あと31日
NTR進捗状況
鈴にストーカーがいるかも。
田中 正 :主人公、
橘 鈴 :幼馴染、寝取られる。
金谷 駿 :イケメン、クラス意外でも人気者、幼馴染とフラグ建築中。漫才が好き。親友の彼女に手は出さない。
「そういえばさ、この前映画で死体を溶かすのに塩酸に浸けてたけど、あれってどういう理屈なんだ?」
塾の自習室で駿が突然、言い出した。その発言に隣で勉強していた正と鈴が顔を上げる。最近は正と鈴の二人の自習時間に駿が被ることが多くなった。少し前までなら正は鈴との特別な時間に他人が入り込んでくることに拒絶反応を示していたが、周りのことをよく見る余裕が出てきたこの頃では少しずつ受け入れることができるようになった。もちろん駿だからこそという面はあるのだが。
「ずいぶん怖そうな映画だね。」
鈴が首を縮める。鈴と駿はすぐに打ち解けて、こうやって会話するところもぎこちなさは無い。そういえば、鈴は以前にイケメンは苦手と言っていた気がする。正は思い出した。きっと苦手を克服したのだろう。正はポジティブに物事を考える。
「確かに怖いっちゃ怖いかな、でもなんていうか世界が宇宙人に侵略されて地下の施設に閉じこもるっていう。何が起こっているのかわからない怖さっていうのかな。」
「うん?」
駿の説明によくわからないのか鈴が首をかしげる。
「それで、その中の一人が死んじゃって、塩酸でその死体を溶かすんだよ。」
駿の話を聞いて正はピンとくる。
「多分それは映画の演出で、過剰な表現になってるだけだね。塩酸はたんぱく質を加水分解して溶かすことができるから、その手のフィクションではよく出てくるけど。骨までは溶かせないから現実には死体の骸骨が見つかっちゃうかな。」
「そっか、じゃあ殺人事件で骨だけが残ってたら塩酸を持っている人が怪しいね。」
鈴が何気に怖いことを言う。確かにその通りかもしれないが塩酸を偶然持ち歩いている人なんてどう見ても怪しい、そんな人間がいたら殺人事件とか関係なく近寄りたくない。
そこまで考えて正はふと思いついた。なるほど、これを漫才のネタに使うことができるんじゃないか。正はそう考えると止まらなくなり勉強そっちのけで漫才のことを考え始めた。そんな正を見て鈴と駿は邪魔しないように二人で勉強を始めた。
「えっ、ヤバいじゃんそれ、ストーカーじゃん。」
しばらくすると駿が突然大きな声を出した。自分の思考に没頭していた正は話を聞いていなかったので一瞬何のことか分からなかった。
「うん、でもきっと私の勘違いだから。」
遠慮がちに言う鈴の様子で正はようやく昨日の話だと理解した。
「それなら鈴の勘違いだって、そういう結論になったから。」
正が大げさに驚く駿に苦笑しながら言った。正は昨日の話の流れで何となく大した話ではないとそう思い込んでいた。だが、駿の意見は違うらしい。
「いや、ヤバいって。最近ストーカーとかマジでシャレにならないから。」
駿は正の気楽な返事を真っ向から否定した。そうなんだろうか。駿の意見を否定する材料が無い正はそれ以上強硬に自分の意見を主張するわけでもなく、かといって駿の意見が正しいとも思えず黙り込む。そんな正の様子を勘違いしたのか駿が立ち上がる。
「俺、鈴ちゃん送ってくからさ、今日は解散にしようぜ。」
窓の外を見ると、確かにもう薄暗くなっている。解散するにはいい時間帯だろう。もう少し正は漫才のネタを詰めたいと思い鈴のことは駿に任せることにした。
「それじゃ、ばいばい。」
「また明日、学校でな。」
鈴と駿は肩を並べて街灯が点き始めた道を歩いていく。二人が進む道の明るさに安心して正は一人、自分の部屋へと戻っていった。




