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第11話:高嶺の唯華


「とにかく。恋堕の天使は、その名の通りに堕天使なので悪属性です。闇落ちしています。先輩♡とか呼んで男をからかっているだけです」


 知ってるよ。本質的に須藤さんは男に対して興味を持っていない。飽きたオモチャで遊んでいる程度の感情しかない。却下ン視(サイドシーイング)の能力も察しが良すぎるので困ったものだ。


「で、ここが部活棟です」


 授業を行う教育棟。教師や職員が座する職員棟。で、文化部の活動拠点になる部活棟。大きく分けてこの三つ。スポーツ系の部活には相応の部屋があるが、文化部はシャワー必要ないし、本やパソコンを置くことが多いので、一つの部活に一部屋用意してもらえる。


「で、文芸部ですか」


「本さえ読んでれば時間潰せるだろ」


「そうですけど」


 で、プレートに文芸部、と書かれている部屋に辿り着いた。俺とアキラ、それからエリだ。もちろんアキラはエリに気付いていない。っていうか学内の誰も。こんな白い髪に赤い目のアルビノの絶世美少女を見ることができないというのは人生損している。


「引き返すなら今の内ですよ?」


「悪名でもあるのか?」


「むしろ廃部寸前です」


 だったら俺らが入部すれば、役に立てるのでは?


「あ、高嶺の唯華が部長してるからねー」


 あっさりとエリが言った。そういうことは早く言え。


 恋堕の天使と関係持って。月影の女神に好きと言われ。で、今度は三年代表高嶺の唯華ですか。


「結構インパクトのある御方だから。頑張ろうね」


 そして内開きのドアを開けて文芸部へ。一人の女子がいた。青い髪の米糠高校の学校制服を着ている美少女で、あっさりとした顔と、死んだ瞳。美少女と言う意味では月影の女神にも恋堕の天使にも負けていないが一目見た瞬間に二人より特徴的な何かがあった。主に胸。


「…………」


 その高嶺の唯華は部室に入ってきた俺たちを見て、それから本に視線を落とす。まるで入部希望者に興味がないかのような。


「三年特進クラス。安藤レアス先輩だよー」


 あっさりとエリが言うが、俺は一種のネットミームを思い出していた。つまり。


『デカァァァァァいッ説明不要!!』だ。


 部活棟の一室で本を読んでいる三人の学園アイドル。その最後の一人。安藤レアス先輩は巨乳どころの話ではなかった。爆乳でもまだ足りない。超乳だ。おそらくOカップかPカップかOP(おっぱい)カップかもしれない。


 もう、どう考えても制服は特注だろう。いわゆる男が喜ぶ爆乳を超えている。大きすぎてなんと評したものか悩んでしまう超乳。このレベルになると性欲がどうのと言うより、超乳を愛せる性癖持ちでないとどうしようもない。だが顔はすっごい可愛いし。歩くだけでユッサユッサ揺れる超乳が重そうで、むしろ同情する。


「…………入部希望?」


 ボソボソと彼女が訪ねる。


「あー。入部希望っす」


 俺は言う。エリは認知されていない。アキラは入部希望と伝える。


「…………ん」


 で、既に先んじていたのだろう。どうやら高嶺の唯華は喋りが上手くないらしい。おっぱいがスイカくらい大きいのに、そのセックスシンボルを誇る気は無いらしい。その先輩がプリントを渡してくる。


「小説を書くこと。一ヶ月で三万字目安の小説を書いて提出したら入部を認める。出来については斟酌する。とりあえずジャンルは何でもいい。三万字目安の物語を書いてこい。そしたら文芸部への入部を認める」


 とは本人の口でなく、プリントで伝えられた。話すのが苦手なのだろう。既に入部試験の書類を用意して、ソレを手渡して入部審査をしたわけだ。


「そりゃ部員一人だよなー」


 高嶺の唯華。超乳のOPカップの大きさ。その規格外のおっぱいを求めてあらゆる男子が入部試験に挑んで敗れ去ったのだろう。


「じゃ、今月末くらいに作品書いて持ってきまーす」


 俺はテスト書類を受け取って、ヒラヒラと手をふった。


「ネバダって小説書けるの?」


「出来ないわけじゃないな、程度」


「三万字……ですか……」


 高嶺の唯華から渡されたテスト用紙を握って、アキラの手が震えていた。


「ネバダくんは書けますか?」


「まぁ出来は斟酌するって言っているし。要するに三万字の文章を書けばいいんだろ」


 そういう話になる。


「三万字ってすごくないですか?」


「一日三千字書けば十日で終わる」


「書けますか?」


「難しくも無いな」


「うがー」


 で、悩んでいるアキラの葛藤は読み取れる。つまり文章作成が苦手なのだろう。


「じゃあ一緒に書くか」


「一緒に?」


「別に高嶺の唯華……安藤レアス先輩も一人一作とは言ってなかっただろ?」


「つまり私とネバダくんの合作で……」


 そゆこと。


「アイデア出してくれ。俺がそれをもとにプロットを作る」


 とは言っても三万文字だ。適当に書いていれば辿り着けるだろ。


「じゃあ私とネバダくんのラブロマンスにしませんか?」


「構いはせんのだが。どういうアレで?」


「それはネバダくんの家で設定を煮詰めましょう」


「つまり俺の家に上がると」


「もちろんですとも」


「ネバダ~?」


 で、エリがジト目を向けてくる。別にいいだろ。俺の部屋に誰が上がろうと。


「ボクも行くからね」


「ええ。ええ。どうぞ」


 じゃ、そういうわけで。俺の部屋で入部テスト対策……三万文字素人小説を書くことになった。先行き不安かって? そうでもない。


「じゃ。夕飯の買い出しですね」


「……エリの分も作ってくれると思うか?」


「ダメポ」


 だよなぁ。認知していないんだから、アキラにとってエリは透明人間も同様だ。


「鍋にしないか?」


「私と二人でですか?」


 ついでにエリも含めてな。鍋なら勝手に取っていいから、三人で飯に出来るだろう。


「じゃあ水炊きで」


 そうして俺の一人暮らしの駅近マンションまでやってきて、セキュリティを突破して家に入る。俺の階層は五階の二号室。そこにエリとアキラを招いて、それから入部試験対策に精を出す。水炊きを用意しているのはアキラだ。料理には一家言あるらしい。ぜひメシマズでないことを祈る。


「何書く? ファンタジー? ラブコメ? ざまぁ?」


 一応理解はあるのか。


「俺は何でもいいよ」


「でもアキラは俺との馴れ初めを書きたいらしいが」


「ネバダくんが私の恋心を盗んでしまうところを書きましょう」


 つまり、そういうわけになったのだった。


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