 で、阿久津なる人物は、俺にサディスティックな表情を見せる。大体それで悟れる。


「アキラ。ここから逃げろ。アイツ。暴力を行使する気だ」


「ネバダくんは……?」


「適当に付き合う」


「ダメですよ! ネバダくんが傷つくのは!」


「わかっちゃいるが、相手はもう止まらない」


 瞳に狂気が混じる。このまま暴力を行使するのは避けられない。既に俺という存在が阿久津にとっては邪魔な存在。


「ひひゃ! このまま死ね!」


 大きく拳を振りかぶって、俺の顔をもろに殴る。


「ッッ」


「俺の女に手を出したんだ! 許されねーよなぁ!?」


 さらに殴る。俺は抱き着いているアキラを無理矢理引き剥がして避難させていた。そのまま相手に馬乗りにされて、ボッコボコに殴られる。


「情けねえ! 反撃も出来ないのか!?」


「する必要が無いから」


「はっ! 腰抜けが!」


 そのまま俺を組み敷いて殴り続ける。


「このカスが! 俺の女に手を出すからこうなるんだよ!」


「やめて! ネバダくんを殴らないで!」


「じゃあ俺の女になるか?」


「ッッッ」


 それは突きつけられた選択。俺を人質に、阿久津は悪辣な選択肢を用意した。


「それ……は……」


「どうせこんな腰抜け擁護する価値ねーだろ。俺の方が推すとして強いんだぜ?」


「ぷ」


 その言葉に俺は笑った。まさか暴力で優位性を示すとは。さすがに予想もしていなかった。


「で、どうする? 俺とよりを戻すか?」


「あー……」


 だから俺は言ってやった。


「よりを戻す必要はないぞ」


「テメェは黙ってろ」


 さらに殴られる。


「こんな情けない男……お前も嫌だよな? 俺ならもっと男として愛してやれるぜ?」


「言っておくが、ここでのことは録画されているからな?」


「ッ」


 俺のその一言で、阿久津の拳が止まった。さすがに暴力沙汰がどういう結末を辿るのか。そこをはき違えることはしないらしい。周囲を見て、この状況を撮影している誰かを探る。だがその誰かは見つけられない。当たり前だ。黒子迷彩を纏っているのだから。


「は! いねえじゃねえか! ハッタリも大概にしろよ」


「ちなみに証拠画像を提出すると、お前が終わるんだが。そこら辺理解しているか?」


「どうせハッタリだろ!」


 まぁ中々証明の難しい話ではあるんだが。


「お前は反撃しないのか?」


「非暴力主義だからな。相手を殴るのは最終手段」


「ヘタレだな!」


 さらに俺を殴る阿久津。


「なぁ? 情けないよなぁ? お前が抱きしめた相手は。俺の方がオスとして優秀だぜ?」


 そうして阿久津は俺をボコり続ける。


「ひひゃ! なっさけねえ! ソレでよく女の前でカッコつけようと思ったな!? 手の足も出ねーじゃねーか!」


 うん。まぁ。そうなんだが。まじで暴力事件だ。しかも砂漠谷エリは見えていないから、ガチで暴力沙汰が動画に残っている。さて、どうしてくれよう。アキラは青ざめているし、エリは殺意メラメラ。とはいえだ。ここから穏便に済ますにはちょっと無理で。


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