あと32日
NTR進捗状況
駿と正が他校の生徒と漫才勝負をして負ける。
田中 正 :主人公、
橘 鈴 :幼馴染、寝取られる。
金谷 駿 :イケメン、クラス意外でも人気者、幼馴染とフラグ建築中。漫才が好き。親友の彼女に手は出さない。
「それでさあ、漫才がさあ、会場のムードがさあ。」
正が鈴を相手に訳知り顔で説明する。学園祭の飛び込みとは違う最初から予定を組み練習し会場に観客を集めて行う漫才を経験し正には多少なりとも自信が芽生えたのだ。その自信が明後日の方向に行きなぜか自慢げに解説し始めているのはご愛敬だが。
「うん、そうだね。」
だが、そんな正の話が退屈なのか鈴の返事は気乗りしないものだ。いや、きっと暖房の効いた塾の自習室が眠気を誘うのだ。正は自分にそう言い聞かせるがやはり不安は消えず、少し趣向を変えてみる。最近気付いたのだがモテるためには聞き上手になることが重要なのだ。駿は現にそういったコミュニケーションを取っている。正はその程度の軽い気持ちで鈴に話を促す。
「鈴は最近、何かあった?」
そんな何気ない質問のつもりだった。しかし、正の意図とは違い鈴はその質問にしばらく黙り込む。その表情が深刻で正は口を出せない。秒針が一周するほどの沈黙の後、鈴がようやく口を開く。
「あのね、もしかしたら私の勘違いかもしれないけど、最近誰かにつけられている気がして。でも振り返っても誰もいないし、きっと私の勘違いだと思うんだけど。」
鈴が何度も勘違いかもしれないと念を押すのはきっとこちらを心配させないためだろう。だが、そんな気遣いをできる所で鈴が冷静であることがわかる。何か精神が不安定になっているせいで疑心暗鬼になっているわけではないのだろう。それを分かっていながら正は鈴の不安を取り除きたい一心でつい言ってしまう。
「ほら、最近暗くなってきたから、感覚が鋭敏になっているとか、何かの影が人に見えたとか、そんなだよ。」
鈴が心配し過ぎて別の意味で危うく見えたせいで、正にはそんな心理的なストレスを取り除く方に意識が向いてしまった。
「そうだよね、私の考え過ぎだよね。うん。」
鈴が自分に言い聞かせるように言う。そうしているうちに気分が軽くなったのか鈴の顔に笑顔が戻る。それが嬉しくて正も表情が明るくなる。
「それで、ダダくんはどんな活躍をしたのかな?」
鈴がさっきまでしていた正の自慢話を蒸し返してきた。鈴は大体の事情を知っているはずだ。前回の漫才はそんな褒められるようなできでは無かったことを。だけどいたずらっぽい表情で鈴は正の活躍を聞きたがる。きっと他人には分からない苦労や工夫やそんな誰かに言いたいけれど、きっと言ったら笑われてしまうことがあると知っているから。誰にでも、どこにでも、どんな時にでも、そんな話が溢れている。幼馴染にならそんな笑われることなんて多すぎて慣れてしまっているのだから今更遠慮する必要は無い。正もそれを分かっているから他人にはできない自慢話を鈴に話す。
そんな二人の関係が小さなころから今までずっと続いてきた。そしてこれからも、きっと。




