あと20日
NTR進捗状況
確信は誤解だった。
田中 正 :主人公、駿は親友の彼女に手を出さない、ヨシ。
橘 鈴 :幼馴染、寝取られる。
金谷 駿 :イケメン、クラス意外でも人気者、幼馴染とフラグ建築中。漫才が好き。親友の彼女に手は出さない。
今日は正と駿にとって東京U-18漫才大会の本選の一回目。緊張はひとしおだが、しかし、自信もある。一度は切れかけた絆が結び直されたことでより強くなった。もう何も怖くない。
人前に出る緊張の一瞬は出てしまえば終わる。暗い体育館に集まった人々から向けられる視線の束も漫才を始めてしまえばもう気にならない。
「どーも、水素です。」
「どーもー、窒素です。」
「知ってます窒素さん。アンモニアって人がいるんですが、僕この前会ったら、もう臭くって。」
「えー、俺会ったことないや。でも、臭いとか最悪じゃん。」
「そーなんですよ、ああはなりたくないですよね。」
「そーだよな、その点俺たちは無臭だから最高だよな。」
「そーですよね。ところで最近、ハーバー・ボッシュ法っていうのが流行ってるらしいですよ。何するのか知りませんけど。」
「ああ知ってる。何か俺の窒素の友達もそれでスカウトされたらしくてさ。なんか新しい自分になれるとかで。最近あいつのこと見ねーな」
「そおなんですね。僕の水素の友達もそれに行ってから連絡なくて。あっでもほら、酸化鉄の友達はちゃんと帰ってきましたよ。」
「なんだよ、じゃあ安心だな。俺、今度ハーバー・ボッシュ法って受けてみようかなって。」
「実は僕も一人じゃ不安だったんですよ。一緒に受けに行きましょ。」
「だな、でもアンモニアって臭いのか。最悪だな。」
「まじ最悪ですね。ああはなりたくないですね。」
「その点、俺たちは無臭だからな。」
袖に帰ってくると、次のコンビが入れ違いに壇上へと登る。緊張した顔はさっきまでの自分たちが浮かべていたものときっと同じだろう。そして数分後には今の正たちと同じように達成感に溢れた顔で戻るのか悔し気な悔いを残した顔で戻るのか。それは今から分かる。
正たちは自分たちの出番が終わったことで大分弛緩した空気を纏って、体育館のステージの上を見ていた。他の参加者が漫才をしているのだから私語をしないのは暗黙のルールのようなもの。だが、そんなルールを意に介さずに正に話しかける者たちがいた。
「お前らのコント、昔の俺たちに似てるな。」
「ああ、粗削りだが、伸びしろがある。」
この場の空気に慣れた、余裕のある二人の声。先に振り返った駿が驚いている。正も同じ方向へと視線を送ると、以前に見た覚えのある顔があった。前回優勝者のコンビ、ハカセとノッポ。今はまだ雲の上の存在であるはずの二人が正と駿を認めている。
「上がって来いよ、上まで。」
「ああ、待っているぞ。」
今はまだ、しかしいずれは追い抜くことを心に誓っていた二人が正と駿の前にいた。




