来客 2
不定期更新ですみません!
アイシャにジャンさん、二人から語られる、ロジャン国の様子を聞いていたら、気持ちはすでに旅立った感じ。
わくわくがとまらない。
と、思ったときに、サラが、またもや、あわててやってきた。
「お嬢様、また、お客様がいらしています! それが、ブルーハート公爵家の方で…」
「ん? ブルーハート公爵家? どっかで聞いたような…?」
ぼんやり考える私に代わって、アイシャが指示をだした。
「ここへ、とおして!」
サラは、アイシャの迫力にのまれ、あわてて走り去っていく。
「ええと、誰だっけ? 私、公爵家って、アイシャとラルフくらいしか知らないんだけど?」
すると、腕をくんだアイシャが、警戒心もあらわに言った。
「ロイよ。何しに来たのかしら。絶対、ろくな用じゃないわね」
「ロイさんっ?! ロイさんって、公爵家の人なの? あっ、そうか、ブルーハート! 四つしかない公爵家のひとつだったわ。ロイさんの自己紹介を聞いた時、どっかで聞いたことがあるな、と思ったのよね…。われながら、貴族令嬢とは思えないポンコツぶりだわ…」
いささか反省していると、ジャンさんが、
「リリーは貴族社会には、おさまらない感じでいいよね」
と、あたたかいフォローをいれてくれた。
…お気遣いいただき、すみません。
しかし、ロイさん、どうしたんだろ? なぜ、私を訪ねてくるのかな?
すぐに、サラに案内されて、ロイさんがやって来た。
私の顔を見るなり、へらりと笑った。
「リリーちゃん、こんにちは! 突然の訪問、ごめんね! …って、アイシャ?! なんでいるの?!」
ぎょっとした顔をするロイさん。
なんというか、美形なのに、軽すぎて惜しい感じ…。
やはり、ヒーローではなく、当て馬キャラだわ。
なんて考えていたら、アイシャが、ロイさんを睨みつけながら、すごい剣幕で言った。
「ちょっと、ロイ! なんで、リリーに会いに来たの?! 変な話だったら、容赦しないからね!」
ロイさんの目が、一瞬、泳いだ。
が、すぐに、いつもの、ロイさんに戻った。
「ひどいなあ、アイシャ。そんなんじゃないよ? あれ、そこにいるのは、ジャン君だ! 久しぶりだねー」
「お久しぶりです、ロイさん」
ジャンさんが、さわやかに答える。
うん、やはり、どう見ても、こちらが正統派ヒーローだよね!
などと妄想している間に、ロイさんは、ささっと空いている席にすわった。
そして、サラに向かって、甘く微笑んで言った。
「ぼくには、コーヒーをお願いできるかな? 睡眠不足でふらふらなんだ。あつかましくて、ごめんね」
「ここは、カフェじゃないのよ、ロイ!」
アイシャがにらむ。
「もうー、アイシャったら、怖いよ! お兄ちゃんに冷たい。反抗期かな?」
と、ロイさん。
「ロイが私の兄なら、とっくに縁をきってるわ。過去のモロモロで。ここで、披露してあげましょうか?」
アイシャの言葉に、ロイさんが目を見開いた。
「やめて! 言うのはやめてください! 反省してます!」
と、ひたすら頭を下げている。
相当な弱みを握られているらしいよね…。
「それで、今日はどんなご用でしょうか? ロイさん」
と、私は聞いてみた。
「うーん、そうだよね。気になるよね? …アイシャがいるとはね。タイミングが悪かったな」
ロイさんが、ぼそぼそとつぶやいた。
アイシャが、鋭い目でロイさんを見る。
「私がいたら、まずいことなの?! 早く言いなさいよ!」
「ジャンくーん、助けて。アイシャが怖い!」
ジャンさんに両手をあわせるロイさん。
すると、ジャンさんは、
「リリーに無理を言うようなら、ぼくも、敵にまわりますよ。ロイさん」
そう言って、きれいに笑った。
あ! 腹黒属性が顔をだした。最高です、ジャンさん!
「うっ…。リリーちゃんのまわりって、きれいな顔して、怖い人ばっかりだね?」
ロイさんが泣きそうな顔で私に言った。
というか、早く、用件を教えてください。気になる!
私は、じーっとロイさんを見た。
「そんなに、つぶらな瞳で見ないで。ますます、言いにくいじゃない…」
と、ロイさん。
「言ってください。気になりすぎる!」
我慢できずに、私は口にだした。
「言わないなら、帰って」
と、アイシャ。
すると、ロイさんは、はーっとため息をついて、言った。
「言いますよ! リリーちゃんにお願いがあってきました。三日後の王室主催のパーティーに来てください! お願いします!」
一気に言うと、がばりと頭をさげた。
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!
ブックマーク、評価、いいねをくださった方、励みになります! ありがとうございます!




